パナソニックのデザイン本部 FUTURE LIFE FACTORY(FLF)は、「あなたと未来のくらしを問う7日間 REMIXED REALITY EXHIBITION」を下北沢ボーナストラックで開催している。デジタルとリアル、すべてがつながる未来を見据えた3つのプロトタイプを展示する。会期は3月16日まで。開場は11~19時(入場は終了の30分前まで)で、入場は無料だ。
「あなたと未来のくらしを問う7日間 REMIXED REALITY EXHIBITION」
FLFは、「これからの豊かなくらしとは何か」を問い直し、具現化していくパナソニックのデザインスタジオ。デザイナーとデザインエンジニアが手を組み、アイデアを形にする仕組みを採用している。
REMIXED REALITY EXHIBITIONでは「ALTER EGO 自分の可能性をひろげるこれからの自己理解」(ALTER EGO)、「Carbon Pay 地球とつながる自分になるこれからの新習慣」(Carbon Pay)、「言山百景 見知らぬ景色に、言葉と関係性を生み落とす」(言山百景)の3テーマが展示されている。
話すことに着目、会話から新たな自分を知る
ALTER EGO。この中に2つのブースを設ける
ALTER EGOは、他者との会話の中から意外な自分を知ることができるというもの。白いボックスの中には2つのブースを用意し、各ブースにはカメラ、ディスプレイ、ヘッドセットを用意。2人同時にブースに入り、ディスプレイに映し出される「相手の人を例えるなら犬と猫どちら?」や「旅行に行くならどこ?」といったテーマをディスプレイ越し話し合うことで、お互いの印象を分析するというもの。
話している最中の顔の横揺れや笑顔、うなずきなどを計測し、分析しているとのこと。動画配信サイトやECなどのレコメンド機能が当たり前になっているが、むしろそうした分析は自分を狭めているかもしれないと考えたのが開発の発端。「話すこと」に着目することで、新しい出会いを生み出してほしいという思いが込められているという。
ブース内には、カメラ、ディスプレイ、ヘッドセットが用意されていた
CO2を見える化、気づきをアクションへとつなげる仕組み
Carbon Payのアプリの画面イメージ。「カーボンフットプリント」の量を見える化している
CO2を減らすアクションをした後。左側にある小さなディスプレイは、NFCタッチでカーボンペイできるデバイス「Carbon Pay Touch」のプロトタイプ。寄付などのアクション後にICカードなどで決済すると、画面のCO2量が減り、画面の色もグリーンに変わる
Carbon Payは、商品やサービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算する「カーボンフットプリント」を把握し、節約や運動をしてバランスを取るようなアクションが選択できる未来として考え出されたアイデア。アプリ上に表示された、自分のカーボンフットプリントの量に対し、植林、サンゴの移植など、CO2を減らすアクションをするとカーボンフットプリントの量が減るというもの。その量に相当する金額(カーボンペイ)を表示することで、CO2を吸収する取り組みを支援できる。
あわせて、カーボンフットプリント家電のプロトタイプも展示。リモコン、コーヒーマシン、オーディオの3種類で、いずれもカーボンフットプリントの量とカーボンペイを表示するディスプレイを設け、生活の中からCO2を意識する仕組みづくりをしていた。
カーボンフットプリント家電のプロトタイプも展示。中央にあるスピーカー本体のプロトタイプに使われているのは卵の殻(白)とコーヒーかす(茶色)から作られたリサイクル素材
地域と人を言葉でつなぐ言山百景
言山百景。左側の「ことやま」が3Dプリンタで出力された文字を糸でつないだオブジェ
言山百景(ことやまひゃっけい)は、人と地域を言葉でつなぐことで、新たな関係性の形を問いかけるプロジェクト。ディスプレイに映し出される日本の風景を見て感じた「なつかしい」など、ひらがな5文字の感想が3Dプリンタで打ち出され、“物理的に”舞い降りるオブジェになるというもの。
言山とは、言葉が積み重なるという形を意識した造語とのこと。今回の展示会後には、東京都中央区日本橋のアートホテル「BnA_WALL」で実際のインスタレーションを実施する予定だ。