スティーヴ・ローゼンバーグ、BBCニュース(モスクワ)
まず最初に、打ち明けておきたいことがある。私はもう何度も、「まさかプーチンがそんなことをするわけがない」と思ってきた。
「まさかクリミアを併合するなんて。そんなことするわけがない」。そう思ったが、併合した。
「まさかドンバスで戦争を始めるなんて。そんなことするわけがない」。始めた。
「ウクライナの全面侵攻なんてするわけがない」。侵攻した。
「するわけがない」というのは、ウラジーミル・プーチン氏には当てはまらない。そう結論するしかない。
だとすると、居心地の悪い疑問が浮かび上がる。
「まさか自分から先に、核のボタンを押すわけがない。どうかな?」
これは机上の空論ではない。ロシアの指導者は、自軍の核抑止部隊に「特別警戒」を命令したばかりだ。ウクライナ侵攻をめぐり北大西洋条約機構(NATO)がロシアに「攻撃的発言」をしたことを、理由に。
これまでプーチン大統領が何を言ってきたか、よく聞き直す必要がある。24日にテレビで「特別軍事作戦」を発表した時(これは実際にはウクライナ全面侵攻のことだった)、彼はぞっとするような警告をした。
「外部から介入を考える全員に告げる。もしそんなことをしたら、今まで歴史上見てきたどんなことよりひどい結果に直面することになる」と。