中身はガチなのに美麗なルックス。Amazfitのスマートウォッチ「GTR 3 Pro」は運動習慣がない人こそ使いたい

GIZMODO

え、これがスマートウォッチ?

と思ったほど端正な佇まいのAmazfit(アメイズフィット)「GTR 3 Pro」。見た目の美しさに一目惚れしたのが正直なところです。お付き合いさせていただく機会に恵まれたので、ほぼ24時間つけっぱなしで約2カ月間を共に過ごしました。

結論として、Amazfit GTR 3 Proはバリバリ働いていて運動する時間があんまりないんだけど、そろそろ健康に気をつけないとまずいよなって感じている人におすすめです。デザインがオン・オフ関わらずどんな服装にも合わせやすいし、4つのウェルネス機能(心拍数・ストレスレベル・血中酸素レベル・呼吸数)をワンタップで同時測定できて、それらのデータの蓄積に基づいて健康状態の評価をしてくれます。バッテリー寿命が長くて、充電は10日に1回ぐらいでOKなのも使いやすさに直結していました。

スマートウォッチを購入して継続的に健康管理していきたいんだよね〜という方、でも毎晩充電するのはめんどくさい!という方には、GTR 3 Proと相性がいいと思います。

Amazfit GTR 3 Pro

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これはなに?:Amazfit社製スマートウォッチの最新プレミアムモデル。ワンタップで心拍数・ストレスレベル・血中酸素レベル・呼吸数を同時に測定できる。スマートフォンと同期して通知の受け取りや電話の受発信ができるので、情報の取りこぼしがゼロに。

おいくら?:3万9800円(税込)

よかったところ:Ultra HD AMOLED(アクティブマトリックス式有機EL)ディスプレイが明るくて見やすい。バッテリーがとにかく長持ち。こまめにホメてモチベーションを上げてくれる。スマホアプリが身体データをわかりやすくまとめてくれて、細かいアドバイスもくれる。

イマイチだったところ:稀にシャットダウン・再起動するなど、スマートウォッチのOSが不安定(随時アップデート中)。運動アクティビティの計測距離が少なめ

スマートウォッチはどれだけ「スマート」になれるのか

こちらは色違いのインフィニットブラック

わたしは2015年に人生初のスマートウォッチを手に入れたものの、使いこなせないままなんとなくカッコイイから着けていました。1年半前に新たにGPSランニングウォッチを購入し、最近やっと使えるようになってきたかんじ。というのも、これまではスマートウォッチで計測した歩数や、走った距離や、睡眠データを見て「今日はこれだけがんばった!」と満足していたんですが、最近やっとそのデータの連続性から自分の体の総合的なコンディションを読み取ろうとするところまで来れたんです。なので、いくらスマートウォッチに便利機能が搭載されていても、使う人の目的にマッチしていなかったら本来のスマートさを発揮できない、と身を持って感じています。

Amazfit GTR 3 Proには健康管理に役立つ機能とセンサーが申し分なく詰め込まれています。たとえばランニングを計測した場合、ペース、ケイデンス(1分あたりの足の回転数)、ストライド、ラップタイムなどはもちろん、心拍ゾーン、獲得標高、勾配分布、トレーニング効果まで記録してくれます。

これだけ豊富なデータを扱えるAmazfit GTR 3 Proだから、モチベーション次第では身体的なパフォーマンス向上に役立てられるんじゃないかな?という期待がありました。しかも、中身はガチなのに美麗なルックス。ハイエンドスマートウォッチとしてはコスパが最高な予感がしました。

AMOLEDディスプレイの美しさは秀逸

夜間でもクッキリ。発色もキレイです

実際使ってみたら、予感した通りでした。GTR 3 Proは、とにかくアクティブマトリクス式有機EL(AMOLED)ディスプレイが綺麗、明るい、見やすい!

特に夜間はパッと見やすくてありがたかったです。常時点灯の設定も可能で、なにせバッテリー寿命が長いので筆者は常にONにしていました。

フォントサイズもちょうどいいかんじ

電話の受発信のほか、スマホアプリの通知を選択して受け取ることができます。重要な情報に瞬時に反応できるので仕事の効率が上がりますし、スマホを凝視している時間が少し減りました。なお、アプリの通知に関しては受け取るのみで、GTR 3 Proから直接返信することはできません。

ディスプレイサイズは1.45インチで、解像度は480×480ピクセル。この大きさながらに重量は43gです(ストラップ込み、公式ではストラップなしで32g)。女性のわたしが一日中つけっぱなしにしていても負担に感じない重量でした。Apple Watch Series 7の32g(41mmケース)、または38.8g(45mmケース)と比べるとちょい重めのようですが、気になりませんでした。

側面についているクラウンは押す・回すのふたつの操作に対応していますが、タッチスクリーンを直に操作したほうが正直早かったりも。でも運動中にわざわざ手元を見なくても操作できる便利さがありました。

異色の革製ストラップ

GTR 3 Proは2色展開なんですが、ブラウンは革製のストラップ。筆者はこれまでシリコンストラップしか身に付けたことがなかったので、初体験でした。実際に着けてみたところ、サラッとした付け心地が思いのほか素晴らしかったです。

革製ストラップはどんな装いにも馴染むのがメリットです。カチッとしたビジネスルックにも、ハデめなトレーニングウェアにも合いますし、さりげなくおしゃれ。

ただし、いかんせん耐久性が気になるところではありました。そこで、ランニング・サイクリング・ウォーキング・スイミングなどの汗臭いアクティビティを通じて容赦なく使い倒してみました。

そして、こちらが約1カ月経過した頃の様子です。

革製ストラップは依然としてキリリと端正なまま。着け心地良く、見ため良く、それでいて汚れにはタフでした。

汚れてしまったとしても水で丸洗いできますし、ボディも5気圧防水機能(50メートルの深さに相当する圧力に最大10分間耐えることが可能)を備えているので安心してガンガン使えます。ロッククライミング、カーレース、狩猟などかなり激しいアクティビティも計測できる仕様になっているのですが、耐久性あってこそですね。

スマホアプリ「Zepp」が優秀

「GTR 3 Proは忙しい人におすすめ」と何度も言っているのには訳があって、スマートウォッチで計測したデータを専用スマホアプリ「Zepp」(Android、iPhoneどちらにも対応)がわかりやすくまとめてくれるからです。デザインがよく、データに関する細かい説明もあって、とても使いやすいです。

特に学びが多かったのが睡眠データの分析です。

このように、毎日睡眠スコアを算出してくれるほか、計測し続けると週単位・月単位で平均値を割り出してくれるので、過去の自分の睡眠スコアと比較できます。

さらに、ビッグデータを活用して同年代の人と比べてどのぐらい睡眠の質と量を確保できているのかも比較できます。データを可視化してくれるため、「もっと早く寝なきゃ」など具体的な反省点が見えてきて、行動変容につながりやすいと感じました。

実際に、真夜中にネット上をさまよっているよりかは早く寝たほうが睡眠の質も、翌日のコンディションも向上することを数値で確認できたおかげで、よっぽどのことがない限りは0時前に寝る習慣が身に付きました。

褒めてくれる→モチベーションにつながる

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Zeppアプリでは「PAI(Personal Activity Intelligence)」という生理指標を採用しています。ちょっと聞きなれないですが医学研究に基づいているそうで、「心拍数データをベースに、毎日のアクティビティの強度や生理データを合わせて総合的な評価を行う(アプリの説明文より引用)」そうで、過去7日間のアクティビティに基づいてスコアが算出されます。

心拍数を上げるとPAIポイントを獲得できて、100PAI以上を維持すれば目標クリアです。100PAI以上に維持することで、心血管疾患のリスクが減少し、さらには死亡率が同じ年齢層よりも低く、予想される寿命が長くなることも科学的な研究結果として確認されているとか。

これだけでも運動を日常生活に取り入れていくモチベーションになりますが、さらにGTR 3 Proから定期的に「立って歩きましょう」などのリマインドが届くので、仕事中の小さなモチベーションにもつながります。たとえそれが台所まで行ってお茶を沸かすという些細な行動であったとしても、GTR 3 Proが「その調子!」と褒めてくれるので、なんだかちょっとうれしくなるんですよね。

充電はマグネット式なので楽しいのですが、バッテリーの寿命が平均して10日間も持つのであまり充電する機会がなかったのも事実です。

計測機能の精度がちょっと残念

GTR 3 Proはこれだけできるヤツなんですが、Amazfitの自社製スマートウォッチOS「Zepp OS」の動作が不安定だと感じたことが何度かありました。

たとえば、アクティビティの移動距離がほかのスマートウォッチやスマートフォンで計測した数値と比べて少ないことがありました。心拍数などほかの計測値は概ね一致していたので、もしかしたらOSではなくモーションセンサー、あるいはGPSの感度の具合かもしれません。

屋外ランニングの場合、GTR 3 Proでは距離が7.0km、平均ペースが5:37だったのに対し、Garmin Vívoactive 4では 7.16km、平均ペースは5:22でした。このぐらいはGPSの誤差の範囲だと思います。トレッドミルでのランニングの場合はもっと差が大きく、GTR 3 Proでは距離が4.02km、平均ペースが7:42だったのに対してVívoactive 4では5.24km、平均ペースは5:38でした。

また、アクティビティ計測時にウォッチが強制終了してしまい、それまでの計測記録が飛んでしまったことも。このあたりは随時OSアップデートで対応しているようなので、今後の改善が期待されます。

運動習慣がない人にこそおすすめしたい

計測にムラが生じるので、アスリート向けのスマートウォッチではありません。むしろ一日の大半を仕事に注ぎ、運動したくてもなかなか時間を取れない人にこそおすすめしたいです。

PAIという専門的な生理指標がヘルスケアデータを集約して自分の体の状態を可視化してくれて、さらに適切な運動量を教えてくれるところが最大のおすすめポイント。適切な運動量をこなし続けることで体力向上に期待できそうですし、運動不足、そしてその逆のオーバーワークを回避するツールにもなってくれそうです。

つい仕事や趣味に没頭してしまっても定期的なリマインドでストレッチなどをすすめてくれるので、ないがしろにしてしまいがちな自分の体の「今」の状態に敏感になれますし、新しい運動習慣を身につけるのにも役立つと思うんですよね。エスカレーターに乗る代わりに階段を上ってみるとか、ちょっと遠めのトイレに行くとか、そんな小さな行動変容を重ねていくうちに自然とPAI数値が上昇していくのもきっと健康維持のモチベーションにつながると思います。

Photos: 山田ちとら
Reference: Amazfit

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