富士通が2月からPCサーバーを10%値上げ。コンシューマPC含め実売価格上昇の動きが顕在化

PC Watch

生産工程中の富士通製PCサーバー「FUJITSU Server PRIMERGYシリーズ」

 富士通が、PCサーバーやオプション製品の値上げを発表した。構成する部品が同じPCも、すでに値上げの傾向が見られており、2022年は本体価格の上昇が注目される1年になりそうだ。

 富士通が値上げをするのは、PCサーバー「FUJITSU Server PRIMERGY(プライマジー)」の本体装置およびオプション製品の一部。2022年2月から、標準価格を値上げし、PCサーバー本体装置では約10%の値上げ、オプション製品は約30%からの値上げになるという。

 日本での価格改定に続き、欧州やアジア、オセアニアなどの海外においても、順次、標準価格の改定を予定している。

FUJITSU Server PRIMERGYのラインアップ

 富士通では、今回の値上げの理由として次のように述べている。

 「昨今の半導体や各種原材料などが世界的な供給不足となり、部材調達に影響が出る中、全社を上げて生産のために必要な部材の確保に全力を注ぐとともに、部材の調達価格高騰による生産コストの上昇に対しても、代替部材への切り替えや費用削減などの努力を重ねることで、極力提供価格を維持できるように取り組んできた。

 しかし、調達価格のさらなる高騰や物流コストの上昇に歯止めがかからない状況が続き、これまでの生産コスト改善や費用削減努力では、調達価格の高騰を吸収し、提供価格を維持することが限界となってきた。そこで、PCサーバーやオプション製品を対象に、2022年2月から、標準価格を値上げすることにした」。

 富士通では、2021年度上期業績において、部材供給の遅延影響により、売上収益で149億円のマイナス影響、営業損益では71億円のマイナス影響があったと説明。

 「PCサーバーや5G基地局などのネットワーク機器を中心に、部材価格の高騰、設計変更による代替部品への切り替え、航空便での出荷対応によるコストアップの影響を受けた。部品メーカーと交渉したり、代替部品への集約を進めたり、価格への転嫁を含めたリカバリを行なったことによって、年間では損益の影響を極小化すべく対策を進めている」(富士通 取締役執行役員専務兼CFOの磯部武司氏)と述べていた。

 今回の富士通の動きを受けて、PCサーバー各社も値上げの方向に踏み出す可能性が高い。

PCの春モデルの価格はどうなるのか?

 当然のことながら、PCサーバーと構成部品が同じPCの価格上昇も懸念されるが、その動きはすでに出ているとも言える。

 PCはオープンプライスを採用している製品が多いため、標準価格が設定されている法人向けPCサーバーなどに比べると比較が難しいが、発売初月の実売価格をもとに比較してみると、1~2割の価格上昇が見られていることが分かる。

 主要量販店のPOSデータを集計しているBCNの調査をもとに、平均実売価格を比べてみた。

 それによると、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の15.6型ディスプレイ搭載ノートPCである「LIFEBOOK AH」シリーズでは、CPUにCore i7、メモリ8GB、SSDは512GBというスペックで比較してみると、2020年7月に発売した「LIFEBOOK AH53/E2」の発売初月の平均実売価格は15万4,000円であったが、同年10月に発売した第11世代Core i7を搭載した「LIFEBOOK AH53/E3」は、発売初月は16万7,800円となり、基本スペックは変わらないものの、1万3,800円も上昇し、9%の実質的な値上げが見られていた。

LIFEBOOK AHシリーズ

 また、2021年10月に発売となったWindows 11搭載の「LIFEBOOK AH53/F3」では、発売月の平均実売価格は18万7000円となっており、前年10月発売の同E3に比べて約11%の価格上昇となっているほか、さらに前年7月発売の同E2に比べると、21%の価格上昇となっていることが分かる。

LIFEBOOK AH53シリーズ

 最新モデルでは、月を追うごと見られる価格下落率が低く、実売価格が高止まりしていることも浮き彫りになっている。こうした動きは、ほかのPC製品でも同様で、前年同期比で約1割程度の価格上昇が軒並み見られている。

 PCメーカー各社は、これから春モデルの発表を予定しているが、発表される新製品の実売価格がどうなるのかが注目される。

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