2021年 俺が書いた今年のベスト記事

デイリーポータルZ

年の瀬にこんにちは、編集部 石川です。

我々ライターは日々、記事を書いて発表していますが、毎回「どうだ!」という気持ちで公開しています。いつでも自信作です。なんなら「これでもくらえ!」くらいの気持ちなわけです。

それで結果的にバカウケしたりそうでもなかったりはするけれども、いずれにせよ記事に対する愛は変わりません。なんたって自分の記事の最高の読者は自分ですから。

そんな愛する我が記事(「我が子」的な)の中から、今年の自信作を選んでもらいました!

挑戦する

たくさんあるのでいくつかにジャンル分けしてご紹介しましょう。まずは新しいことを思いついて実践したり、やったことがないことに挑戦したりした記事からです! 

よざひかる の自選:
1時間前の自分を見ながら飲む「録画飲み会」がおもしろい

飲み会の最初の1時間録画して、後半はみんなで録画を見つつ反省するのはどうだろうか。実験しました。

参加者が叫びながら嫌がっていたのでやりがいがありました。自分が何度も同じ動作をしていてとても怖かったです。

 

江ノ島茂道 の自選:
食べられるうちに挑戦したい!ドーナツの食べ放題に行く

年齢とともに減退するように思う食欲。ドーナッツの食べ放題に行くなら今のうちだと思うのだ。全部食べてやろうと思う。

年を重ねると食べられなくなりそうなので挑戦した記事です。なにも大きなできごとは起きないのですが気合で書けるものだなと思いました。次回はフライドチキンに挑戦したいです。

 

玉置標本 の自選:
両親が子供の頃に食べたおやつの追体験をしたい(カミキリムシの幼虫を食べたい)

両親は長野県の山間部出身で、子供の頃薪割りをしたときに出てくるカミキリムシの幼虫が楽しみなおやつだったらしい。

別に昆虫食が好きというわけではないのですが、個人的には両親の思い出をを追体験できてよかったです。今度はその道でネイティブな方に案内してもらいたいですね。

 

ぬっきぃ の自選:
溶接マスクをして手持ち花火をしたら、溶接しているように見える

溶接に憧れています。そこで考えました。溶接マスクをして手持ち花火をしたら溶接をしているように見えるのではないかと。

やってみたかったことなので楽しかったです!○○に見えるシリーズを増やしていきたいと考えています。

 

安藤昌教 の自選:
昨日32時間走った人が楽器に癒しを求める!

誰かがやってることはおれにもできるはずだ、という根拠のない自信に支えられて始めたシリーズ。この回は特に自分の中で印象深かった回です。カズーは家でたまに吹いています。

ネッシーあやこ の自選:
生まれて初めて自分専用の家庭用ゲーム機を迎え入れた話

これはただの日常の記録なのでは、と思いつつも、今年書いたもののなかで、いちばん素直に書けたので気に入っています。 

 

研究する

次に、 大人の自由研究の本領発揮。日頃の疑問を研究して掘り下げたり、思い付きを検証したりする記事です。

トルー の自選:
ストレッチのポーズで謝罪する

ストレッチをするとき足を伸ばして座り一生懸命に体を折り曲げていると、何かに謝っているような気持ちになってきた。ストレッチのポーズで謝ってみよう。誠意は伝わるだろうか。

ほぼ無計画の状態で撮影を始めて、皆さんにわいわい言ってもらいながら作っていきました。そういうのが本当に久しぶりで衝撃的な楽しさでした。久しぶりに食べたハイチュウのような。

 

ライスマウンテン の自選:
中国の通販サイトでブックオフの袋が推されている

中国のECサイトでブックオフの袋が売られていた。それも1店2店ではなく、いくつもの店があの紺色のビニール袋を売っているのだ。

斜め上のモノがたくさん売られている中国の通販サイトですが、まさかこれが多数売られててスイカや水を運ぶとは…僕自身驚きました。伝えられてよかったです!

 

 

大北栄人 の自選:
めちゃめちゃに運動して金属の円盤を首にかけられると嬉しいのか

すごく頑張ったあとにもらうメダルはどんなものでも嬉しいはず。いろいろもらって確かめました。

100均で買ってきたものを一人でごにょごにょする記事を10何年も書いてきましたが、こんなことでもここまで真理に達することができるのかと驚いた記事

 

まいしろ の自選:
体育館に置いてあるあれ(肋木)をマスターする

体育館のすみっこに置いてある、謎の木のはしごとしておなじみの「あれ」。結局「あれ」はなんだったのか?満を持して「あれ」をマスターしてみたい。

「考えてみたことなかったけど言われてみれば気になるな」みたいなネタを出したいと常々思ってるんですが、肋木はその最たる例でお気に入りです

 

ほり の自選:
津軽弁を自力で解読したい

「日本一難解な方言」とも言われる津軽弁。自力でどこまで解読できるのかやってみた。

無謀にも津軽弁をノーヒントで解読しようとしました。津軽弁ネイティブの方に解説してもらい、いろいろ勉強になって面白かったです。

 

こーだい の自選:
海水浴場の黒いダイヤ、オオヒョウタンゴミムシを求めて

私は三重県の海水浴場を目指していた。泳ぎたいからではない。海辺の砂浜に生息するたいへんかっこいい昆虫、オオヒョウタンゴミムシを採集するためである。

虫捕りって最高だなということを再確認できました。

識者に聞く

自分で何かやるだけが記事ではありません。どんなものでも有識者を呼んで話を聞くと、その世界の奥深さに触れることができ、身震いします。

拙攻 の自選:
カッコいい!かわいい!野暮ったい!農業用トラクターを愛でる

農業に使われるトラクターは、いかめしいメカをギュッと押し込んだ細身のボディに、でかくてゴツいタイヤ。まさに質実剛健。だけど見る人が見れば、キュートな魅力にあふれた乗り物でもあるらしい。

かれこれ5年ほど「何なのだこの人は…」と思っていた人に話が聞けたので、もう思い残すことはありません。

 

3yk の自選:
まち外れのトタン小屋がみる夢〜オールド・ニュータウン「ゆめみ野」の夢心地調査〜

埼玉県にゆめみ野というニュータウンがあるらしい。街並みや人々の姿に夢心地度が現れていないかと訪れたところ、まちのはずれで夢を見続けるトタン小屋に出会った。

なんでもない場所こそおもしろく、いろんな人が生きているということをもっと知りたいし書きたいなという思いが強まった記事です。

 

井上マサキ の自選:
「たべられません」を作った会社に「そもそもこれはなにか」を聞く

食品に入っている「たべられません」と書かれた小さな袋、「脱酸素剤」というらしい。あれはなんなのか、どんな働きをしているんだろう。

「知ってるけど知らないもの」取材で、過去最高レベルで手応えがあった記事でした。取材も盛り上がり、情報もパンパンに入り、お土産ももらえたので思い残すことはありません。

 

林雄司 の自選:
お花畑は思ってたのと違う

「お花畑」には楽しそうでのんびりしたイメージがある。でも、花を育てている農家に話を聞いたらほとんどエンジニアリングの世界だった。

「頭がお花畑」という悪口が嫌いで、だったら花畑を取材してどれだけ大変か見せてやろうじゃないかというあまのじゃくが具現化した記事です。そんな思いとは裏腹に花卉栽培の話はとてもおもしろかったです。

なければ作ればいいじゃない、の精神で今年もいろいろなものを生み出しました。便利なものから余計なものまで。比重としては後者が優勢です。

ナミノリ の自選:
水の入った服で夏を涼しく過ごしたい

暑い日は金魚みたいに冷たい水をまとっていたい。水の入った服があればいいのだ。 本物の水なら、見て涼しい、着て涼しい、夏にぴったりの服になるはずだ。

制作がめちゃくちゃ楽しかったので気に入ってます。もっといろんなバージョンが作りたいです。あとこれ以来ラメが大好きです。

 

斎藤公輔 の自選:
新しい携帯ゲーム機「風呂」

たまごっち、デジモン、ポケットピカチュウなどなど、専用のゲームで遊べる小型の携帯ゲーム機に魅了される10代だった。あれから20余年。いまなら、あの雰囲気のゲーム機を自分で作ることもできるのではないか。作ってみることにした。

蛇口をコントローラにするアイデアがかなり気に入っています。あと妙に海外でウケているのを見て、蛇口ネタは世界で通用するぞ! という、あまり今後に生かせそうにない手応えを感じました。

 

爲房新太朗 の自選:
「とんがりコーンを指に装着」を自動化してスタイリッシュに

とんがりコーンの魅力をスタイリッシュに引き出すため、自動で指に装着してくれる装置を作った。

機構についてたくさん書けたので満足でした。だいたい作り終わったあとにとんがりコーンの箱に装置が入れることを思いついたときのすっきり感が気持ちよかったです。

 

べつやくれい の自選:
なんでもゲーミングPCみたいにしたい

ゲーミングPC、ゲーミングマウス、ゲーミングキーボードはなかがほんのり光っている。光が漏れ出ればゲーミングになるのではないか。

アイデアも内容も、ひとつも生産性がなくて気に入っています。ゲーミングPCみたいなものをもっと発見して愛でたいです。

 

つりばんど岡村 の自選:
ズレるメガネ

人はメガネがズレると愛嬌のある顔になる。もっとメガネがズレた人が増えれば楽しい世界が広がるはずである。

ただただバカバカしくとても気に入っています。「これは大ヒットする」「一応特許をとっておいた方がいいかもしれない」とまで思いましたが、公開後何の反響もなく思い出深い記事となりました。

 

カテゴリに分けてお送りしておりますが、なんというか、これが人生だな…としか言いようのない記事が中にはあります。「酸いも甘いも噛み分け」の酸いと甘いの部分に相当する記事です。 

ジーン の自選:
ペットボトルのキャップにストローを刺すとアイドルの水

アイドルや芸能人が飲んでいる水には、キャップにストローが刺さっている。それを作ってれば「アイドルのいる空間」にならないだろうか。

アイドルへの愛が溢れすぎて「怖い」と評判でした。記事公開後、養生テープに名前を書いたアイドルの楽曲プロデューサーさんにツイッターで言及して頂いていて大変申し訳ない気持ちになりました。

 

 

石川大樹 の自選:
試食みたいな小皿に食べ物を入れて食べると泣ける

かつての日常を思い返すとき、大切なものを一つ忘れていないでしょうか。そうです、スーパーの試食です。

コロナで失われたけどみんながあんまり注目していなかったものを、うまい具合にエモく切り取れたなと思って気に入っています

 

伊藤健史 の自選:
コピー機に詰まった紙を愛でる

コピー機がピーピーと警告音を発し、「紙詰まり」を示す。カバーを開け駆動部に詰まった紙を取り出す。そのシワの刻まれた紙は窯から焼き上がった工芸品のようである。

当時、傑作数奇物漫画「へうげもの」を爆読していて、今読み返すとすげー引っぱられてんなーと苦笑しました。「へうげもの」おすすめです!

 

古賀及子 の自選:
さようなら、ビッグマック

大人になると、なんとなく好みが変わって食べなくなるものがある。あえて人生最後の機会を作って食べてみるのはどうだろう。ビッグマックに別れを告げました。
今年はこれと、あと「12人の炊飯器と釜の音」という名作を2本も生み出してしまいました。「デイリーポータルZの記事」という枠の、その枠のなさ、自由さを伝えられたと自負しています。

 
 

山田窓 の自選:
街の灯りを数えると暇がつぶせる

夜の駅前で待ち合わせ、相手からちょっと遅れると連絡がきた。そんなときは、灯りの数をひたすら数えてみよう。

街の多種多様な灯りの数を数えるだけの記事です。簡単に1000を超えるので達成感があります。やりたかったことができてよかったです。

 

高瀬雄一郎 の自選:
長崎県の平戸大橋はZoomの赤い橋にそっくり

Zoomのバーチャル背景の赤い橋はサンフランシスコにあるゴールデンゲートブリッジらしい。しかし日本にもそっくりな橋がありました。

気持ちいいぐらいにそっくりだったので満足しています。橋は似てるし景色はいいし、お刺身はおいしいしで旅行としても最高でした。

 

りばすと の自選:
椅子に座ると楽

人間は二足歩行の動物である。すなわち二つの足で歩行する生き物ということだ。しかし、歩行していないときはどうしたらよいのだろうか。生活を豊かにするヒントはそこにある。

思うままに当たり前のことを書けたので満足しています。前半の写真の赤枠部分が特にばかばかしくて好きです

 

しゃべる

今年は音声コンテンツが2つ始まりました。旅のラジオ不毛ラジオ。その中からも1本。

北向ハナウタ の自選:
北向ハナウタとトルーの不毛ラジオ第13回『新しい星を見つけたらなんて名付けるか』

「地球最後の日に食べるなら何?」「100万円もらったら何に使う?」など きっと誰もが一度はしたことのあるベタな会話のテーマを、 ふたりでダラダラと、時には真剣に掘り下げていくとても不毛なラジオ。

今年の下半期せっせと毎週しゃべっていた不毛ラジオ。毎回いきあたりばったりなのですが、この回は思いもよらぬ”星にしたい良いもの”たちが集まってふんわり良い回になりました

 

明日は他薦記事を一挙に!

というわけでライター自身が選ぶ自信作でした!
あすは執筆者以外のライターがおすすめする、「この人のこの記事はほんとすごかった」セレクションをお送りします。書き手としては意外なものが評価されていたりしてこれまた面白いランキングになっているので、ぜひあわせてごらんください!

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