ジャックドーシー氏がWeb3.0に疑問を呈する
元TwitterのCEOであるジャックドーシー氏が、現状のWeb3.0に対して疑問を呈した。Web3.0のムーブメントを牽引する一部のベンチャーキャピタルを痛烈に批判している。
ドーシー氏は、自身のTwitterで次のように投稿している。
「Web3.0の中心にいるのはわれわれではない。VCとその背後にいるLPたちだ。彼らのインセンティブから逃れることはできない。ラベルが違うだけで、結局は中央集権的な存在であることに変わりはない。」
ドーシー氏による今回の発言は、多くの人物を巻き込んだ論争に発展した。同氏を擁護する人物にはイーロン・マスク氏などの起業家陣営があげられ、反対意見としては当然VC陣営があげられる。
ドーシー氏は特にa16z(米VC大手「アンドリーセン・ホロウィッツ」の共同創業者であるマーク・アンドリーセン氏)の名前をあげて批判し、VCの支配に対する警告を促した。ビットコイン信者として知られる同氏だが、イーサリアムを中心に広がるWeb3.0のエコシステムには疑問を抱いているようだ。
参照ソース
ジャック・ドーシー氏のツイート
You don’t own “web3.”
The VCs and their LPs do. It will never escape their incentives. It’s ultimately a centralized entity with a different label.
Know what you’re getting into…
— jack⚡️ (@jack)December 21, 2021
ビットコインの9割が発行完了
ビットコインの総発行量のうち、9割がすでに市場に出回ったことが明らかとなった。残りの1割は、これから2140年までの100年以上をかけて発行することになる。
ビットコインの発行上限は約2100万BTCに設定されている。これを全て発行し終わるのは2140年になるとの試算が出ている。
ビットコインは、1ブロック生成されるごとに決まった量が発行されることになっており、現在は6.25BTCとなっている。ブロックは約10分に1度生成され、新規発行量は21万ブロックごとに半減する仕組みとなっているため、これを計算すると2140年になるのだ。
なお、これまでに発行されたビットコインのうち、約3割は市場に出回ることがないものと考えられている。その理由は、秘密鍵を紛失したり保有者が亡くなったりといったものだ。
われわれはおそらく、ビットコインが全て発行されるタイミングに居合わせることはできない。しかし、発明者が正体不明である点も含めて、こういった未知の部分が大衆を惹きつける要因になっているのだろう。
参照ソース
- Bitcoin Touches New Milestone With 90% of Total Supply Mined
[CoinDesk]
今週の「なぜ」Web3.0論争はなぜ重要か
今週はジャックドーシー氏によるWeb3.0批判とビットコインの発行量に関するトピックを取り上げた。ここからは、なぜ重要なのか、解説と筆者の考察を述べていく。
【まとめ】
Web3.0は投資対効果が非常に高い
VCの活動は実体経済に少なくない影響を及ぼしている
2022年もWeb3.0が盛り上がる
それでは、さらなる解説と共に筆者の考察を説明していこう。
VCがWeb3.0に賭ける理由
2021年末より、日本でも急激に「Web3.0」という言葉が知られるようになった。日本でも主にベンチャー企業界隈で注目を集めており、今回のドーシー氏の批判の通りVCが牽引する市場であることを感じている。
暗号資産・ブロックチェーンとそこから派生したWeb3.0は、とにかく投資対効果が高いことで有名だ。a16zやParadim Capitalといった著名VCが、こぞって数千億円規模の特化型ファンドを組成し、積極的な投資を続けている。
過去に紹介してきた多くのブロックチェーン関連サービス(DeFiやNFTなどを含む)は、全てWeb3.0に分類される。
Web3.0の成長が速い理由
Web3.0に分類されるサービスは、ほとんど全てが独自のトークンを発行している。トークンをWebサービスに組み込むことで、初期のユーザー獲得が容易になるだけでなく、ユーザーへのインセンティブも設計しやすいのだ。
その結果、創業から2、3年でユニコーンになることが珍しくなく、VCが血眼になって新たな事業を探す現状に繋がる。
現状のWeb3.0は、Web上で完結するサービスが多く、資金がVCと企業の間でのみ流通しているように見えがちだ。そのため、ドーシー氏の批判のようにVCが中心にいるように見えてしまう。
これは事実だが、個人的にはそれによる副産物が実体経済に反映されていると考えている。
実体経済への影響
米国では、VCから資金調達したことのある企業が生み出す雇用が、全体の40%を占めると言われている。これだけでも、VCによる経済への貢献度は少なくないと言えるだろう。
さらにWeb3.0では、「Play-to-Earn」として注目を集めるGameFiの領域で、一国のGDPを成長させた事実もある。フィリピンでは、新型コロナウイルスによって職を失った人々が、人気ブロックチェーンゲームAxie Infinityで生計を立てることに成功している。それどころか、従来の労働よりも高い所得を得ているようだ。
一方で、VCによる活動は資本主義を加速させ、経済格差を広げているという側面があるのも事実だ。この流れはWeb3.0でさらに加速するかもしれない。2022年は、より一層Web3.0に注目が集まりそうだ。