新型コロナウイルスで定着した感のあるテレワーク(在宅勤務)。最近はフルタイム出勤に変わったという会社もあるが、テレワークが継続されているというところもまだ多い。またこれを機に「週に2日はテレワークデー」というように業務形態の見直しがされたというIT系企業もよく聞く。
テレワークでは、会社からセキュリティ対策を厳しく要求されるが、実はそれ以外にも裸同然の無防備な危機がある。それが「停電」によるデータ消失やドライブのクラッシュ、またPCの故障だ。何時間もかけて作ったPowerPointのプレゼンデータが一瞬にして消失! 次回起動時に自動復旧してくれる場合もあるが「えー! かなり前じゃん!」とか割とよくある事例だ。
家はノートPCだから停電があっても大丈夫! なんて方もACアダプタをずっと挿しっぱなしで何年も使ってたりしないだろうか? 買った当時ならスペック通り何時間もバッテリ駆動できるけど、数年もするとバッテリの経年劣化で駆動時間は半減。もっと長く使っていたりACアダプタを挿しっぱなしだと、10分も駆動できないなんてこともあるのだ。
本稿は、セキュリティ対策は万全でも、停電対策に対して全く無防備な多くのテレワーカーに警告! 「覆水盆に返らず」、「やっちまう前にやっておきたい」のためのUPSの導入指南だ!
ニュースにならない停電は梅雨や夏じゃなく冬に多発!
「冬は雷も少ないし停電なんて起こらない」と思う方は多いはず。確かに台風シーズンになると「○○県○○市で×万戸が停電」なんていうニュースをよく見る。会社ならそれまでの話。
しかし在宅勤務となると話は別だ。例えば夏にエアコンを入れて夕食の仕度をしていたら突然ブレーカーが落ちたなんてことはないだろうか? また、小さな事務所でポットのお湯がなくなったから水を継ぎ足したら停電し、経理部から殴り込みが来たなんていうエピソードも全国各地でありそうだ。
そう、ニュースにならない「ブレーカーが落ちる」停電は意外に多いのだ。しかもそれは夏より冬の方が多い。なぜなら夏は暑くても35℃の外気を25℃程度に冷やすだけ。つまりエアコンは室温を10℃下げるだけでいい。しかし冬はどうだろう?
外気が0℃の場合、室温を25℃まで上げなくてはならない。つまり夏のエネルギーの2.5倍も電力が必要になるのだ。そのため、夕食の仕度、レーザープリンタの電源を入れたとき、湯沸しポットに給水したとき、ほかの部屋のエアコンを入れたときなど、ブレーカーが落ちやすくなるのだ。
会社に行けばビルの管理会社がしっかり見守っているコンセント。まずブレーカーが落ちることはないし、万が一停電になっても非常用電源でデータの保存までは凌げる。しかし自宅でのテレワークや、SOHOなどの小さな事務所では「ブレーカーが落ちたり停電には無防備で、停電=即データの消失」に繋がりかねない。
また長年PCを使っている方なら経験した方も多いはずだが、停電のタイミングが悪いと「システムを再起動してもエラーが出る!」、「編集してないファイルまで破損した!」、「そもそもPCが起動しなくなった!」など、冷や汗もののアクシデントに見舞われることがあるのだ。
UPSなら停電も安心。即時バックアップ電源に切り替わりデータ損失なし!
そこでオススメするのが「UPS」(無停電電源装置)だ。UPSは壁のコンセントとPCの間に挟んで使う非常用電源。電気が通っているときは、UPS内部の電池を充電しながらUPSのコンセントに接続した機器に電力を供給する。
もちろんUPSの電池が充電されたら自動的に充電は停止。しかし、雷が落ちたりブレーカーが落ちて停電になったりすると、瞬時にUPS内蔵のバッテリが駆動し、PCに電力を供給してくれる。
そこでオススメなのが、企業のデータセンターなどで数多く採用される実績があり、信頼度の高いメーカー「シュナイダーエレクトリック」のUPSだ。
日本では知る人ぞ知るお馴染みの会社だが、フランスの大手電機メーカーで世界100カ国以上に公共施設や交通、インフラや生産ラインの機械製造、さらにデータセンターやネットワーク構築を手がけている。企業の情報システム部門の人なら「あー、シュナイダーね!」となるくらい有名で、世界のUPS市場ではトップメーカーなのだ。
これまでは企業のデータセンター向けのUPSを製造・販売・設置していたが、昨今SOHOや個人で使うPCやシステムが業務用並みに進化してきたため、そのデータやシステムを守るために個人向けのUPSを販売している。
シュナイダーエレクトリックが提供するAPCシリーズのUPSには、システムの消費電力やSOHOなどで同時にバックアップするPCの台数など、バックアップ時間に応じて様々なモデルがある。一番の違いは内蔵している電池容量で、大きいほどハイスペックなシステム、多数のPCを長時間バックアップ可能だ。
筆者がここで個人用またはSOHO用として、コストパフォーマンスが高く、使いやすいモデルとしてオススメするのがAPCシリーズの「APC Back-UPS BK 750VA 100V(BK750M-JP)」だ。本製品は定価4万2,900円のところ、NTTぷららが運営するひかりTVショッピングにて、2万6,480円で販売されている。
UPSによってはPCが動かない!?
APCシリーズの「APC Back-UPS BK 750VA 100V」は、2Lのペットボトルを4本重ねた程度の大きさで、本体サイズは140×390×190mm(幅×奥行き×高さ)。重さは10.7kgある。UPSを見慣れていないと「デカいし重いな!」と感じるかもしれないが、個人向けでコンパクトなUPSだ。
最近流行りのモバイルバッテリはもっと軽いし小さいと感じる人も多いだろう。でもAPCシリーズに使われているバッテリは車と同じ「鉛蓄電池」でずっと充電状態になっていても長持ちする。
一方モバイルバッテリは、スマホと同じリチウムイオン電池が使われているので、ずっと充電状態にしておくと寿命が短くなるのだ。なによりモバイルバッテリは、停電になった瞬時にAC100Vを出力できないので、PCの停電時非常バッテリとしては使えない。さらに、大容量であっても安いポータブル電源は波形に問題があり、動かないものが多く存在する。
右側の図にあるのような波形の電力ではPCがうまく動作しない。気をつけてほしいのは、UPSによってはこの四角い波形が出るため、いざ停電になってもPCが動かず、せっかくUPSを入れてるのにデータを消失してしまうなんてことがあるので要注意。
四角い波形でも動くのは、ノートPCやルーターなどのACアダプタを使う機器のみと思っておいた方がいいだろう。モーターを使う機器なども、四角い波形は異音がするので注意だ。
しかし、ここで紹介しているシュナイダーエレクトリックのUPSは、コンセントから供給される電力の周波数を検知し、きれいな正弦波の電力を出力するので動かない機器はない。デスクトップPCでもノートPCでもOKだ。もちろんACアダプタを使う機器もすべて動き、モーターを使う機器から異音がすることもない。
なお、UPSに接続できる機器には制限がある。ここで紹介している「APC Back-UPS BK 750VA 100V」の場合は、接続機器の合計消費電力が最大450W(750VA)まで。きちんと使うなら、W(ワット)で計算するかVA(ボルトアンペア)で計算するかを決めて、ワットメーターなどで消費電力を測り、最大電力内に収める必要がある。
とは言え、画像処理や動画編集などもできる少しハイスペックなPCだと何もしていないときで80W程度、重い処理をしているときで300Wほどなので、1台のUPSでPC 1台とディスプレイ1台をまかなえる程度。メールやOfficeなどを使う程度のスペックのPCだと最大でも100W程度なので、1台のUPSでPCとディスプレイが3~4セットと見ておくといいだろう。
さらにAPCシリーズのUPSで使える無償アプリ「PowerChute Personal Edition」をPCにインストールして、USBで接続すれば、あとどれだけの消費電力をまかなえるかがグラフで表示されるので便利だ。
停電したら直ちにPCをシャットダウン!UPS連携自動モードも便利
UPSは停電になると瞬時にバッテリ駆動に切り替わり、接続されているすべての機器に電源を供給する。「APC Back-UPS BK 750VA 100V」の場合、消費電力いっぱいの450W(750VA)まで機器を接続するとバッテリ駆動時間が短くなるので、次のグラフを参考にして、確実にデータを保存し、シャットダウンできる時間を稼げるように接続する機器を調整しよう。
自動でWindows Updateなどがかかってしまった場合などを考慮して、シャットダウン時間は3~5分を見込んでおきたい。ディスプレイが消えてしまったり、USBで接続しているHDDがある場合は、PCと合わせてUPSに接続すること。PCだけUPSに接続していると正しくシャットダウンできない可能性がある。シャットダウンまでに時間を要する場合は、接続する機器を減らして時間を稼ぐようにしたい。
また前述の無償のアプリ「PowerChute Personal Edition」をインストールしておくと停電状態になってから、設定したインターバルをおいて自動的にシャットダウンしたり、UPSの電源状態、残り稼働時間などの各種ステータスをチェックしたり、電圧が極端に上下したときに一時的にバッテリで補完するといった設定などを適用可能だ。
雷の侵入経路はコンセントだけじゃない!
APCシリーズの「APC Back-UPS BK 750VA 100V」をオススメする理由は、完璧な「停電対策」だけではない。万が一の「落雷対策」もパーフェクトという点だ。本機は落雷によるサージやスパイクと呼ばれる瞬間的な高電圧を瞬時に検知。コンセントからの電源供給を遮断してUPSに接続されている機器を守ってくれる。
「家に落雷する可能性なんてほぼゼロでしょ?」と思われる方は多いだろう。しかし落雷のサージやスパイクは、ご近所数ブロックの範囲内に落雷しても飛び火してくるのをご存知だろうか?
電力の供給はブロック単位で行なわれるため、落雷が自宅を直撃しなくてもブロック内に落ちればご近所一帯に影響がおよぶのだ。東日本大震災などで多くの方が輪番停電を経験した通り、最大で輪番停電の1ブロックが落雷の危機にさらされることになる。
また落雷の悪影響はコンセントを介したものだけではない。コンセントや電源コードと近いところにネットワークケーブルを敷設していると、コンセントからネットワークケーブルにスパークし、ネットワークケーブル経由で落雷の影響を受ける場合がある。
「APC Back-UPS BK 750VA 100V」はこの対応も完璧。本体背面には、コンセント以外にネットワークケーブルのコネクタがあり、ルーターやネットワークハブなどの直前にUPSを挟むことで、ネットワークケーブルによる落雷被害も防止してくれるのだ。
なお、UPSは25℃までの涼しい場所で使っていればおよそ4~5年で、30℃までなら少し短く約3年程度で寿命を迎えるが、リチウムイオン電池よりは長持ちする。同じ鉛蓄電池を使う車のバッテリの場合、数年に1回の交換というかたちで使えるようになるが、本製品は交換には対応していないので、その寿命を迎えるあたりで、UPSを新しいものに買い換える必要がある。
テレワークはウイルス対策と停電対策の両輪で安全を担保
ここまで読んで、如何に停電が身近なものであり、データ消失やPCの破損に直結するのか、お分かりいただけたことと思う。今年の冬は厳しい寒さが見込まれ、電力不足が予測されている。途上国のように電力供給が追いつかず停電になることはないが、暖房機器を使うシーンが例年より増えるはずで、結果としてブレーカーが落ちる頻度も増える可能性があるので注意が必要だ。
コンピュータセキュリティはしっかり対策していても、停電対策はほとんどされていないテレワークやSOHO環境。これを機に「保険料」として、シュナイダーエレクトリックのUPSを導入してみてはいかがだろうか?
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