NECら、住民と観光客の乗合バスの実証実験–顔認証で乗客を識別、運賃差に対応

CNET Japan

 日本電気(NEC)と赤井川村国際リゾート推進協会(赤井川村DMO)は12月10日、電通、電通北海道と、北海道余市郡赤井川村にて住民、観光客、リゾート施設従業員が共用する乗合バスの運行実証を、12月11日から本格稼働すると発表した。

 顔認証で運賃差を識別できるシステムを活用する。

 運行区間は、小樽駅前ー小樽築港経由ーキロロリゾートと、札幌大通西1丁目ー札幌駅前経由ーキロロリゾート、それぞれの往路と復路。

 赤井川村住民と観光客、村内の観光施設「キロロリゾート」の従業員が利用できるが、それぞれの属性で料金体系は異なる。実施期間は12月11日から2022年4月3日で、小樽発着便のみ12月4日から先行で開始する。

 両社によると、全国的に地域交通の維持存続が深刻化する中、人口約1200人の赤井川村は、唯一の公共交通の路線バスが2019年に廃線。その代替として、キロロリゾートがチャーターバス事業制度内でバス運行を実施してきたという。

 しかし、観光客を対象とした同制度は公共性が低く、地域住民利用に課題があったという。また、事業者の収益性や、言葉の通じない外国人観光客などのインバウンド利用時の予約、乗車プロセスの煩雑さから生じる運行の混乱なども課題となっていた。

 そこで、赤井川村DMOがキロロリゾートとともに、住民、観光客、施設従業員が共用する乗合バス制度による定期運行を開始。リゾート施設を利用する観光客の需要を取り込むことで収益性を向上させ、廃止路線の復活を目指すという。

 利用者の属性で料金体系が異なるため、予約や乗車のオペレーションが煩雑になる課題に対しては、北海道アクセスネットワークの予約決済システムと、NECの顔認証技術を連携させたシステムを構築。円滑な運行オペレーションを可能にしたという。

 事前登録した利用者の顔を認証し、村民、観光客、従業員など、異なる料金体系の乗客を識別。これにより、乗車管理の煩雑さや言語問題の解決と、新型コロナウイルスなどの感染症対策を両立する。

 なお、顔認証を活用した同実験では、登録時に個人情報利用規約への同意が必要となる。収集するデータは、参加者の同意のもとで収集し、同実験のみに使用。他の目的に使用することはないとしている。

 4社は、公共交通と観光のDX化によって、複数の交通機関やサービスをシームレスに連携し、さまざまな用途で使えるMaaSソリューションを目指すという。

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