【Mac Info】Macで初めてイラスト/マンガを描くなら無料の「メディバンペイント」がスゴイ!

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 これからイラストやマンガを描き始めてみたい! そんなMacユーザーに最もおすすめなのが「メディバンペイント(MediBang Paint)」です。非常に豊富な機能を備えていながら、なんと無料で利用可能。いちからイラストやマンガに挑戦したいという人に、まさに打ってつけのソフトなのです。

メディバンペイントのユーザーインターフェイス。イラスト作成ソフトとしてはオーソドックスで、初めての人でもとっつきやすいでしょう

選択肢が少ないMac用イラストソフト

 とかくクリエイティブなイメージのあるMacですが、イラストソフトは意外と種類が限られます。代表的なところでは「CLIP STUDIO PAINT」や「Photoshop」などがありますが、これらはいずれも有料ソフト。「とりあえず始めてみたい」という人には若干ハードルが高いかもしれません。

 もちろん、無料で使えるイラストソフトもいくつか存在します。しかし、そのほとんどは機能が絞り込まれており、スケッチレベルなら使えるものの、本格的な作品づくりとなると物足りなくなってしまいます。

 そんな中、無料でありながらも非常に多機能なイラストソフトとしておすすめしたいのが、メディバンペイントです。ちょっとした落書きはもちろん、本格的なイラストづくりも、さらに複数ページに渡るマンガ制作にも十分に活用できます。

メディバンペイントのMac版は公式サイトからダウンロードします。App Store経由ではないので注意しましょう

イラスト・マンガ制作の第一歩として

 メディバンペイントは、イラスト・マンガを描くための基本的な機能がひと通り網羅されています。

 まず、画面の基本構成を見てみると[ブラシ]や[消しゴム]などのツール類と[カラー][レイヤー]などのパネル類が並び、グラフィックスソフトとしては非常にオーソドックスな形であることが分かります。ほかのグラフィックスソフトを触ったことがあればすぐに馴染めるでしょう。

 一方、今までグラフィックスソフトを使ったことがない人は、メディバンペイントの操作体系を掴むことで、あとあとほかのソフトでも応用が効くようになります。そういった意味からも、グラフィックスソフトの最初の一歩として最適なのです。

 イラストを描くうえでキモとなるブラシに関しては、シンプルでありながらも基本的な機能がしっかりと搭載されています。ブラシのタイプによって筆圧などのオプション設定が変わりますので、いろいろなブラシを試してみましょう。

 なお、使い始めはブラシの種類が少なく感じますが、必要に応じてクラウドからダウンロードすることが可能です。有料のプレミアムサービス利用者向けのブラシだけではなく、無料で使えるものも豊富に用意されています。

ブラシの設定パネル。筆圧によってブラシサイズや不透明度を変えるかどうかなど、細かな設定が可能。選んだブラシによって設定できる内容は異なります

ブラシパネルにある[ブラシの追加(クラウド)]ボタンを押すと、さらに多くのブラシをダウンロードできます。有料のプレミアムユーザーでなくても、かなり豊富な種類が用意されています

充実したレイヤー機能に大満足

 ブラシに加えて、イラストを描くうえでもう1つ重要なのがレイヤー機能です。このソフトでは、[乗算]や[オーバーレイ]など、高機能なグラフィックスソフトが備えている多数のレイヤーモードを使えるほか、レイヤー内での塗りのはみ出しを抑制する[透明度を保護]や、下のレイヤーから塗りがはみ出ないようにする[クリッピング]といった機能もしっかりと搭載されています。

下のレイヤーで塗られている範囲からはみ出さないようにする[クリッピング]機能。イラストを描くうえで非常に役立つ機能です

 また、本番の線画を描く前の下書きに使える「8ビットレイヤー」も注目です。このレイヤー上に書いた絵は、表示する色味をいつでも変えることができます。プロのマンガ家の中には、本番の線画と見分けやすくするため、大まかなラフデッサンや下書きを青鉛筆で描く人がいます。8ビットレイヤーを活用することで、これと同じような描き方が簡単にできるというわけです。

下書きに役立つ8ビットレイヤー。このレイヤー上に書いたものは、指定した単一色の濃淡で表現されます(この例では青色)

マンガ制作の機能も充実

 メディバンペイントは、イラストだけでなくマンガを描くのにも使えます。中でも特徴的なのが、複数のページを束ねた「プロジェクト」として1本のマンガを管理できるようになっている点です。

 新しいプロジェクトを作るときには、同人誌用やWeb用など複数のテンプレートから目的のものを選べます。テンプレートには内枠など各種のガイドがついているので、このソフトからマンガ制作を始めようという人にも分かりやすいと思います。

マンガ用テンプレートの一例。一般的には、内側のガイドラインに沿ってコマ割りを描きます。フキダシなどの文字要素はこの内側のガイドラインの内側に入れるようにしましょう(印刷・製本時に切れたり読みにくくならないため)

 また、マンガの制作では、イラストを描くときとは違った要素がいくつかあります。たとえば「コマ割り」や「フキダシ」はマンガ特有のものですし、何本もの線によって動きや勢いを表現する「集中線」「流線」といった要素もマンガならではです。

 メディバンペイントでは、こうしたマンガならではの要素を表現するための機能も充実しています。たとえば集中線などは、線の長さや密度、長さのバラ付き加減などをカスタマイズできるので、自分の表現意図に合わせて自由に調整できます。

マンガの表現手法として、もはや必須とも言える「集中線」。メディバンペイントでは自分の意図に合わせて柔軟にカスタマイズできます

 さらに、マンガでよく利用される「スクリーントーン」も簡単に利用できます。スクリーントーンとは、マンガの表現として古くから使われている、ドット柄や線のパターンのこと。手書きのマンガ制作では、薄い粘着タイプのシートを原稿用紙に貼って、カッターで切って使っていました。

 一方、メディバンペイントの場合、まるでブラシで塗るような作業でスクリーントーンを貼ることができる「ハーフトーンレイヤー」という機能を備えています。細かな部分も素早く塗ることができますし、適用するスクリーントーンの種類を後で変えることもできるなど、デジタルならではのメリットがあります。

 スクリーントーンは、一般的なドット柄などのほかに、グラデーションやキラキラ模様など、豊富なバリエーションが用意されています。無料でここまで多くの素材が使えるというのは圧巻です。

ハーフトーンレイヤーを使えば、ブラシで色を塗るような感覚でスクリーントーンを貼っていけます。後でパターンを変更することも可能です

分かりやすいチュートリアルが便利

 ここまでイラストやマンガを描くうえで特に重要な点に絞って説明してきましたが、このほかにもメディバンペイントにはさまざまな機能が搭載されています。初めてグラフィックススソフトを使ってイラストやマンガ制作を始める場合は操作に戸惑うことがあるかもしれませんが、そんなときは公式サイトのチュートリアルをチェックしてみてください。

 「作品を作ってみよう」や「ブラシと消しゴムで描いてみよう」「定規を使ってみよう」「塗りつぶしツールを使ってみよう」など、初心者向けに充実したコンテンツが用意されているので、それを見れば基本的な使い方はすぐに覚えることができるはずです。

 そして実際にソフトを使えるようになったら、あとは創意工夫して描き始めるだけ。高機能で有料なソフトを購入しなくても、メディバンペイントさえあれば今から作品レベルのイラストや大作マンガを作り上げることが可能です。

メディバンペイントの公式サイトのチュートリアルコーナーには、イラストやマンガを初めて描く人のためのコンテンツがたくさん掲載されています

iPadとの連係も可能

 メディバンペイントにはiPad版もあり、Mac版/Windows版とクラウド経由で作品ファイルをやりとりできるので、いつでも好きなときに好きなデバイスで作品を書き進めることができます。

 たとえば、線画を描くときはiPad版アプリとApple Pencilを使って描くのがおすすめ。Macとペンタブレットを使って描くよりも、ダイレクト感が大幅に増します。一方、彩色や変形などの作業を行なうときにはMacのほうがiPadよりも画面が広いので、いろいろなパネルを駆使しながら快適に絵を描き進めていくことができます。

 Mac版/Windows版とiPad版は、ユーザーインターフェイスも共通する部分が多く、機能の多くも共通しています。しかし、エフェクトなどMac版/Windows版だけの機能もあるので、まずはMac版/Windows版を使って操作に慣れるのがいいでしょう。

iPad版メディバンペイントのユーザーインターフェイス。iPad版も無料で使えますが、画面上部などに広告が表示されます。プレミアムユーザーになると広告を非表示にすることも可能です

 なお、メディバンペイントは、Photoshopのネイティブ保存形式であるPSD形式のインポートに対応しています。もし、すでにほかのiPadアプリに慣れている場合、そのiPadアプリからPSD形式で書き出すことができれば、Macのメディバンペイントでインポートして作業を続けることができます。

 PSD形式は、今やPhotoshopだけでなくさまざまなグラフィックスソフトで読み込み/書き出しができます。1つのツールに縛られず、絵を描く場所や作業内容に応じて、いろいろなソフトを行き来しながら作品を作り上げていくのも良いでしょう。

 今後ほかの有料ソフトを使い始める際にも、メディバンペイントで作成した作品や培ったノウハウは無駄にはなりませんので、ぜひ初めてのイラストやマンガの入門用ソフトとして使ってみてください。

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