すっぽんの甲羅で鎧を作る~すっぽん甲羅王への道

デイリーポータルZ

すっぽんの甲羅はギザギザして強そうです。これで鎧を作ったらすごくかっこよくなるのではないでしょうか。すっぽんの甲羅をまといし「すっぽん甲羅王」になります。

すっぽんの甲羅はかっこいい。強そう。

噛まれると痛いすっぽん、月とよく比較されるすっぽん。そんなすっぽんの甲羅がイカしたナリをしているのはご存じでしょうか。

すっぽんの見た目はこんな感じです。ヌボっとした亀みたいでかわいらしいのですが、体の中にある甲羅を見てみると、
突き出たトゲトゲ、骨の広がり。いかついです。

魔除けに使われることもあるそうですが、ほんと納得のフォルムです。たしかに弱い魔物くらいだったら、すっぽんの甲羅を見ただけで逃げそうです。

私もこのパワーにあやかりたい。これで鎧なんか作ったらかっこいいかも。その甲冑を身に着ければ、最強の「すっぽん甲羅王」になれそう。

ということで、ぱっと思い浮かんだだけで正直「すっぽん甲羅王」が何なのかよくわかってませんが、いざ甲羅をまといし王の道を歩もうと思います。

大阪・八尾の「割烹新竹」さんに行く

王になるためには、まずできるだけ多くの甲羅を集めなくてはなりません。しょっぱなから結構ハードな条件ですが、運がいいことに、私には昔からお世話になっているすっぽん料理のお店がありました。

大阪は八尾の「割烹 新竹」さんです。昭和42年(現在の場所に移転したのは昭和55年)から続く名店で、絶品のすっぽんのコースやふぐ料理が頂けます。

しかも、すっぽんのコースを食べると、甲羅がもらえるサービスがあります。私も幼いころいくつかもらいました。

家族でコースを予約して、すっぽん料理&甲羅をいただこうと思います。

店内にあるナイスなすっぽん甲羅装飾

新竹さんの店内に、甲羅をふんだんに使った装飾があります。

甲羅に文字を書いたり、
絵を描いたりして飾ってらっしゃいます。パンク。

甲羅の独特のフォルムからただならぬ空気が醸し出されています。やはり強そうです。

そして、何とご厚意ですっぽんをさばくところも見せてもらいました!

店長・長谷川元信さんの美しい包丁さばき

肉も血も内臓もほとんど食べられるそうで、あっと言う間に一切ムダなく切り分けられていきました。

興奮気味にパシャパシャ撮影した結果、スマホのカメラロールがすっぽんの新鮮なお肉の写真で赤~くなりました。

すっぽんフルコースは王様みたいな食事

さて、ここからは、すっぽんを最大限に楽しめる逸品の数々をご覧ください。
※私の中では、すっぽん甲羅王はがっつりすっぽんを食べます。そういう王です。

まずは前菜です。

季節ごとに変わる三品

まんなかのお料理は、甘酸っぱい柿ソースにほくほくの鰻がベストマッチでした。

食前酒の苦玉の汁(左)と、すっぽんの血(右)

それぞれ胆汁を日本酒で、血をワインで割ったものです。 

血をグビグビいく私

めちゃくちゃ元気でそうです。

肉と卵、レバーなどのお刺身。信じられないくらい臭みがない。

肉はこりこり、卵はトロッとしていて楽しい食感です。子どもの頃は、ほかの人の取り分を気にせず夢中になって食べました。結局20半ばになっても同じことをしてしまいました。

すっぽんのフライ。じゅわっと肉汁が広がります。
鍋!すっぽんがゴロゴロ入ってます。
すっぽんの甲羅も丸ごと入ってます。(甲羅はかたくて食べられません)

すっぽんのダシがしみた野菜のうまいことうまいこと、ぞうすいも最高でした。

本当に王様の食事みたいでした。すっぽん甲羅王への自覚が芽生えました。

※もう一度言いますが、私の想像するすっぽん甲羅王は全然すっぽんの肉を食います。

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甲羅をもらうも、「すっぽん甲羅王になる」とは言えず

予約の時にお願いしていた甲羅ですが、だいたい1グループ1個、ないしは1人1個というところを、なんと15個ももらいました!本当にわがまま聞いてもらってすみません! 

並べるだけで圧巻です。

女将さんから受け取るとき、

「あの~なんか~、工作をします」としか言えなかった。「甲羅王」なんて言えなかった。

いざ鎧を作らん

しっかり食べて精が付いたので、いよいよ王の甲冑を作っていきます。

新竹さんでいただいたもの+メルカリで買ったもの=24個

メルカリでもすっぽんの甲羅を販売してる方がいらっしゃいました。ありがたい。

取引のなかで、「何に使うかわかりませんが、購入ありがとうございます」と言われ、「ようわからんまま売ってるんや」とちょっと面白かったです。

小学4年生くらいの工作を展開

私は衣装を作るのがほんと初めてで、本やサイトで色々調べたのですが、なんかよくわからなかった上に、すっぽんの甲羅を取り入れた衣装の記述がこの世に皆無でした。しかたがないのでド我流でやることにしました。

基本は「接着剤で貼る」です。太めのひもを直に接着します。

上からマスク、胸の飾り、胸甲です。パッと見ほぼ何の違いもありませんね。

ヘッドセットも

100均のカチューシャに貼っていくだけで出来上がりです。
表情に嬉しさがにじみ出てる

甲冑っぽいところも、

段ボール切って、
灰色の布を貼っていきます。
接着剤やひもでつなげていくというお手軽さです。

手作りお土産臭がすごいですが、これは腰あてになります。

他にも、メルカリで買ったマントに甲羅を縫いつけるなど、小学4年生の工作を展開していきました。

いっちょ前に時間はかかりましたが、無事完成しました。
それでは、実際に装備を身に着けていきましょう。

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すっぽん甲羅王、降臨。

すっぽん甲羅王が降臨しました。
これがすっぽん甲羅王です。

モーニングスターを振り回す暴君ですが、

ほら貝の名手でもあります。

ついに夢のすっぽん甲羅王になることができました。

やはりすっぽんの故郷である川が似合う
防御力も高そうだし、トゲトゲがいかめしさを演出しています。かっこいい……
西日を背負う甲羅王

「すっぽん甲羅王は川を統べる者で、人々はもちろんすっぽんからも畏怖されてるんやろうなあ、川荒して怒らせるとめっちゃ噛んできたり、モーニングスターおもっくそぶつけてきたりするんやろうなあ……かっこいいなあ」

と、王としてふるまううちに私の脳内のあやふやな「すっぽん甲羅王」が具現化されて、すごいテンション上がりました。

撮影中のはずかしさ

友人の四谷くんを連れて近所の公園に行って撮影をしました。

地元の同級生が通る確率がある所でこんなことをしている

祝日だったので、近所の方々がめちゃくちゃ憩いの時を過ごしていて、甲羅王としてうろつくのがはずかしかったです。四谷くんもしきりに「はずかしい」と言っていました。

あと、同じ公園に『鬼滅の刃』のコスプレをしたちびっこたちがいました。炭治郎の服を着た子がひょいっと私の近くに来て、

「こっち来て!」と他の子やお母さんを呼び寄せようとしてきて焦りました。

肝を冷やした後、四谷くんになにげなくこんな話をしたのですが、

「お前は何を言っているのか」といった反応でショックでした

みんなの感想~集まる散々な言われよう~

私は割と甲羅王の出来に満足し、写真を見ると「すっぽん甲羅王や……かっこいい……」としか思わないのですが、他の人から客観的に見てどうなのでしょうか。

4人くらいに写真を送りつけて感想を聞いてみたところ、

と散々な言われようでした。「かっこいい」という意見は聞けませんでした。

「そうか・・・」という感じでした。

しょんぼり王です。

自分で言っておきながら「・・・すっぽん甲羅王て何?」と疑問でしたが、しかし、フヤフヤしたイメージがフヤフヤしたまま形になっていくのは何か面白かったです。

ただ、すっぽん甲羅王は友人にまったく人気がなくて、撮影に協力してくれた四谷くんに「着てみる?」と聞いて、「嫌や」と言われたことは忘れません。

でも私だけはすっぽん甲羅王を支持し続けようと思います。

甲羅をくれた女将さんにどうやってこれを説明すればいいか悩み中です。

ご協力くださった新竹さんの情報はコチラ

「割烹 新竹」
住所:大阪府八尾市光町2丁目180 ペントモール八尾5番街
近鉄大阪線 近鉄八尾駅徒歩3分
営業時間:17:00~24:00  
定休日:火曜日※但し予約があれば営業して下さるそうです
電話番号:072-996-1119

コロナの影響で営業時間が変更になっている可能性があるので、電話で予約されることをおススメします。

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