今週のつぶやき:あぁ、みずほ銀行 ほか

アゴラ 言論プラットフォーム

大谷選手のMVP、おめでとうございます。立派な成績に結果がついてくることを改めて示してくれました。MVPは欲しくてとれるものではありません。その中、満票というのは他者を圧倒した力があったことを認めてくれたわけです。私はその中でも二刀流という前代未聞の起用を認めた監督と仲間にも恵まれたし、彼はどんなことがあっても腐らなかったことが何より素晴らしかったと思います。人がやらないことをやる、とても刺激になります。

では今週のつぶやきをお送りします。

FRB新議長は誰に?

大幅な遅れが出ているFRBの議長の選任はバイデン大統領が24日までに決定すると公表しています。注目の議長候補には現職のパウエル議長とブレイナードFRB理事の2人に絞り込まれています。ブレイナード氏はハト派とされ、仮に選出されればイエレン議長に次いで2人目の女性議長となります。下馬評はパウエル議長有利となっていますが、薄氷の決定になりそうです。問題は上院の判断で議員数が民主共和が50/50の中、トランプ大統領が選んだパウエル氏ならば共和党は抑えられるかもしれませんが、民主党内の調整が微妙なのかもしれません。

パウエル氏は就任当初は市場との会話がかみ合わず、氏が記者会見すると必ず株価が下がるとすら言われました。その後、氏は相当反省し、勉強もしたのでしょう。最近はパウエル プット(パウエル議長の発言で市場を支援すること)と揶揄されるほどになりました。イエレン財務長官もパウエル氏を支持しているようです。氏が選任されれば市場には安ど感が漂うでしょう。一方、ブレイナード氏はハト派ですので仮にその言葉通りだとすれば利上げなどについては慎重な姿勢を見せるため、ナスダック銘柄や金にはプラスとなります。

ただ、現状のインフレについての判断が分かれる中、判断の先送りをするほど余裕があるのか、といえば私は懐疑的にならざるを得ません。原油価格の高騰についても備蓄の放出をすることで一時的な価格高騰を抑え込みましたが私は以前から言っているようにこのトレンドはそんな生易しいものではありません。ゴールドマンサックスも同様の指摘をしており、落ち着いていた原油価格も再び上昇すると見込まれます。個人的にはこの難局を乗り越えるにはパウエル氏の方が無難である気はしますが、さて政治的にどう決着をつけるのか、バイデン大統領の采配に注目が集まります。

BC州の緊急事態宣言がもたらすもの

私が住むカナダ ブリティッシュコロンビア州では今週、猛烈な雨風に見舞われ、各地で歴史的で甚大な被害をもたらし、州知事は緊急事態宣言を発令しました。最大の問題は各地が街ごと洪水になってしまうような状態に陥ったこともありますが、道路と鉄道が寸断されたことにあります。橋は落ち、山は崩れ、高速道路は複数箇所で同時に崩落し、その間を走っていた数百台の車は逃げ場を失い、ヘリコプターで救出されています。

このため、バンクーバー港からカナダの東部に向かう鉄道網がストップ、港に陸揚げされたコンテナの行き場が無くなったのです。トラック輸送も大動脈が切れているので動きが取れません。現在、このホリディシーズン向けにアジア各地からバンクーバー港に船が続々と集まりますが、これが全部滞るのです。すでにトロントのショッピングモールでは品薄になっていたところにもう後の便はないとなれば今週末には買い物客の争奪戦が起きそうでカナダ東部の店舗からは商品が蒸発する可能性が出てきています。

そもそもコロナでサプライチェーンの脆弱性が指摘され、船便が各地の港で滞留するという問題が生じている最中で起きたこの事態。店も消費者も他人事どころではなく、「私もシャベルをもって手伝いに行く!」という声すら出てきそうな勢いです。ただ、最後につけ加えておくならば当地では50年に一度ぐらいの雨でもこれほどの被害になりますが、日本はそんな雨が降っても大抵は上手くしのぎます。備えあれば患いなし、とはこのことで、改めて災害に強い日本は立派だと感じたところです。

あぁ、みずほ銀行

2002年、日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行が合併してできたこのメガバンクは合併から19年たった今でもその本来持てる実力を発揮することはありません。それは野球で3番、4番、5番打者が「俺たちのチーム」を作ったけれど誰が4番を打つのか、いつも陰でののしり合い、足の引っ張り合いをし続けたからです。料簡の狭いこの銀行についに下されるのが金融庁による業務改善命令。それは現在のトップのクビが飛ぶ厳しいものとなります。

みずほ銀行 Wikipediaより

今年に入ってシステム障害は8回。そのたびにテレビの再放送を見るように頭を下げる幹部には緊張感は既になく、「おい、お前のせいで俺はまたフラッシュを浴びることになったぞ」と記者会見後、部下を相手に「おまえの分も頭を下げてきた」といって高級飲食店でお酌をさせるのが関の山。銀行マンのレベルはこんなものというのは結局、自分で何かやる能力はなく、とってつけたような知識を「伝家の宝刀」と言わんばかりに振り回すだけなのです。

今回のシステム障害も結局3つの銀行がそもそも使っていたシステム業者を均等に使おうという「配慮」から起きた複雑性が引き起こしたもの。そしてシステムが複雑になれば当然、その開発にもメンテにもお金がかかるわけで今回はその天罰が下ったわけです。そうは言ってもこの銀行は何度天罰が下ってもめげることなく、「今度はうちのチームが浮かばれる番だな。ようやく回ってきた4番だ。ヘマするなよ」とやはり、別の高級飲食店でワイングラスをぐるぐる回している姿を想像してしまう私はテレビの見過ぎでしょうか?

後記
今、これを出張中のトロントのホテルで書いています。バンクーバーとトロントは日本でいう羽田-福岡便のような感じで私がいつも乗る23:35発のボーイング787の夜行便は超満席。この飛行機は別名レッドアイ。理由は4時間乗ってトロント着が現地時間の朝6時半。眠くて目が赤くなるからそう名付けられています。一方、私が空港から乗ったバスは二階建ての立派なものでしたが乗客は私一人。運転手が「お前何処に行く?」と聞き、行き先のすぐそばの交差点で目的地はそこだから、と教えてくれて停留所でもないところで降ろしてくれました。日本じゃあり得ないけれどこういう親切は嬉しいものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年11月20日の記事より転載させていただきました。

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