東京都文京区には古代遺跡みたいな児童公園がある

デイリーポータルZ

東京都文京区、水道橋駅と御茶ノ水駅の間に小さな公園がある。

昭和5年(1930年)に開園した元町公園だ。

これが古代遺跡みたいで非常にかっこいい。

平成元年生まれ。令和から原始まで、古いものと新しいものが好き。

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最寄駅はJRの水道橋駅
江戸城の旧外堀に沿った道を上っていくと5分ほどでつく
見上げると何やらエキゾチックな鷲の彫刻が睨みをきかせている
元町公園の入り口にある大階段

まるで南米の遺跡に迷い込んでゆくかのような佇まいだ。

1923年に作られたあの有名な帝国ホテル(世界的な建築家フランク・ロイド・ライトが設計。現在明治村に正面玄関部分が保存されている)にも似た雰囲気がある。

昭和5年(1930年)1月25日開園

関東大震災で壊滅的な被害をうけた東京において、帝都復興事業として作られた52ヶ所の復興小公園のひとつがこの元町公園である。

大階段を上ったところにある壁泉

そのほとんどは現代的に改修され面影を失ったが、ここ元町公園は1985年までの改修工事で復元的に修理され、開園当初の面影を今にのこしている。

そんな超貴重な場所なのだ。

大谷石が配される前衛的な外壁に、
この茂りっぷりである

何にでもジブリっぽさを見出しがちな人は、是非ここにきてほしいと思う。

最大の見どころはこのカスケード(水階段)
やわらかい曲線が美しい
やや閲覧注意だが、今は水を循環させておらずハナアブの幼虫たちが蠢いていた
藤棚も当時のデザイン
それにしても、外堀から続く高低差がすごい
階段上の広場には大きな木が繁っており、歴史を感じさせる
コンクリート製の滑り台もある
ちゃんと今でも使えるようになっている
人のいない瞬間を待って撮ったが、いつもは近所の子供たちが遊ぶ普通の児童公園だ
かわいい遊具もある
ベンチもまた別の懐かしい雰囲気
隣には1927年築の元町小学校があるが、1998年に閉校となった

復興小公園は当時としては貴重な鉄筋コンクリートの小学校とセットで、防火帯&避難場所の役割をもって作られた。

実際に上野では同様の復興小学校(小島小学校)が壁となり、空襲の延焼被害を食い止めた例もあるようだ(今もその一角には戦前の木造建築がちらほらある)。

実は今年から解体工事を行なっている
こうみえて貴重な戦前の建築なのだが、知らないと気づかないと思う

まったく古く感じないかもしれないが、それも当時最先端のモダンデザインを取り入れたから。

先取りされた普通なのだ。

すべてが取り壊されるわけではなく、東側部分を保存して、あらたに文化施設となるようだ
ちなみに、どんな施設になるかは文京区のホームページで公開されている。公園も一緒にキレイになるのだと思う
このあやしくも魅惑的な戦前の雰囲気をぜひ残してほしい
帰りは御茶ノ水駅へ歩くと、旧江戸のスケール感が味わえてまた楽しい

 

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