共産党との共闘に国民は違和感 – 田原総一朗

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田原総一朗です。

10月31日、衆議院選挙の投開票が行われた。選挙前、自民党が40以上、議席を減らすだろうと予測が多かった。かくいう僕もそう予測した。岸田文雄内閣は、安倍晋三元首相、菅義偉前首相から、遺産をそのまま受け継ぎ、独自色が見えない。決して高支持率の発進、というわけではなかったからだ。

対する立憲民主党は、日本共産党、社会民主党、国民民主党、れいわ新選組と、野党5党で共闘体制をつくった。これがうまくいき、立憲民主は議席を増やすだろうと、言われていた。

しかし、蓋を開けてみれば、自民党は議席を減らしたものの、その数は15議席。対して立憲民主党は、
13議席も減らしてしまった。枝野幸男代表、福山哲郎幹事長は引責辞任。辻元清美副代表は、落選してしまった。僕は以前枝野さんに、「代表の後継は辻元がいいのではないか」と言い、枝野さんは「私もそう思う」と答えていたのだ。その辻元が……である。立憲民主党は大ダメージを受けた。

いったいなぜここまで、得票が落ち込んだのか。ほとんどのメディアや評論家は、「共産党と組んだことが失敗だった」と分析する。国民の多くは共産党に、違和感があるというのだ。しかし、その「違和感」がここまで強かったとは、僕も実は意外だったし、枝野さんも予想していなかったのではないか。

共産党は、「自衛隊は違憲、日米安保は破棄」という党だ。一方、立憲民主党は、日米安保は堅持の方針だ。両党は根本が食い違っているのである。こうした矛盾点を、国民は厳しく見たのかもしれない。

独自で闘った日本維新の会は、11議席から41議席と、4倍近く増やした。大きな要因は、大阪で松井大阪市長と吉村大阪府知事が、新型コロナ対策などで具体的に活躍し、大阪以外の国民もリアリティを感じたのだろう。結果、自民党への不満が、立憲民主や共産党ではなく、日本維新の会に行った。

議席減は予想より少なかったとはいえ、自民党は今回の選挙結果を厳粛に受け止めてほしい。問題は、来年の参議院選挙だ。安倍元首相は、日銀の黒田総裁と組んで、「異次元の金融緩和」を行ったが、結果的に経済成長は乏しかった。岸田首相も、「成長と分配の好循環」を謳うが、まだ具体性が見えない。

岸田首相は、きちんとしたビジョンを、早く国民に示すべきだろう。