ウィズコロナ時代の海外出張体験記–出発までの手続きや検査、隔離期間の過ごし方は?

CNET Japan

 ビジネスパーソンにとって悩ましい問題がある。コロナ禍に海外出張へ行くべきか否かだ。10月、フランス・カンヌで2年ぶりにリアル開催されたビジネスマーケットに現地まで足を運んだジャーナリストの長谷川朋子氏が、コロナ対応の海外出張の準備から帰国後の隔離期間の体験をレポートする。なお、この内容は10月末時点のものとなっている。

航空券や宿の手配よりも先にすべきはPCR検査所探し

 海外渡航は以前と比べて容易なものではなくなった。だが、世界のビジネスの現場が徐々にウィズコロナ対応へと進み出し、海外出張を検討し始めるビジネスパーソンは増え始めているのではないか。筆者が10年以上にわたり足を運んでいる世界最大級の番組コンテンツ見本市MIPCOMも10月、2年ぶりにフランス・カンヌ現地でリアル開催が復活した。現地の模様をいち早くキャッチしようと、海外渡航を決断したのは開催1カ月前の9月中旬だった。


羽田空港出発ロビー。羽田空港国際線ターミナル出発ロビーは閑散としていた

 その段階でコロナ禍の海外渡航の準備にまず必要なものがわかった。ワクチン2回接種済みの「ワクチンパスポート」とフランス入国の際に必要なEU共通の「衛生パス」を取得することだった。衛生パスはオンライン上で旅券と日本のワクチンパスポートのコピーを提出すれば、数日でデジタル発行された。この衛生パスはQRコード付きのデジタル証明書で、スマホに保存でき、管理も簡単だ。

 準備が難航したのは、カンヌ現地にある日本の厚生労働省指定のPCR検査所を探し、予約までたどり着くまでのプロセスだった。カンヌは映画祭が開催される南仏のリゾート地として世界的には有名だが、人口7万人程度の小さな街である。探した限りでは、ネット予約できるPCR検査所は見つからなかった。主催者の協力も得て、条件を満たすのはカンヌ中心地から5キロ離れたムージャン村にある検査所であることがわかった。


カンヌ中心地から5キロ離れたムージャン村にあるPCR検査所

 なぜここまで必死になって検査所を確保する必要があったかというと、復路便の搭乗72時間以内に陰性結果とそれを証明する指定フォーマットの書類に手書きサインしてもらう必要があるからだ。それがないと、復路便に搭乗できない。これはどの国でも同じ条件だ。

 ここまで終えれば、後は航空券とホテルを確保するのみ。ただし、最終目的地までトランジットが必要な場合は、経由地によって別途、日本での陰性証明書が必要になるケースもある。航空会社によっても条件が異なる。それぞれ事前に確認しておくことをオススメする。筆者は衛生パスだけあれば十分なパリ経由ニース行きのJAL便を選んだ。

 出発日当日を迎え、羽田空港国内線ターミナルに向かうと、出発ロビーは閑散としていた。JALのチェックインカウンターも人はまばら。着席スタイルのテーブルが設置され、そこで入国先によって異なるコロナ対応手続きをマンツーマンで確認することができた。そこで新たにフランス政府発行の誓約書に記入し、後は搭乗前までいつも通りの過ごし方だった。

 機内では常時マスク着用する以外はそう変わりはしない。約12時間のフライトを経て、パリのシャルル・ド・ゴール空港に到着すると、フランス入国時は拍子抜けした。用意していた誓約書の提出は求められず、衛生パスの提示も必要なかった。いつもと何ら変わらないまま、国内線に乗り換え、ニースのコート・ダジュール空港に着いた。


ビジネスマーケットMIPCOM会場の際は「衛生パス」の表示が必要だった

 カンヌに移動し、5日間の滞在中、ビジネスマーケットMIPCOMの会場入場の際は衛生パスの提示が求められ、会場内には至るところに消毒液が設置されていた。海外取材の勘も徐々に取り戻していき、帰国日の3日前に仕事の合間を縫って、予約していたムージャン村のPCR検査所に向かった。

 希望の午前中に予定通り受けることができ、検査費用は45ユーロと、リーズナブルな価格だった。検査結果はその日のうちに登録していたメールアドレスに届いた。「Negatif=陰性」の文字を確認し、安堵するも間もなく翌日、再び同じPCR検査所に向かった。厚生労働省のHPからダウンロードし、プリントした証明書に手書きで必要事項を入力してもらう。無事完了した後、ムージャンは画家のピカソが晩年を過ごした場所でもあり、せっかくなので観光もした。


フランスPCR検査所から届いた陰性結果通知

 以降は、帰国に向けたプロセスになる。復路便の搭乗前に先の陰性証明書を提示がやはり必須だった。機内では検疫所に提出が必要な書類が配布された。記入作業を終えて、日本に着くと、検疫所で約1時間に及ぶチェック作業が始まった。

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