アマゾン、英諜報機関からクラウドを受注か–AI利用促進に向け

CNET Japan

 英国の諜報機関である政府通信本部(GCHQ)が、Amazon傘下のAmazon Web Services(AWS)と契約したと報じられている。機密情報の保管と、諜報活動への人工知能(AI)の利用促進が目的とみられる。

 AWSからクラウドインフラを調達する契約は、GCHQが結んだものだが、Financial Times(FT)の報道によると、共同オペレーションの際は、同じく英政府の諜報機関であるMI5とMI6や、英国防省でも利用されるという。

 この契約は公表されていないが、2021年に入って締結されたと報じられている。契約金額は今後10年で5億~10億ポンド(約800億~1600億円)に相当すると、FTの複数の情報筋は述べている。

 GCHQのJeremy Fleming長官は、2月にFTに寄稿した論説の中で、「(当局は)AIが今回の(デジタル)トランスフォーメーションの中核になると期待しており、その使用については透明性を保てるようにしたい」と述べていた。

 AWSはAIを活用する広範なツール群を取り揃えており、その中には、物議を醸してきた画像と動画の分析プラットフォーム「Amazon Rekognition」、音声認識と音声合成、翻訳とテキスト分析、米国のインテリジェンスコミュニティー(IC)を対象にした「AWS Secret Region」などが含まれる。

 GCHQののサイバーセキュリティ部門である英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)の元所長、Ciaran Martin氏はAWSとの契約について、「収集または保管するデータを増やすことではなく、既存の大量のデータをより効率的に利用すること」が目的だろうとコメントした。

 AWSという米国企業が提供するクラウドサービスを選んだことで、英国のデジタル主権に関する問題を懸念する声が上がっている。FTの情報筋によると、GCHQは当初英国の事業者を探していたが、必要な規模と能力を備える自国企業を見つけられなかったという。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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