Looop「再エネ電力宣言」発表–日本のエネルギー自給率とコスト低減目指し事業変革

CNET Japan

 Looopは4月28日、価格高騰や需給ひっ迫が考えられる日本のエネルギー事情を受け、再生可能エネルギーによるエネルギー自給率の向上とコスト低減を目指し「再エネ電力宣言」を発表した。再エネ普及へ向けた道筋を示し、自らがロールモデルになっていくという。同日には事業方針説明会を実施。エネルギー業界についての現状認識や今後事業について、代表取締役 CEOの中村創一郎氏が説明した。

Looop 代表取締役CEOの中村創一郎氏
Looop 代表取締役CEOの中村創一郎氏

 Looopの2020年度の売上高は567億円、施工実績は約200メガワットで、低圧契約件数は現時点で37万件に上る。「事業の特徴は、再エネの創る、コントロールする、届けるに関して一気通貫で手掛けているところ」(中村氏)と強調する。

 エネルギーをめぐる現況については「電力卸売市場は大高騰している。一旦落ち着いたように見えたが、2021年9月以降も高騰を続けている状況。その背景にはLNG(Liquefied Natural Gas=液化天然ガス)の高騰があり、新電力だけでなく、大手の電力会社も新規受付の停止、供給停止といった判断もある。ウクライナ情勢を背景に3月上旬以降に急騰しているが、根本的な問題もある。それが、火力発電所が次々と退出していること。その一方で、再生可能エネルギーを含むほかの電力が育っておらず、安定供給をしっかりと保証する仕組みができていないのが問題」(中村氏)と指摘する。

 また「さらに根本的な問題は化石燃料に依存していること。日本のエネルギー自給率は12.1%と周りの国と比較して非常に低い。化石燃料への依存を解消しない限り、外的要因によるエネルギー危機に直面する」(中村氏)と続けた。

電力卸売市場価格高騰
電力卸売市場価格高騰
化石燃料依存が根本的課題
化石燃料依存が根本的課題

 Looopでも現在新規の受付はストップしており、3月の時点では6月の受付再開を計画していた。「現時点での受付再開時期は未定。3月の時点では4月に入れば電気代は落ち着くと考えていたが、状況は改善されなかった。そのため6月の再開は厳しいと判断している」(中村氏)現状を明らかにした。

 こうしたエネルギーの現況を背景に、発表した「再エネ電力宣言」は、再エネの発電所を増やし、コントロールし、最大限に届ける電力会社となることで、日本のエネルギー自給率の向上とエネルギーコストの低減に向けて邁進していくという、Looopの強い意思を示したものになる。

再エネ普及に向けたロードマップのイメージ
再エネ普及に向けたロードマップのイメージ

 具体的には「Looopでんき」の価格を見直し、再エネ設備導入の可能性の高い、一戸建てや小規模ビジネス事業者を中心に競争力のある価格設定を採用。太陽光や風力をはじめとした自社発電所の開発、産業用、住宅用屋根置き太陽光発電の普及を加速させ、再エネ電源確保と技術投資をしていくとのこと。確保した再エネ電源を活用してサービスを拡充し、顧客に再エネを届けることがスタンダードになることを目指すとしている。

 Looopでんきの新料金体系では、「おうちプラン」で5.6〜19.7%、「ビジネスプラン」でも4.7〜16.1%の値上げとなる。「今後燃料に左右されずに価格を維持するために再エネに投資していかねばならない。その投資のために原資を確保する」(中村氏)と理由を説明する。地域的には北陸、四国といった西日本での値上げ幅が大きいが、「このエリアは競争環境が厳しいため」(Looop 取締役 電力事業・技術開発管掌の小嶋祐輔氏)とした。

Looopでんきの新料金体系「おうちプラン」
Looopでんきの新料金体系「おうちプラン」
Looopでんきの新料金体系「ビジネスプラン」
Looopでんきの新料金体系「ビジネスプラン」

 再エネ電源としては、太陽光と風力を中心に展開していく予定。北海道天塩郡豊富町で「ウインドファーム豊富」を2024年4月に運転開始するほか、北海道標津郡中標津町に約3万キロワットの蓄電池併設型メガソーラーの拠点を構える。

 「発電所を増やすだけでなく、需要家側の電力を制御するデマンドレスポンスへも対応していく。2021年12月にはさいたま市でスマートシティのためのエネルギーマネジメントシステムの『エネプラザ』の運用を開始した」(中村氏)と新たな展開にも取り組む。

 新プランの開始時期は6月。Looopはこうした取り組みが日本における再エネ普及のモデルケースとなるように進めるとともに、さまざまなステークホルダーと協力し合うことで再エネによる日本のエネルギー自給率の引き上げに貢献していきたいとした。

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