「ラボ培養のコーヒー」が世界で初めて実現、味も香りも本物レベル

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食糧危機への意識の高まりから、近年は食肉を培養する技術が発達しており、2021年6月には産業用培養肉生産施設も誕生しました。世界的な人気食品の1つであるコーヒーについても同様の取り組みが行われており、2021年9月に世界で初めてラボでコーヒーを培養することに成功したと発表されています。

Sustainable coffee grown in Finland – | VTT News
https://www.vttresearch.com/en/news-and-ideas/sustainable-coffee-grown-finland-land-drinks-most-coffee-capita-produces-its-first

In Finland, scientists are growing coffee in bioreactors
https://www.fastcompany.com/90677435/what-if-your-coffee-came-from-a-bioreactor-not-the-bean-belt

コーヒーは世界的に需要が高い飲み物ですが、気候変動によってコーヒーを裁培できる場所が減少し、その生産量が大きく落ち込んでいると伝えられています。また野生のコーヒー種の60%が絶滅の危機に瀕しているという指摘があるほか、コーヒー生産に関する搾取構造も問題視されているとのこと。多数の問題によってコーヒー産業の持続可能性が危ぶまれていることを受け、フィンランドVTT技術研究センターは「コーヒーを細胞培養する」という研究開発を行っています。

研究チームによると、コーヒーの培養は人工肉と同様の技術で行われているとのこと。つまり、まずコーヒーの細胞がラボで培養され、細胞株が得られた後、栄養培地で満たされたバイオリアクターが成長を促すという流れです。

実際のプロセスは以下の通り。まずコーヒーの葉から細胞が分離され……


培養されます。


培養された白っぽい細胞を乾燥させて粉状にするとこんな感じ。


粉を焙煎すると、本物のコーヒーと区別のつかない見た目に。


以下のムービーからもコーヒーをラボで培養する様子を見ることができます。

Farming coffee in Finland – YouTube
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実際に研究者が細胞培養したコーヒーを飲んだところ、味や香りは通常のコーヒーのようだったとのこと。また培養するコーヒーの品種を変えたり、焙煎の度合いを変えたりすることで味や香りを変化させることができるほか、培養プロセスに手を加えることでカフェインやフレーバーといった特定の要素を調整することも可能だと考えられています。


研究チームの1人であるHeiko Rischer氏によると、人工肉の栄養培地に比べてコーヒーの栄養培地は単純かつ安価とのこと。また植物細胞であるコーヒーは人工肉と違ってスケールアップも容易だとRischer氏は説明しました。

コーヒー細胞の培養はまだ研究段階ですが、研究チームは商業化に向けて企業と提携することを計画しており、4年ほどでスケールを拡大し当局の承認を得ることができると見ているとのこと。ラボ培養のコーヒーは今後コーヒーの需要が世界規模で増加してもコーヒー不足の影響を和らげることができるほか、フィンランドのようなコーヒー裁培に向かない土地でも「地元でとれたコーヒー」を実現できる可能性があると考えられています。

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