新型コロナウイルスのバタバタのせいで忘れてしまっていたが、そういえばコロナ禍になる前『シェアハウス』はちょっとしたトレンドだった。1つ屋根の下、見知らぬ者同士が始める共同生活……正直、めっちゃ憧れてます。
つい先日、ふとした瞬間に「そういえばシェアハウスはコロナでどうなってるんだろう?」なんて疑問が湧いてきた。今回は男性3人でシェアハウス生活を送る男性(30歳)に話を聞くことが出来たのでお知らせしたい。
・トレンドだったシェアハウス
シェアハウスがインターネットやメディアで話題になったのは2019年頃。当サイトでもシェアハウス経験者のヒラジ記者が「シェアハウスに2年間住んでみて分かった良かったこと、悪かったこと」という記事を公開している。
当時はずいぶんとシェアハウスがちやほやされたもので「一種のトレンドだった」と言ってもいいだろう。だがしかし、新型コロナウイルスの影響でシェアハウスのことを多くの人が忘れ去ってしまったに違いない。みんな、自分のことで精一杯だもんね。
普通に考えれば、一般的な1人暮らしや家族暮らしよりも人流が多そうなシェアハウス。コロナとの相性は最悪に思えるが、実際のところはどうなのだろうか? 今回は男性3人でシェアハウス生活を送るAさん(30歳)に話を聞くことが出来た。
──まずはシェアハウス歴を教えてください。
「ちょっとややこしいんですが、コロナが流行る前は60人規模のシェアハウスに住んでいました。ただ、会社が事務所兼シェアハウスを購入したことをきっかけに、男性3人で共同生活が始まりました。現在のシェアハウスは品川区にあります」
──なるほど。
「事務所兼シェアハウスなので、3人以外にも出入りしている社員が2人います。大型シェアハウスに住んでいた時期も含めると、シェアハウス歴は2年半ほどでしょうか」
──わかりました。まず、コロナが流行り始めた頃、不安はありませんでしたか?
「それはやっぱりありましたね。ただ全員がかなり気を付けていました。お互いに極力外出しないよう心がけていましたし、事務所に行かず部屋で仕事をすることもかなり多かったです。1人かかったら蔓延することはわかり切っていたので」
──ふむふむ。
「緊張感を持って生活していたおかげか、1年目は1人もコロナにかかることなく何とか終えることが出来ました。ただ……」
──ただ?
「今年(2021年)の8月ですね。同居人の1人が新型コロナウイルス感染症と診断されたんです」
──なんと。
「同居人は1度ワクチンを受けていたんですが、関係ありませんでした。そこからは早かったですね。出入りしている社員や自分も含め、4人がコロナにかかりました。シェアハウスが一気にコロナハウスになりました(笑)」
──わ、笑えない……!
「当時は保健所がパンクしていたので、区から濃厚接触者という通知もありませんでした。PCR検査も全て自分たちでやりましたね。ただ自分自身はそこまで症状は重くならなかったんです」
──それは幸いでしたね。でも長い間ふんばってきたのにもかかわらず、結果的にクラスターが発生してしまった理由は何だと思いますか?
「そうですね、1つは気の緩みがあったのかもしれません。自分も含め、ちょいちょい外出するようになっていましたし……。2年目の慣れがあったのは事実だと思います」
──なるほど。ただシェアハウスでなくてもそういう傾向はあるんだと思います。緊急事態宣言が出ていようと明らかに人流は増えていますから。
「そうかもしれませんね。もう1つはデルタ株の威力でしょうか。先ほどお伝えした通り、私自身はそこまで症状が重くなかったんですが、2人は39度クラスの高熱が10日くらい続いていました。受け入れ先が見つからず、入院もできず、見ていて本当に気の毒でしたね」
──え、そのままシェアハウス内にいたんですか?
「はい、2人のことは元気な人間が看病していましたね。まあ、元気といっても38度くらいはあったんですが(笑)」
──なるほど。でもそこはイイところかもしれませんね。1人で自宅療養していた結果、亡くなってしまった方もいらっしゃるワケですから。
「そうですね。確かに1人でいるよりは遥かに心強さはあったのかもしれません」
──では最後の質問です。クラスターを経験されたことを踏まえて、シェアハウスをどう思われますか?
「やっぱり個人的にはシェアハウスが好きですね。安く住むことができるし、家電とかもシェアできるしでメリットはかなり多いと思います」
──ふむふむ。
「何より誰か人がいるのがいいですね。ピザを頼んだり、オリンピック見たり、もう一つ家族ができるみたいなものです。コロナに限らず、何かあった時も安心感があるのではないでしょうか」
──なるほど、よくわかりました。ありがとうございました。
・悪いことばかりじゃない
ご覧のようにAさんのシェアハウスでは結果的にクラスターが起こってしまったという。デルタ株の感染力の強さもあるかもだが、シェアハウスは同じ空間を共有するだけに1人が感染すると広がるリスクは高い。
一方で「孤独死」といった事案を防ぎやすいメリットがあることも事実であろう。特に入院先が見つからない環境下においては「最悪の事態を避ける」という意味でシェアハウスは安心感があるのかもしれない。
というわけで、今回は1つの事例として「コロナとシェアハウス」をお届けした。個人的には大型シェアハウスの状況も興味津々なので、シェアハウスにお住まいの方、お住まいだった方はこちらまでご一報ください。シェアハウス、かなり憧れてます。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.