パラリンピックの日程も残すところあとわずか。とりわけ人気種目の「車いすバスケットボール」は週末にかけて準決勝、決勝とクライマックスを迎え、TVerでは2017年のスペシャルドラマ『君に捧げるエンブレム』を配信中。
もろ手を挙げての大声援とはいいにくい大会になったけれど、アスリートの積み重ねてきた努力の尊さとはまったく関係のない話。
オリンピックに比べて注目度が低いことが課題ともされるパラリンピックだが、この時期にこそ、という時代性とメッセージ性で注目を集めた異色のカプセルトイがあるという。
・「1/12 B-MAX」(500円)
アイテム名は「1/12 B-MAX」。聞き慣れない名前で、これだけ聞くと「バイクか何かの車種?」と思ってしまう。価格は500円で、ちょっと大きめのカプセルに入っている。
出てくるのは座面と大きな2つの車輪、そしてバスケットボール! バスケット用の車椅子、通称「バスケ車」だ。
同封のシートが、これまたビッグサイズ! モデルとなった「B-MAX DT」は実在の機種で、国内外のトップアスリートから高い評価を受けている国産製品だという。
実機を製造しているのは、岐阜県に本社のある松永製作所。公式サイトをのぞくと、海外のファッションブランドのようなスタイリッシュな世界観が見て取れる。誤解を招く言い方かもしれないが、いわゆる「福祉機器」のイメージとは結びつかない。
商品には丁寧な組み立て方があるものの、なかなか苦戦。どのパーツ同士が接続するのか、直感的に理解できない。パーツの上下もわからなかったりする。
というのも、自分がスポーツ車椅子を触ったことはもちろん、間近で見たことすらない、という衝撃の事実に気づく。そもそも「バスケット用」のように、種目ごとに専用の車椅子があることも知らなかった。
手にのせると迫力の大きさ。1/12という汎用スケールなので、手持ちのフィギュアと組み合わせられる。
必要最小限の座面に、大きく内側に傾いた車輪。激しくボールを追いかけるプレイから、車椅子バスケは「コート上の格闘技」とも呼ばれるそう。
見たことがないので「本物そっくり!」とはいえないのだが、「実機のスポーティーでスタイリッシュなデザインを損なわぬよう、細部までこだわり立体化」したという。機能美があってかっこいい!!
壊れにくく安全で、よく動き、体力を奪わず、選手の身体能力を発揮させる……故障や不具合は大事故に直結する製品だから、相当な工夫があることだろう。「こうなってるんだぁ」と感心しきり。
カラー展開は4種類。うち、画像にある「レッド×レッド」はカプセルトイ版オリジナルカラー。ブラインドボックス版(税別500円)もあって、そちらには「ブルー×ブルー」が入っている。
企画は株式会社SO-TA。デリケートなテーマだけに、商品化にあたっては賛否両論あっただろう。「好きで乗っているわけじゃない」「おもちゃにしないで欲しい」という声が上がっても不思議じゃない。
大人気ゲーム『あつまれ どうぶつの森』で収集できる家具にも「車椅子」がある。ゲーム内のキャラクターは自由に走り回れるので、実用性のないインテリアのようなアイテムなのだが、その存在がとても嬉しいという海外の車椅子ユーザーのコラムが過去にあった。
筆者のように、このカプセルトイで「初めてバスケ車の存在を知った」という人もいるはずで、それだけでも何かしらの意義があるのではないだろうか。当事者に配慮することは大前提だが、障がいに関する話題をタブー視したり、特別視することこそ深い問題のような気がする。
当初7月発売の予定だった本アイテム、台風等の影響で8月6日過ぎから順次、店頭に並んでいるそう。筆者は9月に入ってから購入。場所によってはまだまだ入手可能と思われるので、ぜひお手にとっていただきたい。
参考リンク:MPシリーズ公式ブランドサイト、TVer『君に捧げるエンブレム』、Kotaku
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.