1.「デジタル庁」発足
「デジタル庁」が9月1日に発足した。平井卓也デジタル改革担当大臣が初代のデジタル大臣に就任する(INTERNET Watch)。
デジタル庁は2020年9月にデジタル庁関連法案を閣議決定し、設置が決定した。設置の目的は「デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するため、関連する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ること」としている。また、取り組みを進める主な分野としては「デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及」「国民目線のUI・UXの改善と国民向けサービスの実現」「国等の情報システムの統括・監理」の3点としている。
発足にあたり、一般社団法人新経済連盟(新経連/JANE)は三木谷浩史代表理事名義で「今後のデジタル庁への期待を表明」している。さらに、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)、公益社団法人経済同友会もデジタル庁への期待をそれぞれ表明している(INTERNET Watch)。
ニュースソース
- 「デジタル庁」本日発足、5年で官民のデジタルインフラ構築を目指す[INTERNET Watch]
- デジタル庁発足は「明治維新、戦後改革に匹敵する規模と意義」、新経連 三木谷浩史代表理事がコメント 経団連、経済同友会もコメントを発表[INTERNET Watch]
2.「Windows 11」リリース日は10月5日
すでに発表されていた「Windows 11」の正式なリリース日について、マイクロソフト社は10月5日(米国時間)より提供を開始すると発表した(PC Watch)。「同日に既存のWindows 10マシンに対するWindows 11への無償アップグレードが始まり、Windows 11搭載マシンも発売される」としている。ただし、無償アップグレードについては、段階的な提供となるため、全てのWindows 10が同時に更新されるわけではない。
Windows 11の注目点は、「デザインやサウンドの刷新、マルチタスク作業の最適化、ウィジェットの追加による使い勝手の向上」、そして「ゲームに関してはWindows史上最高のOSである」としている。一方で、一部Androidアプリを動かすことができるとされていたが、10月5日のリリースでは提供されない模様だ。こちらも段階的に提供をすることになるとみられる。
ニュースソース
- Windows 11が10月5日にリリース決定。無償アップグレードも同日開始[PC Watch]
3. コロナ禍で変わった「動画メディア」消費動向
総務省情報通信政策研究所が「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を公表した(カレントアウェアネス)。それによると、「テレビ」「インターネット」「新聞」および「ラジオ」の平均利用時間について「全年代では、平日、休日ともに『テレビ(リアルタイム)視聴』及び『インターネット利用』が長い傾向が継続しているとし、全年代で平日の『インターネット利用』の平均利用時間が『テレビ(リアルタイム)視聴』の平均利用時間を超過した」と指摘している。その他、インターネットの利用動向について、年代別の推移などを分析していることから、メディアビジネスに関心のある人にとっては参考になることが多いだろう。
また、株式会社フィールドワークスと映像メディア総合研究所合同会社は定額制見放題(SVOD)、都度課金制レンタル(TVOD)、デジタルデータ購入(EST)の3つの有料動画配信サービスの利用状況についての調査結果を公表している(Media Innovation)。コロナ禍の影響を受け、映画館、DVD・ブルーレイのレンタル/販売が激減し、有料動画配信が28.9%に増加したという。とりわけ、コロナ禍のこの2年でAmazonプライム・ビデオとNetflixの利用率が大幅アップしたとしている。外出自主により、自宅にいる時間が長くなり、さらには自宅外でのコンテンツ消費を避け、自宅内でのコンテンツ消費が増加したことを鮮明に表しているといえよう。
ニュースソース
- 総務省情報通信政策研究所、「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を公表[カレントアウェアネス]
- 「有料動画配信」メディアの利用率が「パッケージ」メディアを初めて上回る・・・動画配信ユーザー実態調査[Media Innovation]
4. App Storeが「課金のための外部リンク」容認へ
公正取引委員会は、アップル社のApp Storeのガイドラインが、アプリ開発者のビジネス機会を奪っていないかどうかの調査を続けてきた。そして、主な争点になっていたリーダー(Reader)系と呼ばれるアプリに関する規約を変更することで両者は合意に至ったと報じられている(ITmedia、ケータイWatch)。また、日本だけでなく、世界の開発者にも適用されるとしている。
これは電子書籍、電子雑誌、オーディオ、動画などのコンテンツを独自アプリケーション(リーダー)用に販売する場合、アップル社のプラットフォーム上で課金をすること(アプリ内課金)のみが可能で、コンテンツプロバイダー自身のサイトで課金をするためのリンクを作って誘導をしたりすることはできなかったルールの変更を指している。今後はコンテンツプロバイダー自身の課金システムに誘導をして課金をすることができるようになるが、アップル社のアプリ内課金の仕組みとの併用はできないとしていることから、二者択一を迫られることになるようだ。
アプリ内課金を利用しない場合、アップル社に決済手数料は徴収されない一方で、課金が完了するまでのプロセスが複雑になるのではないかとも思われ、最後まで進まずに途中で離脱するユーザーが生じる可能性もある。このあたりの実装方法は開発者の今後の工夫次第というところか。
5.「最新研究を生かしたアプリケーション」を試す
研究組織からAIを活用する興味深いアプリケーションが公開されている。
1つは「どんな文章も3行に要約するAI」というELYZA DIGEST。東京大学・松尾豊研究室発のAIベンチャーELYZAが開発した(ITmedia)。同社は「自然言語処理技術(NLP)の研究を進めており、日本語テキストデータの学習量・モデルの大きさともに日本最大級というAIエンジン『ELYZA Brain』を開発」している。現在、デモサイトが公開されているので、誰でも試すことができる。
また、ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)は古文書のくずし字を読み取れるスマートフォンアプリ「みを(miwo)」を無償で公開した(ケータイWatch)。記事によれば「AIが学習したデータは、江戸時代の版本から集めたくずし字」だということで、「江戸時代の版本への認識制度は比較的高めだが、ほかの時代の資料・写本・古文書などでは精度が低下する可能性がある」という。それでも、こうした古文書を読む支援ツールとしては画期的なものといえよう。
思いっきり想像力を働かせると、両者を組み合わせることで、デジタルアーカイブにある古い資料のダイジェストを作ることも可能か。