ソニー、第1四半期の売上高、営業利益としては過去最高–「経営のレベルが上がってきている」

CNET Japan

 ソニーグループは、2022年3月期第1四半期(2021年4~6月)の連結業績を発表した。

 売上高および金融ビジネス収益は、前年同期比15.0%増の2兆2568億円、営業利益は26.3%増の2832億円、調整後営業利益は33.8%増の2914億円、税引前利益が5.5%増の2832億円、当期純利益が9.4%増の2118億円となった。


2021年度1Q連結業績

 ソニー 副社長兼CFOの十時裕樹氏は、「売上高、営業利益は、第1四半期としては、過去最高を更新した。それぞれが自律的に経営体質を強化してきた構造改革の成果が出ている。長期的な成長を執行できるようになっており、経営のレベルが上がっている」と述べた。


ソニー 副社長兼CFOの十時裕樹氏

2021年度 1Q セグメント別業績

 セグメント別業績は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高が、前年同期比2%増の6158億円、営業利益は406億円減の833億円となった。


ゲーム&ネットワークサービス分野(G&NS分野)

 「『PlayStation 5』によるハードウェアの増収や、為替のプラス影響があった。だが、営業利益はソフトウェアの減収影響、ハードウェアの損益悪化、販売費や一般管理費の増大が影響し、大幅な減益となった」と総括。PlayStation 5では、ハードウェアの製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失となっているが、これは『PlayStation 4』との比較によるものであり、収益性は想定と変わっていない。計画通りに進捗している」と述べた。

 PlayStation 5スタンダードエディションでは、6月に収益のブレイクイーブンを図るとしていたが「これは進捗通りに進んでいる」と述べたほか、「周辺機器を含めたハードウェアの収益確保に向けても順調に進んでいる」とした。

 2021年度のPlayStation 5の販売計画は、PlayStation 4の発売翌年の販売実績である1480万台を上回る目標を掲げているが、これに変更はないという。「販売目標台数に見合う半導体の確保に努めている。その点での心配はしていない」とした。

 第1四半期のPlayStation 5の販売台数は230万台となっており、2020年度第3四半期の450万台、第4四半期の330万台からは減少している。

 また、「第1四半期におけるソフトウェア、ネットワークサービスの売上げは、全世界で巣ごもり需要が高まった前年同期に比べて、アドオンコンテンツを含む自社制作以外のゲームソフトウェアが減少し、15%下回ったが、コロナ前の2019年度第1四半期と比較すると、38%増となっており、この2年間でゲーム市場の規模が大きく広がっている。また、第1四半期におけるプレイステーションユーザーの総ゲームプレイ時間は、前年同期からは32%減少しているが、2019年度同期比では18%増と安定した伸張をみせている」とした。

 前年同期からは減収となっているとした自社制作ソフトウェアだが、「『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』や、『MLB The Show 21』をはじめ、第1四半期に発売したすべてのタイトルが想定を上回る販売実績になった」という。


「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」「MLB The Show 21」

 さらに、自社制作ソフトの開発をグローバルで統括するPlayStation Studiosは、開発力強化に向けた投資を進めていることを強調。6月には、13番目のスタジオとなるフィンランドのHousemarqueの買収を発表。同社が発売したばかりのPlayStation 5専用ゲームソフト「Returnal」も市場から高い評価を受けているという。

 なお、PlayStation Studiosの全13スタジオのうち、7スタジオが買収によって加わったものだという。また、7月には、PCなどへのゲーム移植で実績を持つオランダNixxes Softwareを買収しており、技術面から13スタジオを横断的に支えることになるとした。「今後も、マルチプラットフォーム対応や新規IP開発、アドオンコンテンツによるサービス強化を目的に戦略投資を積極的に進めていく」と述べた。


PlayStation Studios

 音楽分野の売上高は前年同期比44%増の2549億円、営業利益は197億円増の554億円。「音楽制作は前年同期比53%増、音楽出版が70%増となるなど、全カテゴリで増収となった、なかでも最大の成長ドライバーとなったストリーミングは、有料型サービスに加えて、コロナ禍で悪影響を受けていた広告型サービスの回復を背景に、力強い成長となっている。映像メディア・プラットフォームの増収には、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』に関連した売上げも貢献している」とした。なお、ストリーミングサービスの売上高は56%増の1327億円に達している。


音楽分野

 さらに、「新人タレントを発掘、育成し、ヒットさせる力も着実に向上している」と語り、「Spotifyのグローバル楽曲ランキング上位100曲のうち、第1四半期は、平均で36曲がランクインしている。新人のデビュー曲のヒットも増加している」と述べた。


Spotifyグローバル楽曲ランキング上位100におけるソニーのアーティスト事例

 また、5月にはAWALの買収が完了したことに続き、ポッドキャスト制作大手の英Somethingelse、ヒップホップを中心にしたレーベルの米ALAMO RECORDSを、それぞれ6月に買収すると発表。7月にはオンラインゲームプラットフォームのROBLOXとの提携を発表しており、「ソニー所属のアーティストがバーチャルイベントを通じて、ROBLOXのコミュニティとつながり、音楽領域を超えた収益機会を創出することを目指す。今後も、戦略的投資やパートナーシップにより、さらに事業を成長させ、競合他社を上回る高い収益性の確保を目指す」とした。


最近の買収・出資・提携案件

 映画分野の売上高は前年同期比17%増の2047億円、営業利益は17億円減の254億円。「テレビ番組制作の減収はあったものの、メディアネットワークにおける広告料収入および視聴料収入の増加、映画製作における増収が貢献した。米国での劇場興行収入がコロナ前の40~50%程度まで回復しているものの、コロナ感染の再拡大により、不透明な状況が続いている。市場投入の準備が整った映画作品については、作品ごとの長期的な価値最大化を考慮し、柔軟な公開戦略を取っている。『VENOM』など主要作品の公開をさらに後倒しにし、『VIVO』や『シンデレラ』は、動画配信事業者へのライセンスに切り替えた。また、動画配信事業者からのコンテンツに対する需要は旺盛であり、新作映画やカタログ作品のライセンス売上げが増加している」とした。


映画分野

柔軟な公開戦略

 さらに、映像DTCサービスが顧客基盤を拡大。2020年6月からの1年間における有料会員数の成長率は、アニメ配信DTCサービスのFunimationが約80%増、インドの映像DTCサービスのSONY livが約600%増と大きく成長した。PUREFLIXも当初計画を1年前倒ししたペースで有料会員数を伸ばしているという。

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