一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)は、2020年6月に開設した「誹謗中傷ホットライン」の、1年間の活動報告を公開した。
同ホットラインは、ウェブサイトやSNSで誹謗中傷を受けた個人からの相談を受け付け、国内外のコンテンツ提供事業者やISPなど各社に対し、利用規約に基づいた削除などの対応を促す通知を行う。相談は原則として本人からの受け付けとなるが、児童・生徒の場合は保護者や学校関係者からも受け付けている。
1年間で同ホットラインへの相談は、1375人から2630件が寄せられた。内訳は本人からが94.0%。保護者からが4.9%で、学校関係者からが1.1%だった。
相談のうち、26.4%にあたる695件が「特定誹謗中傷情報」に該当すると判断された。特定誹謗中傷情報とは、次の3つの条件を満たす情報(ウェブサイトやSNSへの投稿など)を指す。
- 誹謗中傷の対象となった実在の個人が特定可能である
- 公共性がない、または公益目的でないことが明らかである
- 特定個人の社会的評価が低下させられる、または社会生活上許される限度を超えた侮辱的な内容である
一方、非該当とされた1934件の理由は、「誹謗の対象となった実在の個人が特定できない」が最多で33.4%。これには、対象がハンドルネームで実在の個人が特定できない場合などが含まれる。以下、「公共公益目的でないことが明らかとはいえない」が7.7%、「社会的評価が低下する内容や侮辱的な内容とはいえない」が8.5%。
また、相談された投稿が特定できないなどの「内容不明」が20.9%、被害者本人からではない、企業からの連絡であるなどの「その他の理由」が29.5%だった。
特定誹謗中傷情報に対して対処の通知を行った結果は、1813のURLに対する通知のうち1436のURLで削除されたことを確認。削除率は79.2%だったという。
通知を送付した通知を送付したサイト/サービスの対象は「掲示板」が76.8%、「SNS」が7.7%。以下「ホスティング」5.3%、「アダルトサイト」3.6%と続く。
相談の内容の傾向として「個人商店や学校、SNSなど地域やオンライン上の特定のコミュニティに深く属する人に対する誹謗中傷」が多かったという。また、新型コロナウイルスに関連した誹謗中傷の相談も受け付けるとしていたが、対象の相談は4件だった。
SIAでは、8割と高い削除率が実現されたことに対し、立場の弱い個人を対象とし、サービス側の規約に基づいた対応を通知していることが要因と分析。今後もインターネット上の諸問題に総合的に取り組んでいくとしている。