名曲が潜在意識に与える影響力 – 自由人

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■名曲が「潜在意識」に及ぼす屈折した影響力

 よく「潜在意識には嘘が通用しない」と言われる。これがどういう意味かは知る人ぞ知る話であり、万人が理解できる話ではないのかもしれないが、ブログ読者の裾野を広げるという意味では、たまにはこういう風変わりな話も書いた方が良いのかもしれない。

 今回のお題は「潜在意識」と「バラード」の関係について。こんな話を書いている人は誰もいないかもしれないが、ここ何年かで気付いたことを素直に書いてみたいと思う。

 毎年、冬になると山下達郎の代表曲「クリスマス・イブ」が街中で流れる。私も学生時代、山下達郎のファンだったので、この曲の影響力はよく知っている。

 「きっと君は来ない、ひとりきりのクリスマス・イブ、Silent night, Holy night

 まさに芸術的なメロディに乗った曲であり、誰もが口遊みたくなった経験があるのではないかと思う。しかし、ここで問題として取り上げるのは、曲ではなく、そのセンチメンタルな言葉である。上記の言葉を心底良いなあと思い、何度も繰り返し口遊むようになった場合、その人物の潜在意識には、こういう風に伝わることになる。

 「恋人がいないひとりきりのクリスマス・イブは良いものだ

■「表面意識」と「潜在意識」のパラドックス

 表面的には、恋が始まる前段階の心境を切なく綴った歌詞であったとしても、潜在意識的には、その恋が実らないことが切なく素晴らしいことだというニュアンスで伝わることになる。

 解りやすく言うと、あなたの潜在意識下(本心)では、恋人が現れないことを暗に望んでいることになるということ。

 この表面意識と潜在意識のパラドックスを理解できる人が果たしてどれだけいるのか分からないが、誤解を恐れずに書かせていただいた。

 例えば、しみじみとした感傷的なバラード曲で人気を博していた有名な歌手が、そのバラード曲のような哀しい人生を実際に演じてしまったという例もあった。そのニュース報道を観て、バラード曲が潜在意識層にまで強烈に刷り込まれると、本当に現実化するのだな…と少し恐くなったことを覚えている。

 そんな法則性が有ることを露ほども知らずに悲劇の主人公を演じてしまった当の歌手には気の毒で申し訳ないが、こういったニュースも今回の考察を得る1つのヒントになってくれた。

 別にバラード自体を問題視するつもりも、危険だと言うつもりもないのだが、潜在意識に影響を与えるほどセンチメンタルな歌に心酔してしまうと、人生にまで影響を及ぼす可能性が有るということだけは心の片隅に置いておいても損はないと思う。