【週末カジュアルPCゲーム部】DLCのコスプレも楽しい! 日本語も収録する映画みたいな冒険アクション「Shadow of the Tomb Raider」

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 今回紹介するのは、TPS視点のアクションアドベンチャー「Shadow of the Tomb Raider」で、2018年9月に発売されたシリーズ最新作となる。7月9日までのSteamサマーセールにおいて、DLCなどの追加コンテンツを含む「Definitive Edition」が86%オフの1,335円で販売していた。通常時も56%オフの4,070円で販売中だ。このバンドル製品では、ゲーム内で主人公のララ・クロフトに装備可能な多くの追加衣装や、道中で挑戦できる「チャレンジトゥーム」などが含まれている。

 「トゥームレイダー」シリーズと言えば、1996年にリリースされた3Dアクションアドベンチャーシリーズだ。当時PC以外にもプレイステーションやセガサターン向けにリリースされ大ヒットとなった。その後も同じシステムで次々と続編をリリース。

 2006年に仕切り直しとして「トゥームレイダー:レジェンド」など新たなシリーズを展開。他にも「ララ・クロフト」シリーズなどのスピンオフタイトルを経て、2013年から現在のスタイルの元となる、オープンワールドベースの「トゥームレイダー」シリーズをリリース。今回の「Shadow of the Tomb Raider」が3作目となる。

 2013年以降の新シリーズでは、3Dグラフィックスの技術の向上により、とにかく美麗なビジュアルが魅力の1つだ。本作でもカットシーンとプレイアブルの境界が殆ど感じられず、実際にカットシーンを見ているつもりでいたら、実は操作が必要だった、といった場面も多く見られたほどだ。音声も全て日本語収録されているので、吹き替えのアクション映画をその手で操作しているような感覚が心地よい。

 旧作はいくつかプレイしてきたが、最新作ではどのような衝撃が待ち受けているのだろうか。早速プレイしてみよう。

2018年発売のシリーズ最新作「Shadow of the Tomb Raider」にDLCなどの追加コンテンツがセットになった「Definitive Edition」

チュートリアルでは、アクションができる場所に直接テキストのテクスチャが貼られており、操作の説明をしてくれる

大自然や遺跡での冒険アクションがメインのため戦闘は少なめだが、敵対組織との銃撃戦やステルスキルが必要になる場面も多々ある

 ゲームスタート時にはウィンドウ表示で各種設定やメニュー操作が行なえる。こうした設定はゲーム起動後のメニューや、ゲームプレイ中のオプション設定からでも変更が可能だ。本作ではGeForce RTXシリーズを搭載していればパフォーマンスを向上できる「NVIDIA RTX DLSS」が利用できる。また「AMD Fidelity FX CAS」も組み込まれており、有効にすることで映像の品質が向上する。

 本作には各設定でどのくらいのフレームレートが出るのか、ゲーム内のプレイ環境で試せるベンチマークが組み込まれており、実際にどのくらいのフレームレートになるのか実行してみた。今回筆者が使用したのは本連載で使用しているRyzen 5 3400G+GeForce GTX 1660(6GB)の環境だが、レンダリング解像度をフルHDにした場合で大体60fps前後、4K解像度にすると30fps未満だった。こうした機能がオプションに組み込まれているのは最適な設定の組み合わせを手動で調整できるPC版ならではの楽しみの1つと言える。

各グラフィックスオプションはデフォルトのまま、レンダリング4K解像度/CAS有効時のフレームレートは平均28fps

各オプションはデフォルトのまま、レンダリング4K解像度/CAS無効時のフレームレートは平均29fps

各オプションはデフォルトのまま、レンダリングフルHD解像度/CAS有効時のフレームレートは平均66fps

各オプションはデフォルトのまま、レンダリングフルHD解像度/CAS無効時のフレームレートは平均66fps

 ゲームを開始するといきなり嵐の中を飛ぶ飛行機が、今まさに墜落しようとしている大ピンチのシーンからというなかなか衝撃的な幕開けだ。しかもここでは一切操作することはできず、飛行機はどんどんとパージされ、後部に座っていた相棒のジョナは飛行機の後部ごとどこかに飛ばされてしまう。操縦が既に効かないため、覚悟を決めた本作のヒロイン、ララ・クラフトはシートベルトを締めて衝撃に備える、といったところでいきなり時間は2日前にフラッシュバック。すると一転して今度は真っ暗な狭い空間の中で岩に足を挟まれて動けないララというシーンとなる。

 冒頭のこのシーンだけでも、激しい嵐の轟音と派手に飛び散る飛行機の機体、そしてどんどん嵐の空が見えてくる開放的なビジュアルながらも危機一髪のスリリングなシーンから一転、今度は閉塞空間の中で、自分の声と岩の乾いた音しか聞こえない静寂さの中という映画のような急転直下の演出が見る側を飽きさせない。さらにはこれまでずっと身動きが取れずにいたララを、ここで操作可能にして足を挟む岩をどかし、さらにはここからの脱出を試みる。これら操作をチュートリアル的に入れる事で、閉塞空間からララを自由にさせる解放感をプレーヤーに楽しませるうまい演出になっている。

 その後は基本動作を含むチュートリアルを兼ねて、洞窟内の謎の遺跡までララを操作して向かわせる。こうして折角発見した遺跡は、敵対組織の罠により崩壊してしまい、辛くも脱出した2人は街に戻って食事を取ることにする。ここで画面の字幕には「コスメル/メキシコ」の文字が表示され、メキシコ風のBGMが雰囲気を盛り上げる。本作はとにかくこうしたシーン間の繋ぎが非常に巧みなのだ。

飛行機の運転席から後ろがパージされてしまった! 絶望しかない!

気が付くと暗い岩の中、最初のアクションは足を挟んでいる岩をよける事から

 アクションの基本は移動とジャンプ、そしてクライミングアックスなどの装備を使った山登りアクションや、そこから降下するロープアクション、またロープアローと呼ばれる、ロープの付いた矢を決められたポイントに放つことで足場として谷を渡ったり、道を塞ぐ障害物を除去するといった様々なアクションを駆使して遺跡や大自然の中、歩みを進めていく。

 アクション自体の難易度自体はそこまで高いもとではないが、判断力が問われる場面が多い作りとなっているのが印象的だ。パズルとまでは言わないまでも、現場の状況からどのように動くのがいいのかを、時にはじっくりと、時には即座に判断しての行動が必要になる。

 例えば冒頭のチュートリアルでは岩山をクライミングアックスで登っていくシーンがあるのだが、どこに飛び移ればいいか、どこが移動できるか、といった情報をより早く、正確に判断することが重要となる。このように周囲を見渡してじっくり観察して、次の目的地を見定めるパターンもあれば、荒れ狂う濁流の中で、次はどこにいけばいいかという咄嗟の判断が必要になるなど、緊張感が高まる場合もある。

例えば、ここでは橋を動かす仕掛けが壊れており、このままだと橋が上がらない。上から眺めて色々とトライするがなかなかうまくいかない

周囲を探索してみると、下の部品の場所に移動する事ができた。ここでロープアローを使って縄を張る事で無事橋の仕掛けを一時的に修理できた!

濁流の中、漂流する建物などの上を転々と飛び回る! このような場合は、のんびり待ってると串刺しになってしまうので、咄嗟の判断で次々とジャンプアクションを繰り広げるしかない!

 なお、R3を押下することで、フィールド内で回収可能な素材などのアイテムが光り、認識しやすくする「インスティンクト」という特殊な能力があり、これを使うことで、フィールド内のアイテム回収忘れが防げるほか、登れる場所のチェックなどが行なえる。

 本作は冒険アクションのため、比較的戦闘シーンは少なめだ。それでも弓矢を使った野生動物との緊迫感のある戦いや、敵対組織との銃撃戦など、ポイントでこうした戦闘技術も必要となってくる。戦闘自体は若干厳しめにも感じるが、落ち着いて照準を合わせて撃つという基本動作ができれば、比較的スムーズに乗り切れる。ちなみに難易度設定は全体の難易度だけでなく、戦闘や探索、パズルといった項目毎に設定する事も可能になっているので、不得意な項目だけ難易度を下げる、といったプレイスタイルも可能だ。

 通常のアクション以外にも、本作には後から習得可能な「スキル」が用意されており、経験値を上げてスキルポイントを稼ぐことで解放できる。スキルの種類は戦闘時に有利に働く「ウォーリアー」や、探索時に有利に働く「シーカー」や「スカベンジャー」など、多数あり、こうしたスキルも活用する事で、探索がよりスムーズに行なえる。

スキルとは異なるララの特殊能力「インスティンクト」はフィールド内のアイテムのほか、敵やほかの生物がいる場合にも活用できる

「インスティンクト」を強化し、トラップも発見できるシーカースキルの1つ「クロウカンニング」。発動すると通常のインスティンクトとは異なるあからさまに危険を示す赤色のアラートでトラップを発光させる

 本作は死に際の際のビジュアルもなかなかリアリティがあって衝撃を受けた。ゲーム中に死んだ場合、直近のオートセーブのポイントなどからリトライが可能だが、本作の死ぬ時のシーンは妙に生々しさを感じてしまってなんだか脳裏に残って離れない。映像がリアルだと死のビジュアルもかなり印象に残るのだろうか。それとも、今回たまたま筆者のミスにより、ララがやたらと何かに突き刺さるシーンばかりを連続して見てしまったからかもしれない。ちょっとしたホラー映画のような無残な死に様を見てみてほしい。

映像で見るとかなり生々しい印象の死亡シーン。刺さる瞬間がかなりドキドキしてしまう

死に顔の無念そうな表情が妙なリアリティを感じる

 今回購入した「Definitive Edition」では道中でプレイできる「チャレンジトゥーム」のDLCや、ゲーム内でララに装備可能な多くの追加衣装などが含まれている。こうした衣装はゲーム中にキャンプなど、装備が変更できるポイントにいくことで、利用が可能になっている。

 追加衣装はゲーム内に登場する他の民族の衣装などもあり、こうした衣装の中にはライフの自然回復力が強かったり、資源回収時の割合が増えるといった実際のゲームプレイに特典が追加になる物も含まれているので、初見の人など、まだゲームに馴染みのないプレーヤーにとってもメリットが大きい。

 また、ジョークのような旧シリーズやリブート初期のララ・クラフトのデザイン、実写映画版の時のデザインなども選べるので、色々なコスプレで本作を遊ぶことも可能だ。特に旧シリーズのデザインはリアルなキャラと並べるとギャグにしかならないが、息抜きにももってこいだ。

その後もしばらく「トゥームレイダー2」コスチュームで冒険していたが、カットシーンでもこのビジュアルのまま展開するのには驚いた。どんなシリアスなシーンもギャグになってしまう

 本作は美麗なビジュアルとフル日本語音声で映像作品としても楽しめる1本だ。この手のアクションが苦手な人もいるかもしれないが、とりあえずはトライアンドエラーで何度もララのエグい死に顔を見るうちに、攻略方法が見えてくる。特に同じ場所にこだわりすぎず、1度周囲を歩き回って、あちこちでリトライしてみる事で、意外なポイントが攻略に繋がる場合もある。味わい深いお話が楽しめるのは冒頭の演出からも間違いないので、是非トライしてみてほしい。

冗談のような巨大な骨の帽子をかぶった衣装など、多彩な衣装が用意されている

試しに「トゥームレイダー2」という旧シリーズのデザインで冒険してみたが、相棒のジョナがリアルな佇まいなので、こうやって並ぶとギャグにしか見えない。本作には画面内にカメラを自由に動かして写真が撮れる「フォトグラファーモード」も備える

 動作環境については前半でも触れた通り、高解像度でプレイするならなるべく高性能なハイエンドGPUを推奨したい。特に4K解像度で60fps以上を叩き出すならGeForce RTXシリーズやRadeon RXシリーズなどを使うことで、本作のパフォーマンスがかなり向上するのは間違いない。

 GPU負荷については、フルHD解像度プレイ時も4K解像度でも常時100%となっており、3D性能をフルに使い切っている。もし古めのGPUを使ってプレイする場合は解像度を下げたり、クオリティを下げるなどの調整が必要となるだろう。設定の調整の際には、ベンチマークがあるので是非活用してみてほしい。

スペック要件(最低)

OS:Windows 7(64bit)
CPU:Intel Core i3-3220クラス(AMDも同様)
RAM:8GB
GPU:NVIDIA GeForce GTX 660/GTX 1050/AMD Radeon HD 7770
ストレージ:40GB

今回プレイした環境

CPU:Ryzen 5 3400G
RAM:DDR4 16GB
GPU:GeForce GTX 1660(6GB)
ストレージ:TS256GMTE220S

前半はレンダリング解像度フルHDでプレイ、後半は4K解像度でプレイした。フレームレートは前半は60~80fps前後を、後半は30fps前後となった。GPU使用率はフルHD利用時は100%まで上がらない代わりにCPU使用率が高め、4K解像度では逆にGPU使用率は100%近くに張り付き、CPU使用率が低下した。なお、フレームレート30fpsでも十分にゲームはプレイできるので、ビジュアル重視なら4K解像度でのプレイをおススメしたい。

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