詐欺師 vs AI。米財務省、AIツールが年間6000億円を守ったと発表

AIのおかげ!

インターネット上にはびこる詐欺行為。そのターゲットは、政府機関も例外ではありません。いまも詐欺師と対抗する闘いが、24時間体制で続いているわけですけど、このほど米財務省(Department of the Treasury)は、その最新の成果を発表しましたよ。

AIで守られた金額、実に年間6000億円!

米財務省によると、2024会計年度(2023年10月~2024年9月期)に、機械学習をフル活用し、AIツールで不正取引を未然に防いだり、支払われてしまったお金を再回収できた金額は、実に40億ドル(約6000億円)にも上ります。これは前年度と比較して、6倍以上の金額の手柄となり、AIによる詐欺対策が大いに功を奏しているとアピールされました。

財務省は、納税者から預かったお金を適正に扱う責任を、いつも真剣に受け止めています。適正な人物へ、適正な額を、適正な時期に支払うこと。これこそもっとも重要視される点です。

今回の発表にあたり、Wally Adeyemo財務副長官は、こんなふうに語りました。AIツールによって検知されなければ、数千億円が不正な詐欺取引へと支払われてしまっていた危険性を考えると、AIの活躍ぶりはすばらしいとの評価になりますよね。

詐欺師はその上を行く?

詐欺取引に失われかねなかった大金を、AIが守ってくれたと聞くと喜ばしいものですけど、実態は深刻だったりするようです。そもそも米政府機関は、大きく見積もるなら年間5210億ドル(約78兆円)も、詐欺取引の被害に遭っているなんて指摘まで、米会計検査院(Government Accountability Office)から出される始末。そのうち財務省が年間40億ドルを防げたとしても、詐欺取引全体の1%にも満たない成果に過ぎないというわけです。

AIを駆使しているのは詐欺師も同じ。結局は対策ツールの機械学習の上を行こうとし、抜け道や隙を突いて、いまも膨大な額が失われているのでしょう。過去にはAIの機械学習に偏りがあり、特定の人種や背景のユーザーばかり容疑者としてマークし、まったく逆に疑われず不正取引できてしまうユーザー層もいると、米財務省自らが認めたことまであるんだとか。さらなるAIの進化が求められているのでしょうね。

Source: Department of the Treasury