PwC、企業における生成AIの認知・関心・活用検討状況の調査結果を発表〜調査時点での認知度は50%未満 

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「生成AIに関する実態調査2023」

 PwCコンサルティング合同会社は、生成AIにおける企業での利用実態を調査した結果の概要を公開した。

 生成AIとビジネスとの関連性が注目されている中、日本国内の企業・組織、および従業員自身がどのように捉えているのかを把握する目的で実施されたもの。2023年3月31日〜4月3日に、日本国内の企業・組織に所属する従業員を対象にウェブ上で調査を行い、1081件の回答を得た。

 本調査結果のハイライトは以下の通り。

過半数が生成AIを認知していない

 生成AIの認知度合いを訪ねた質問では、過半数となる54%が生成AIを「全く知らない」と回答。PwCでは、メディアでの報道の多さに対し、イメージとか乖離した実態が浮き彫りになったと指摘している。また、「認知している」と回答した層の中で一番知られているサービスは「ChatGPT」で、全体の60%だった。

生成AIへの認知度と、そのサービスの知名度

生成AIの認知層はビジネス活用に肯定的だが、実際の取り組みは進まず

 生成AIを「全く知らない」とした人以外を対象とした質問で、活用への関心を聞いたところ、「自社活用に関心がある」が43%、「他社事例には関心がある」が17%で、合わせて60%が関心を示した。また、同じ対象に生成AIが自社へどのように影響を及ぼすかをたずねたところ「チャンス」との回答が47%で、「脅威」の9%に対して約5倍だった。残りの44%は「どちらとも言えない、分からない」と回答している。

 続けて、同じ対象に関連する取り組みの進捗状況をたずねたところ、「具体的な案件を推進中」が4%、「予算化済み」が4%と、具体的な取り組みに取り掛かっているとの回答は合計8%に留まった。ほかの回答は「検討中」が22%、「まだ検討していない」30%、「わからない」40%、「検討したが断念した」1%となっている。

活用への関心度と自社への影響、AI関連事業への取り組みの度合い

生成AIによる業務代替を歓迎する一方、代替度合いは部分的との見解が多い

 同じく生成AIを「全く知らない」とした人以外を対象とした質問で、業務での利用意欲をたずねたところ、「利用したい」との回答は53%で、業務代替(自分の業務がAIに大体されること)に関して「歓迎」との声が59%だった。ただし、代替の程度については「多少代替(4割以下)」との回答が最多数の36%で、部分的な代替にとどまるとの見方が多かった。「大半が代替(6割以上)」は16%、「半分代替」は23%。「代替しない」が7%、「分からない」が18%」だった。

全体的にAIによる業務代替は歓迎しているが、その代替範囲は部分的との見解が多い

生成AIへの認知や抱く印象により5タイプに分類

 寄せられた回答を、生成AIに対する認知・関心の有無と、生成AIへのイメージのポジ/ネガにより分類すると、「知らない」「知らないが、なんとなく不安」「様子見」「すごいことは分かっている」「ぜひとも使っていきたい」と、5つのグループに回答者の傾向が分けられたという。

 生成AIと親和性の高い業種や職種では、生成AIの活用に関心が高い。一方で、生成AIと業務との関連を実感できていなかったり、断片的な知識で生成AIに対して不安が先行してしまったりしている層があり、これらの層に対しては、将来的に生成AI活用の具体的なイメージや、生成AIが技術的に可能とすることへの正しい理解を促進する必要があると、PwCでは考察を述べている。

生成AIに対する認知・関心と、イメージのポジティブ/ネガティブの度合いによる5つのグループ

5つのグループの回答の傾向と、特徴的な業種・職種、およびPwCによる考察

今後のユースケース創出の重要性を強調

 調査結果を踏まえ、PwCでは、黎明期を迎えた生成AI市場に企業が乗り遅れないために「生成AI市場へどのように参入していくか」もしくはビジネス課題および社会課題解決の観点から生成AIを「どのように利活用していくか」を迅速に判断、実行する必要があると考察を述べている。また、本調査結果の発表に際しては「加速するAIブームのビジネスシーンの実情:ユースケース創出が急務」とサブタイトルを付けており、活用イメージの共有のため、ユースケースを創出する必要性を強調している。

PwCによる本調査の結果を踏まえたまとめ

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