自由に生きるケモノたちとナウマンと太陽〜高知県四万十町〜佐川町(行ってかよかった市区町村)

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はじめに

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自由に生きるケモノたちとナウマンと太陽
〜高知県四万十町〜佐川町
(乙幡啓子)

この初春くらいの時に、縁あって高知県四万十町に少し滞在したのだが、そこで見たものがいちいち良かった。
雑貨屋「太陽の眼」さんで合同展とワークショップをやることになり、例によって鉄道だけではるばる訪ねてみたのだ。まずは新幹線で岡山へ。そのあとマリンライナーで高松に一旦赴いたあと、そこまでもけっこうな旅程なのだがさらにまた数時間、山間をディーゼル車でドッコドッコと抜けて、高知市の都会も過ぎ、だいぶ「さすがにかなり乗ったな~」と思う頃、あまり列車の停まらない駅で降り、迎えの車でお店に着いた。
ワークショップ等はおかげさまで和やかに完遂し、フリーな時には車でいろいろ連れていってもらって、それがなんか良くて。なんだろうか、あの、東京近辺ではあまり感じない種類の、自由な、楽な空気。治外法権みがある。酒飲みが多すぎる、というのもその要因だろうけど。

例えば、四国にありがちな山間のくねくね道路。そこの、とある待避所に、どっかから逃げてきたニワトリが10数羽も棲みついているという。それだけでもかなりな話だが、そのうえ野良猫も数匹一緒に棲みつき、なんだか一緒に暮らしているらしい。「え?」と声が出ました。どんな生態系だ。「それを見に行きましょう」となってまた「ええ?!」と声が出ました。手の届く範囲の、現実の話なのだった。行ってみると猫は確かに数匹出てきて、ニワトリもあとから1羽、様子を見つつ?のこのこ出てきた。お互い意識してるのかわからんが一緒にここに生息している。こんな山中で、ときどき世話しに来る人もいるらしい。なんか、「すげぇな」と思う。

やっと出てきた1羽。

他には、割と近くの佐川町にある「ナウマンカルスト」には絶対行ったほうがいいとお客さんに勧められたので連れていってもらう。畦道をとぼとぼ行くと突如すり鉢状のカルスト地形が開け、デカいコンクリのナウマンゾウがどんと建っている。名前からわかるように、ナウマンゾウに名を残した日本地質学の創始者エドムント・ナウマンが、ここ佐川を「地質のメッカ」として世界に広めたのが建造の由来とのことで、わかってしまえばああそうかとなるが、あまり説明もなくいきなりここにゾウがいるのが愉快だった。

ゾウ、どーん。
引きだとこんな感じ。4〜5mほどのゾウ。
頂上まで登った。人、いない。マムシ、出るらしい。夏は要注意。

そもそもその「太陽の眼」さんが、のどかな集落にいきなりアバンギャルドなたたずまいで鎮座している、その風景だけでもかなり自由を感じたのだった。

田園に映える、真っ赤な「太陽の眼」全景。周囲には鳥の声のみ。
途中で寄ったオールドスタイルな「ドライブイン片岡」での、オムライスの大正解もあげておく。

終わってふたたび解説です

ニワトリと猫が住みついてるはなしは、昔話の世界に感じました。 令和の現実であるとは……、信じられません。
「ナウマンカルスト」にいる、4〜5mほどのゾウの迫力すごいですね。

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