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レトロな技術を紹介しているYouTubeチャンネル「TheRasteri」において、ISAスロットを備えていない近代的なマザーボードに、いにしえとも言えるISAスロットを追加する手法が公開されている。
ISAバスはIBMが1984年に発売したPC/ATのATバス仕様を標準化して他社でも利用可能にしたもの。しかしIntelがISAレスシステムへの移行を推進したため、1999年~2000年頃を境目に、マザーボードから徐々にISAバスが廃止されていった。
ただ、実はIntelは完全にISAを見捨てたわけではなく、代わりにLPC(Low Pin Count)と呼ばれるバスを用意した。LPCではI/O機能に関してはISAと互換性を持たせつつ、ピン数を大幅に削減できるようにした。
より具体的に言えば、LPCはISAバスの動作クロックを8MHzから33MHzに向上させている一方で、バス幅を16bitから4bitに削減しただけだ。今では、速度をあまり必要としないスーパーI/Oなどの接続に使われている。
TheRasteriのAndy氏はこのLPCバスに着目し、LPC 1.1からISAに変換する台湾Fintekのチップ「F85226A」を発見。自身でこのチップを使いLPCからISAに変換するボードを製作した。
そして肝心なLPCのバスをチップセットから引き出す方法だが、同氏はマザーボードのTPMモジュール用コネクタからLPCバスのすべての信号が出ていることを発見し、これに接続することで変換を果たしたのだった。なお、TPMコネクタのピン配列はメーカーによってまちまちなので、マニュアルを見ながら接続しなければならないとのこと。
動画ではISAバスに「Sound Blaster 16」を接続し、IRQに7を割り当てたところ、おなじみのFPSゲーム「DOOM」で問題なく音が出せたことをデモしている。ちなみに同氏が動作を確認できたマザーボードはFoxconnの「H61MXV」およびGIGABYTEの「Z77X-D3H」だ。
なお、同氏は掲示板「VOGONS」でも動作報告を行なっているが、動作条件の1つとしてチップセットが「LDRQ」信号(DMA/バスマスターリクエスト)を受け付けるピンがあるか否かにあるといい、Intel 100シリーズチップセット以降(つまりSkylake対応マザーボード)では削除されているという。逆に言えば、Intel X99/Z97 Expressまではサポートされているようだ。
一方AMDについては確認できていないが、少なくともSB950まではありそうだが、Ryzen以降はドキュメントが公開されていないため不明としている。
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