NTTドコモは5月8日、スマートフォンに蓄積されたデータから個人の免疫力変化を予測・見える化し、感染症対策に活用できる「免疫力推定AI」を開発したと発表した。
同サービスは、スマートフォンから取得できる睡眠情報、運動情報などの生活習慣情報や位置情報などを同意に基づき活用することで、スマートフォンを普段使いするだけで住民が意識せずとも簡易に免疫力の変化を推定・予測することが可能。
推定・予測結果によるスコアリングおよび、免疫力ケアに向けた推奨行動を、アプリ上で毎週情報提供することで、新型コロナウイルスやインフルエンザ、風邪などの感染症対策に資する自主的な意識・行動変容を促せるという。
なお、同サービスの開発では、ウイルスや細菌などさまざまな病原体が体内に侵入することを防ぐ「IgA」という抗体に着目。
IgAの分泌量が減ると病原体に感染しやすくなり、その分泌量は運動や睡眠などの生活習慣と関連している医学的事実が報告されているという。
この事実に基づき、これまで培ったビッグデータ解析技術および、機械学習などのAI技術をもとに、生活習慣情報などとIgAの日常的な変化との関係性を学習させることで、免疫力推定AIを開発した。
同サービスは、自治体向けヘルスケアサービス「健康マイレージ」の機能として、11月から提供を開始する。希望する自治体には、実証としての無償提供も予定している。
また、ヘルスケアに関連したさまざまな健康状態や生活習慣などを推定するAIを集約した、同社のヘルステック基盤に実装されており、免疫力推定AIをヘルステック基盤のAPIと連携し、利用することも可能だという。
5月8日より、新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、各自治体や住民個人が自立的に感染症対策を行うことが重要になる。
ウォーキングを楽しく続けながら「健康で長生き」を目指すサービス「健康マイレージ」では、これまで健康増進や介護予防、地域包括ケア、マイナポータル利活用をはじめとしたDX推進など、さまざまな分野を横断したサービスを提供してきた。
その中で、自身の健康状態を推定し、フレイルリスク(要介護状態に至る前段階の加齢による身体・心の働き、社会的なつながりが弱くなる危険性)や、平均余命のスコアリング、アドバイスを受け取ることで意識変容につなげていく仕組みを提供している。
今回新たに、免疫力推定AIを提供することで、包括的に住民の健康をサポートし、自治体の医療費・介護費削減への貢献を目指す。
同社では、免疫力推定結果に基づき、スコアリング低減に影響を与えている生活習慣を特定することで、自治体による改善に向けたイベント誘導や健康指導を実施といった使途を想定する。