日本サブスクリプションビジネス振興会は4月20日、サブスクリプション(サブスク)・ビジネスの更なる活性化を目指し、「サブスクリプション・サービスにおける料金額の適正化に関するガイドライン」を制定すると発表した。
急速にサブスクリプション・サービスが普及しているものの、その契約内容や対象商品、料金体系はさまざまだ。そこで同ガイドラインでは、消費者の安全を図るとともに、サービスの健全な発展を目的として、同振興会の会員である事業者に対し、事前に一定のルールを定める。
具体的には、契約前から解約後に至るまで、サブスクリプション・サービスを提供する事業者に、契約金額総額や最低利用期間、解約条件の提示など、消費者が安心して利用するためのルールを遵守することを義務付けている。
特に、非デジタル系サブスク(モノのサブスク)のうち、月額利用料金が対象商品の定価(消費税等を含めた価格)を下回るサービスについては、消費者が過剰な料金の負担を求められるなどの社会問題となっており、今後不測の不利益を被ることがないように、一定のルールを定めている。
たとえば、事業者は、契約の解約後も消費者に必要なサポートの提供または、サポート体制への高アクセシビリティの確保が求められている。
さらに、契約満期時において、少なくとも満期日の2週間前までに、契約の満期日を通知するとともに、契約終了または、契約更新にかかる手続や内容などについて通知しなければならないとしている。
対象サービスを提供する事業者は、この通知において、契約期間満了日時点での累計支払額(見込額を含む)を明示する義務を明記。また、契約期間の定めのないサービスを提供する事業者においても、契約日から1年が経過する日ごとに、毎年、当該日時点での累計支払額(見込額を含む)を、消費者に対し通知する必要があるという。
同ガイドライン制定にあたり、同振興会では普及しているサブスクリプション・サービスを調査。分類をまとめている。
まず「デジタル系サブスク」として、動画見放題や音楽聴き放題など、デジタルコンテンツを利用できるサービスを「コンテンツサービス型」。オンラインでソフトウェアやプラットフォームを利用したり、レッスンを受けたりするなど、一定期間そのサービスを使う権利が得られるモデルを「オンラインサービス型」としている。
また、「非デジタル系サブスク」として、健康食品、化粧品、新聞や雑誌の定期購読など、同一の消費財が定期的に届くサービスを「一般定期購入型」。定期購入だが、個人の要望、体質、悩みに応じておすすめされた商品を定期購入するサービスを「パーソナライズド定期購入型」と位置づける。
特定のテーマに基づいて専門家やAIがキュレーションした商品が届くモデルを「キュレーション型」、複写機やウォーターサーバーなど、消耗品部分を従量課金で販売するモデルを「メンテナンス型」、自動車や高級家具、アートなど、主に高価格帯の商品について、長期にわたって月額で利用できるサービスを「リース型」とした。
このほかにも、洋服やジュエリー借り放題、シェアオフィスなど、その瞬間に使いたいアイテムや空間などを利用できるモデルを「定額レンタル型」、カーレンタルなど、短期利用を主に目的として所有せずに利用できるサービスを「単一レンタル型」、おもちゃなど、個人の特性と変化に合わせて商品を選定して配送するサービスを「パーソナライズドレンタル型」、美容室使い放題や通常よりも安価に利用できる定額制の家事代行など、店舗や自宅でサービスを受ける権利を得らるサービスを「非オンラインサービス型」、定期的に特定の店舗やオンラインストアに誘導し、ブランドとの接点を増やしてロイヤルティーを高めることが主な目的とするサービスを「非オンライン/オンライン複合型」としている。
さらには、携帯電話の通信料や、インターネット回線、交通機関の定期券など、インフラ利用についての定額課金のことを指す「インフラ型」、保険や売掛金の補償など、リスクに備えて、一定の金額を支払うことによりリスクを軽減する「保険型」もある。
なお、同振興会では、これら「デジタル系サブスク」「非デジタル系サブスク」「その他サブスク」を総称して「サブスクリプション・サービス」と定義している。
同振興会では、事業者が同ガイドラインを遵守していないと認める時、当該事業者に対し、必要に応じて同ガイドラインの遵守の打診または、アドバイスをしていくという。