VR学習は触覚やコミュニケーションに関わる分野では不向き。筑波大が調査

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実験手法と結果

 筑波大学 システム情報系 黒田嘉宏 教授らによる研究グループは14日、診療放射線技師の学習にVR教育システムを活用した場合の技能習熟度に与える影響について、調査結果を報告した。

 VR技術は医療分野においても、手術のシミュレーションや医療従事者への技術教育などで活用が検討されている。特に診療放射線技師の教育においては被ばくなしで訓練が行なえるため、有用性が高いと考えられている。一方でVR技術は発展途上であり、教育現場での活用には課題があるとも考えられている。

 本研究では、診療放射線技師養成学校の学生30名を、VR教育システムを用いた群15名と従来の実機を用いた群15名に分け、約1時間の訓練を実施。その後2週間以内に実機による実技演習を行ない、ルーブリック評価法を用いて教員に習熟度を評価してもらうことで、学習法の違いによる習熟度の違いを比較した。なお、習熟度の評価では、X線撮影で重要な技能項目として12項目を設定され、それぞれ4段階で評価された。

 結果、従来の学習法と同等の学習効果が得られた技能項目がある一方、触覚やコミュニケーションを必要とする技能項目において、従来よりも有意に習熟度が低下することが明らかになった。

実技演習(胸部撮影)における習熟度評価の結果

 また、VR教育システムでの自己学習の有用性について、教員と学習者自身の習熟度評価の比較も行なった結果、一部の項目で学習者が過大評価することが分かったという。

 同研究グループは、触覚やコミュニケーションを必要とする教育では、VRのみの学習だと不十分となる可能性があり、即時的な外部評価を取り入れた新たな教育システムが必要だと示唆。今後は、触覚やコミュニケーションなどの技術的課題を改善した教育システムの開発に取り組むとしている。

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