学年LINEに参加、入学先向けTwitterアカウント–進学・進級時の若者がSNSで行うこと

CNET Japan

 進学・進級の時期になり、若者たちはSNS上でさまざまな活動をしている。変化の多いこの時期に、10代がSNSで行うことについて解説したい。

卒業時にLINEにはまり長時間利用に

 小学校卒業前後にスマホを持ち始め、LINEを使うようになり、はまる子どもは多い。特に「友だちからメッセージが来る」ことの楽しさは子どもに深く刺さるようで、“YouTubeよりもLINEを禁じられる方が困る”くらいになる。

 大人がLINEを使うのは用事があるときだけだし、複雑なやり取りをする時以外は利用時間が長くなることもほとんどない。ところが利用し始めの子どもたちは、時間がある限りLINEを繰り返し見たり、スタンプを連続で投稿する“スタ爆”などをして楽しんだりする。

 中学生の息子もLINEを見続けているのでスクリーンタイムで確認したところ、一日40分以上使っていて驚いた。あまりに見るので時間制限を始めたが、夜半には「LINEを見たいので延ばして」と制限解除を求められるようになった。

 子どもの友だちが、「LINEは1日10分しか使えないんだよな」と言っていた。「LINEを使いすぎてお母さんに怒られた」らしい。他にもそういう子がいるそうで、子どもにとって友だちと直接やり取りできることがどれだけ魅力的かということが分かる例だ。

 息子も、「○○のLINEわかった」と小学校時代の友だちのLINEを聞いて連絡するなど、LINEの便利さと楽しさを身にしみて感じているようだ。

アンケートで参加者募集、日程調整も

 LINEを使う前は、友だちと遊びに行くこともなく、ひたすら課題やテストに追われていた。しかし、LINEを使うようになった春休みには、遊びの誘いがしょっちゅうくるようになった。もちろん、一年経って親しくなった、多くの子がLINEを使い始めて誘いやすくなった、課題が少なめで時間がある、といったことも理由にあるだろう。

 クラスLINE、クラスの男子LINE、部活LINE、部活の学年LINEなど、さまざまなグループごとにさまざまな遊び企画が立ち上がっており、そのたびにアンケートで日程調整や参加者募集などが行われているようだ。調整できた日程で参加者のグループを作り、当日の待ち合わせや当日撮影した写真のやり取りなどをしていた。LINEを持っていない子も友だち経由で参加希望を出し、参加したりしたという。

学年LINEで新学年のクラスLINEに備える

 中学は学内へのスマホ持ち込み禁止、学内での利用禁止というところが多い。そこで困るのがLINE交換だ。

 未成年なので「LINE ID」もなく、電話帳登録などもしていないため、QRコード読み取りか、共通の友だちなどから連絡先を教えてもらうなどの方法でつながるしかない。数少ない学外で会う機会を活用したり、保護者経由などで徐々に広げてつながったりしたようだ。

 進級を前に、最近学年LINEができた。3分の2くらいの人数が参加しており、なかなかにぎやかだ。LINEを使っていない子のうちでは、保護者のアカウントで参加しているケースもあった。

 「オープンチャットで話し合って、学年LINEがあった方がクラスLINEが作りやすいねってなったらしい」という。「ここを見ればほとんど全員の連絡先がわかるから便利かも」と好評のようだが、「通知が多そうだから一度抜ける」と抜けた子もいる。

 これは学校によってかなり違う。例えばある中学では、1年時に学年LINEができ、盛り上がって通知が鳴り止まなかったという。「学年LINEで仲良くなって学校で会いに行ったことがある。LINEで友だちがたくさんできた」と聞いた。

 高校生になるとスマホは学内に持ち込み可となり、LINEの利用率も上がるため、クラスLINEの作成はスムーズに行く。学年LINEやクラスLINEは話し合いや連絡のために便利に使われる。

 中学生から利用する子は利用していたTwitterやInstagram、TikTokなどの利用率が上がり、友だちや関係性によってどのSNSでつながるか、も変わるようだ。

 Twitterなどで高校用のアカウントを作成し、複数のアカウントを使い分けてつながっていく。「#春から○○高」のハッシュタグでつながる子も多い。

「#春から○○大」は定着–メイン大学垢はインスタ

 大学に進学する場合は、Twitterで匿名、顔写真なしの大学用アカウントを作成するところから始まる。

 「#春から○○大」で同じ大学、学部などに進学する新入生同士つながり、この時期は主に履修関係の情報交換をしている。「履修登録がわからないので教えてください」とDMを募ったり、履修登録画面の画像を載せ、「同じ講義をとっている人いますか?」と履修友だちを募ったりしている。

 プロフィール欄に掲載するURLはInstagramの鍵垢だ。つまり、コミュニケーションのメインアカウントはInstagramなのだ。Twitterで親しくなった相手とInstagramでつながり交流する、という使い方をする。日常のことをストーリーズで投稿しリアクションを求めたり、DMでやり取りしたりすることが多い。

 「#春から○○大」は定着しており、TwitterでもInstagramでも新入生に向けて告知するためのハッシュタグとして活用されている状態だ。

 学生は、SNSは同級生やクラスメイトなどとつながったり、やり取りのために使ったりすることが多い。年令によって使われるSNSはさまざまだが、SNSでつながった人間関係をベースに学校生活を楽しみ、同時に共通の趣味などでこうゆう関係を広げていくのだ。進学、進級で新生活が始まるが、学生の皆さんがSNSをうまく活用して良い人間関係を築けることを願っている。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

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