【コラム】アニメ『るろうに剣心』リアタイ世代の私が忘れられないシーン / あるいは新アニメ版に願うこと

ロケットニュース24

再アニメ化される『るろうに剣心』。2023年3月22日に配信されたフジテレビアニメラインナップ発表会にて、7月からノイタミナほかで放送されることが発表された。原作の読み切りから心を奪われ、アニメどころかドラマCDの緒方恵美版剣心まで聞いてた私(中澤)からすると注目せざるを得ない夏アニメである。

新作は原作を第1話から再構築したものだという。現在もアニメを追っている体感で言うと、リメイクものの成功率は決して高くないが頑張って欲しいところ。しかし、再構築ということは90年代版のアニメ『るろうに剣心』でめちゃくちゃ面白かったあの話は10割なくなるんだろうな……。

・新アニメの声

ティザービジュアルを見ると、キャラクターデザインやシナリオなど全編を和月伸宏先生が完全監修しているだけあり、90年代アニメ版よりも原作に寄った絵柄となっている。キャスト陣が一新されているところは賛否あるかと思うが、PVを見た個人的感想を言わせてもらうとキャラに合っているように感じた。

思い返せば、90年代版アニメの第1話をリアタイした時にまず私が抱いた感想は「剣心の声がイメージと違いすぎる」というものだった。共に成長してきた存在だけに、やがて慣れて「剣心=涼風真世」になっていったのだが、ファーストインプレッションは緒方恵美派だったんだよな。

でも、今回の斉藤壮馬剣心は、その2人よりしっくり来ていると思う。優男とは言え、29歳の男だから、原作からイメージしてたのはこれくらいの温度感だったんだよね。女性的じゃなくて可愛い男みたいな。そういう意味で今回の剣心はちょうど良い男っぷりである。斉藤壮馬さんのファンになりそうだ。

・90年代アニメ版のターニングポイント

ところで、リアタイ当時のことと言えば、私が最初に思い出すのが島原編である。90年代版アニメは、京都編終了後、弥彦がジャガラタ国の王子になったり、左之助が犬拾ったりする意味不明な話が続く。

今でこそ、アニメが原作に追いついたからだと分かるのだが、当時はいち中学生視聴者。子供心に「もう終わるのかな?」と思うくらい失速していた

・めちゃくちゃな話

そんな混沌の中始まったのが島原編。これは天草四郎の生まれ変わりである天草翔伍が登場する話なのだが、なんとその天草翔伍も飛天御剣流の使い手。しかも、比古清十郎の兄弟子も勝手に登場して、最後は剣心と天草翔伍が天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)の打ち合いで激突して終わるという、今考えたらめちゃくちゃな話であった。

なんなら、天草翔伍は雷を剣に落とす的な技も使っていた記憶がある。『ドラゴンボール』のかめはめ波に飽き飽きしていた時に登場したのが『るろうに剣心』で、スペクタクルではない格闘が新しさだと思っていたため、当時においてもこれは衝撃的であった

しかし、そういっためちゃくちゃさにいつしか夢中になっていた。これはありなのか? そう思いながら見ているうちに気づいたら来週のアニメが楽しみになっている自分がいたのである。

・無駄があってもいい。アニメだもの

ここで息を吹き返した(あくまで個人の感想です)アニメ版るろ剣は、結局島原編の後も20話くらい続いた。最終的には、風水の力で空飛んだりしていた記憶がある。東京上空でカラフルなオーラを発しながら激突するシーンが忘れられない

いずれも、今の話数が決まったアニメでは生まれ得ない無駄な勢い。それも含めて90年代版アニメるろ剣は最高だった。新アニメはどうなるだろうか? 記憶に残る作品となることを願わずにはいられない。

執筆:中澤星児
©和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会

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