国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)と東京都立大学による研究グループは、n型MoSトランジスタの性能向上につながる低コンタクト抵抗技術を開発した。次世代ロジック半導体の高性能化に貢献できるとしている。
2nm以降の次世代トランジスタのチャネル用半導体材料として、二次元結晶構造を持つTMDC(遷移金属ダイカルコゲナイド)材料のMoS2(二硫化モリブデン)が注目されている。だが、一般的な金属電極との接触面における高いコンタクト抵抗が駆動電流を抑制し、高性能化を妨げる要因となっていた。これは、Bi(ビスマス)やSb(アンチモン)といった半金属をコンタクト材料として用いることで大幅に低減できるものの、融点の低さによる熱的安定性の低さが課題となっていた。
研究グループでは、量産化に適したスパッタリング法を駆使し、単層MoS2上に層状物質のSb2Te3(三テルル化二アンチモン)を成膜することで、トランジスタのコンタクト抵抗を大幅に大幅に低減することに成功。Sb2Te3は、半金属に似た特性を持ちながら、約620℃と融点が高いことが知られており、高い耐熱性を維持しつつ低いコンタクト抵抗を実現した。
同グループは今後、n型とp型のTMDCトランジスタを直列接続したCMOS作製を目指し、p型TMDCに適した別のコンタクト材料に関する開発を進めていくとしている。
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