登山地図GPSアプリ「YAMAP」を運営する株式会社ヤマップと埼玉県警察は、登山届に関する「山岳遭難防止に向けた登山届協定」を締結した。埼玉県内で登山をする場合、YAMAPで作成した登山計画書を簡単な操作で埼玉県警察を共有できるようになる。
埼玉県において、2022年の山岳遭難は87件、遭難者は97人と過去最多を記録した。そして、遭難者の登山届の提出率が低いことが、遭難救助の対応が遅れることにつながったという。
登山届の提出率が低い理由は複数考えられる。1つは、登山者は登山口に設置されている登山届ポストに専用の書類を提出するのに加え、埼玉県警察にも登山届を提出する必要があり、二度手間となっていること。そのほか、人があまり行かない低山には登山届ポストが設置されていないことや、低山だから大丈夫だろうという気のゆるみもあると、ヤマップでは指摘している。
このような状況を改善するため、今回の協定の締結が実現した。YAMAPには、事前にコースタイムを自動計算して無理のない登山計画を作成でき、「YAMAPに登山計画を提出する」ボタンによって登山計画を緊急連絡先に登録している家族などと共有できる「登山計画&提出」機能がある。この機能を拡張し、埼玉県警へも共有可能となった。
YAMAPは全国2万5000座以上の山の情報を収録しており、登山届ポストがないような低山や里山にも対応している。そのため、埼玉県警察で把握可能な登山届の数を大幅に増やすことができ、救助の迅速化が期待できるとしている。