Instagram共同創設者、AI活用ニュースアプリ「Artifact」を発表–嗜好を学習

CNET Japan

 Instagramの共同創設者Kevin Systrom氏とMike Krieger氏は、2018年に同社を去ってからともに取り組んできた新たなアプリ「Artifact」を発表した。


2019年のSXSWで対談するKrieger氏(写真左)とSystrom氏
提供:Chris Saucedo/Getty Images

 2人はArtifactについて、「最新の人工知能(AI)技術を使ってパーソナライズされたニュースフィード」と説明している。Systrom氏は米国時間1月31日、Artifactのウェブサイトからウェイティングリストに登録するようツイートで呼びかけた。

 2人は2018年9月、8年間在籍したInstagramを離れることを明らかにした。「好奇心と創造力を再び探求する」ために少し休みをとるとしていたが、Instagramを傘下に置くFacebook(現Meta)の最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏との間に緊張関係があったとも報じられていた。退職後、2人は2020年に新型コロナウイルス感染症の拡散を追跡するウェブサイトも立ち上げた。

 Artifactのリリースは、ソーシャルメディアプラットフォームでニュースを含むコンテンツをユーザーに消費してもらうために、AIが担う役割が拡大し続けていることを示している。例えば、人気のショート動画アプリ「TikTok」は、アルゴリズムを使ってユーザーが興味を持ちそうな動画を「おすすめ」ページに表示している。ニュースレター「Platformer」を発行する記者のCasey Newton氏は、ArtifactについてSystrom氏を取材し、このアプリを「TikTokのテキスト版のようなものだが、モバイルアプリとして生まれ変わった『Googleリーダー』か、あるいはTwitterへの奇襲とさえ言えるかもしれない」と評した。

 Artifactのユーザーには、The New York Timesなどの発行元からキュレートされたニュース記事のフィードが表示される。ユーザーが記事をクリックすると、アプリはその人の閲覧嗜好を学習して、類似した記事を表示するようになる。しかし、Systrom氏はNewton氏からの取材に、Artifactには他の機能もあるとし、フォローしている記者が投稿したニュース記事のフィードとともに、その記事に関する記者のコメントを表示するといったものを例に挙げた。Artifactではまた、非公開のダイレクトメッセージを介して、読んだ記事について友人同士で議論することもできる。

 FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークは、すでにAIを利用してユーザーに投稿や写真、動画を推薦することに取り組んでいるので、Artifactはそうした先行サービスとは異なる強みがあることを証明しなければならないだろう。Newton氏が指摘するように、過去にもCNNが買収した「Zite」やLinkedInが買収した「Pulse」などのパーソナライズされたニュースアプリがあったが、十分な人気を獲得できなかった。

 厳しい競争に加えて、AIを使ってコンテンツを推薦することには、精神衛生上の懸念も伴う。The Wall Street Journalは2022年、TikTokのアルゴリズムを調査し、同アプリが10代の若者たちに摂食障害のコンテンツを大量に配信していることを明らかにした。また、ユーザーがソーシャルメディアのフィードから悲観的なニュースだけを求めてスクロールし続ける行為、いわゆる「ドゥームスクロール」も、懸念される悪影響として認識されつつある。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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