ジャイアントパンダが好きで、眺めているうちに、自然と見分けられるようになってきた。「見分けがつかない!」という人に向けて、いまのうちにジャイアントパンダの見分け方をまとめてみたい。
報道のプロでも間違うパンダの顔
ジャイアントパンダを見分けるのは簡単ではないらしく、新聞やテレビでもごくたまに“事故”が起こっている。事故とは、たとえば文字では「シャンシャン」と書かれているけど、写真や映像には別のパンダが写っている……というようなことだ。
報道のプロでも間違うのだから、間違う人がいてもまったく不思議じゃない。でも、人生100年と言われる時代。長い人生のなかには急に「パンダを見分けてください」と言われる機会があるかもしれない。
2023年1月現在、日本にいるジャイアントパンダは13頭。そのうち4頭が2月に中国へ旅立つので、3月には9頭になる。
※以降はジャイアントパンダのこと、省略してパンダと記載します。
いつか来るかもしれない日のために、彼らを見分けるポイントを解説したい。
まず、顔が違う
……というわけで、上記の似顔絵を見て、さっそく察してくれている人がいたら非常にうれしいのだが、それぞれの顔立ちは、実はちゃんと全然違う。見分ける際には、以下のポイントを見るといい。
・輪郭
・耳と耳の間隔・耳のかたち
・鼻や口の位置・かたち
・アイパッチ(目の黒いところ)のかたち
一気に覚える自信がない人は、迷ったときには、これから下に綴っていく図を参考にしてほしい。
まずは上野動物園にいる5頭のパンダから見ていこう。
一気に畳み掛けられて「???」ってなっている人がいたらごめんなさい。ここからはさらに畳み掛けていく。
続いては神戸市立王子動物園にいるタンタン。
そして和歌山県白浜のアドベンチャーワールドのパンダたち7頭。
このように個体ごとにけっこう異なる顔立ちをしているのだ。
顔以外もぜんぜん違う
そして顔以外も割と違う。からだについても、たとえば下記が違っていたり特徴があったりする。
・全体の大きさ・重さ
・足の長さ
・しっぽ
・かかと
・模様
重さに関して言えば、成人しているパンダでも、大きいパンダと小さいパンダの間には60キロ近くの差がある。
しっぽに関しては、基本白いのだが、例外もいる。かつて上野動物園にいたトントン(1986年生まれ)は、しっぽに黒い毛が混ざっていた。ちなみにトントンは今は剥製(はくせい)になって、上野の国立科学博物館のなかにいる。
食の好みもいろいろだ。竹などのえさを選り好みするパンダもいれば、なんでも食べるパンダもいる。
グルメなパンダの代表格は和歌山の永明さんだ(永明さんは国内にいるパンダの最高齢であり、自然繁殖の最高齢記録を更新し続けたレジェンドパンダなので、なんとなく「さん」をつけないといけないような気がして、つけてしまう)
上野のシャンシャンも竹の好みが激しいらしい。加えてにんじんがあまり好きではないという。たまに飼育員さんが細かく刻んでくれたにんじんをお尻で踏み潰していることがある。
なんでも食べるパンダも複数いて、代表格は上野のシンシンだろうか。シンシンは、阿部 展子さんの著書『パンダ飼育係』によると、食べ物だと思ったのかそこらへんに置いてあったバケツやホースをかみちぎっちゃったことがあるらしい。
あと、朝日新聞出版発行の『リーリーとシンシン』によれば、中国にいたころ、好き嫌いもなくあればあるだけ食べるので目方がどんどん増えていってしまい、飼育員さんが食事コントロールをすることにした……なんてこともあったらしい。
もちろん性格も違う。穏やかなパンダもいれば、激しいパンダもいる。2000年代初頭、上野動物園に短期滞在していたメキシコ生まれのシュアンシュアンは、放飼場に出た初日に竹を薙ぎ倒したという逸話がある。
ちなみに、パンダを見てみたいけど行列にはあまり並びたくなくて、関東近郊在住で和歌山になかなか行けない……という人は、上野動物園の父親パンダ・リーリーを見に行くのがいちばんおすすめだ。
待ち時間がねずみの国レベルだと思われている上野動物園のパンダ列だけど、リーリーは待ち時間なしで見られることが多い。
シャンシャンの行列の待ち時間は長い時で4時間を超えたこともあり(※今は事前抽選制なので並んでも観覧はできない)母と双子の行列も、おおよそ30分以上は待つことが多い。常に行列がすごいのだと思われがちな上野のパンダ観覧において、リーリーの待ち時間なしは奇跡のような事態なのである。
でも、だからといって人気がないわけじゃないんだ……っていうか、人気があるとかないとかそんなのはどうでもいいのだ。
リーリーはとびきりかわいいお父さんパンダなのである。
小さい頃は活発な双子の姉にミルクを横取りされていたことがあるらしく、今も穏やかな性格だ。つがいのパンダ・シンシンとは同じ場所で生まれ育った幼なじみだそうで、一説によれば小さい頃からずっとシンシンが大好きというし、パンダはつがいを選ぶ際の好みが激しいと聞く。その話を踏まえると、大好きなシンシンと一緒に同じ動物園に来られてよかったねって気持ちになる。というか、そうじゃなかったら今頃一体どうなっていたんだろう、とも勝手に心配になる。
リーリーは竹を食べながらたまに一時停止ボタンを押したかのように止まることがある。ファンの間では「フリーズ」と呼ばれている。
木登りも得意で、なんかすごいところに登っていることがある。
そんなことも踏まえてぜひ見に行ってみてほしい。
渡航できるようになってくれ。
中国に渡航できるようになったら、中国に渡ったパンダ達に会いにいきたいなぁと思っている。シャンシャンはまだどこに行くか決まっていないそうだけど、今和歌山にいるパンダ3頭は中国四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地に行くことが決まっている。
成都ジャイアントパンダ繁育研究基地は、わりと市街地にあって、成都の街の地下鉄とバスを乗り継ぐと行くことができる。語学に堪能じゃない方向音痴の私でもどうにか行けた。近々また行きたい。
以下は以前行った時の記録です。