【西川和久の不定期コラム】10.4型2K/8コア/6GB/128GBで2万円台のAndroidタブレット!N-one「NPad Plus」

PC Watch

製品写真(スタンドは含まず)

 Amazonを眺めていると見知らぬブランドのAndroidタブレットが数多く並んでいる。今回はその中からN-oneの安価なタブレット「NPad Plus」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

10.4型2K/8コア/6GB/128GBのAndroid 12搭載タブレット!

 本連載で(多分)初登場のN-one。同社のサイトを調べると、Androidタブレットが、「NPad Max」、「NPad Pro」、「NPad Air」、「NPad Plus」。ノートPCとしてキーボード上部に2ndディスプレイのある「NBook Fly」。この5つが並んでいる。

 ノートPCは第10世代Core i7-10850H/16GB/512GB/16型フルHD + 14型1,920×527ドット/重量2.5Kgとハイエンドだが、Androidタブレットに関しては、搭載しているSoCが、UNISOC T616、UNISOC T616、UNISOC T310、MT8183と、ざっくりSnapdragon 730Gから665(未満)程度。エントリーからミドルレンジ中心のラインナップなのが分かる。

 今回ご紹介するNPad Plusの主な仕様は以下の通り。性能的にはNPad Airよりは上、ほかの2モデルよりは下となる。もちろん本サイトで紹介するのだから技適対応だ。

N-one「NPad Plus」の仕様
SoC MediaTek Kompanio 500 / MT8183(8コア/x4 Cortex-A73 + 4x Cortex-A53)、Mali-G72/800MHzを内包
メモリ 6GB/LPDDR4X
ストレージ 128GB
OS Android 12
ディスプレイ 10.36型IPS式(2,000×1,200ドット)
ネットワーク Wi-Fi 802.11ac、Bluetooth 5.0
インターフェイス USB Type-C、microSDカードスロット(最大1TB)、3.5mmジャック、スピーカー×2、マイクロフォン
センサー GPS、加速度
カメラ 前面:500万画素/背面:1,300万画素
バッテリ 6,200mAh
サイズ/重量 約247×157×7mm(幅×奥行き×高さ)/478g
付属品 USB Type-C/Type-Cケーブル、ACアダプタ(10W)
価格 2万6,900円(Amazon)

 SoCはMediaTek Kompanio 500(MT8183)。12nmプロセス/2019Q4リリースと少し古め。8コア(x4 Cortex-A73 + 4x Cortex-A53)/2GHzで、GPUにMali-G72/800MHzを内包している。Snapdragon的には660と同レベルとのこと。後半のベンチマークテストを見ても今どきとしては速くなく価格なりだ。

 メモリは6GB/LPDDR4X、ストレージは128GB、OSはAndroid 12を搭載する。ここに関しては想定される用途的には十分といったところか。

 ディスプレイは10.36型IPS式2,000×1,200ドットでいわゆる2Kだ。アスペクト比は、16:9だと2,000×1,125ドット、16:10だと2,000×1,250ドット。つまり16:10には50ドット足らないが、ほぼ16:10という微妙な位置づけとなる。

 ネットワークは、Wi-Fi 802.11ac、Bluetooth 5.0。インターフェースはType-C、microSDカードスロット(最大1TB)、3.5mmジャック、スピーカー×2、マイクロフォン。センサーは加速度とGPS。カメラは前面500万画素、背面1,300万画素。

 サイズ約247×157×7mm(幅×奥行き×高さ)、重量478g。6,200mAhのバッテリを内蔵して価格は2万6,900円(Amazon調べ)。クリスマスセールで2万円を切ってた時期もあったが、今は残念ながら元に戻っている。

 サイトを徘徊したり、YouTubeを観たり、ちょい使い的であれば問題ないレベルなので、この価格ならありだろう。競合するであるろう他社モデルもおおよそ3万円前後に並んでいる。なお、本製品をAmazonで扱い出したのは去年、2022年11月21日からと新製品だ。

 筐体の色は青がかったグレーっぽく、チープな感じはない。重量は実測で497g。片手で持ち続けるには少し重いが、両手なら問題ないレベルだ。また厚みが7mmなので持ちやすい。

 前面はパネル中央上に前面カメラ。縁は普通だがこの程度あった方が指が画面に被らず扱いやすい。背面は左上にカメラ群。ロゴの下、右端に技適マークが見える。上側面にmicroSDカードスロット、左側面にスピーカーR。右側面に3.5mmジャック、音量±ボタン、電源ボタン、Type-C、スピーカーLを配置。Type-Cは確認したところ、映像出力には未対応だった。付属品は10W出力のACアダプタとUSB Type-A/Type-Cケーブル。

 ここで?と思われた方はなかなか鋭い。通常横位置でタブレットを使う時は、前面カメラを上にするが、本機だとこの場合、スピーカーのLRが逆になる。つまり、前面カメラを下にしないと正常なステレオ再生にならないのだ。これについてフィードバックしたところ、将来のアップデートで左右反転にすることは可能とのことだった。

 10.36型のディスプレイは発色、コントラスト、視野角は十分。このクラスでもずいぶん良くなったと感心する。明るさは筆者の作業場のように間接照明しかない暗い部屋だと最小でもかなり明るく、一般的な室内でも輝度50%で眩しいほどだ。眩しい時は、設定→ユーザー補助で、「更に輝度を下げる」をオン(デフォルトオフ)にすればよい。先にあげた50ドット足らない16:10に関しては、少なくとも16:9よりは縦位置/横位置共に見やすくプラスポイントとなる。

 また設定→ディスプレイに「MiraVision」という項目があり、画面の発色やブルーライトカットなどの調整が可能だ。デフォルトのピクチャーモードは標準となっている。

MiraVision / ピクチャーモード。メニューで項目が見えないが、上から標準/鮮やかな/ユーザーモード。ユーザーモードにすると、メニューのコントラストから色温度までの項目が調整可能となる

 なお、映像配信サービスなどで使われるDRM/WideVineは、DRM infoで調べたところL3だった。従ってNetFlixはSD画質になる。

 背面カメラはレンズが2つあるが内側は調べた限りダミーのようだ。実際は外側のみ機能する。おそらくmicroSDカードスロットのNano SIM用らしい部分と同様に、派生モデルと金型を共有するためなのだろう。画質は前面も含め語るまでもなく……と言ったところ。前から書いているが、安価なタブレットは無理にカメラ(特に背面)を付ける必要はないのではと思う。

 センサーは見る仕様によってGPSの記述があったりなかったり……。「GPS Status & Toolbox」で調べたところ、GPSと加速度搭載だった。

GPS Status & Toolbox / GPUセンサーと加速度センサーにチェックがある

 発熱は季節柄もあるだろうが、試用した範囲では暖かくもならなかった。サウンドは、横位置時にステレオ(ただし先に書いた通り、前面カメラが下に来る横位置)。音質はそれなりだが、出力50%でもニアフィールドだと煩いほどのパワー。音楽も映像も十分に楽しめる。3.5mmジャックへSONY MDR-EX800STを接続し、視聴したところ、傾向はスピーカーと同じ。パワーはあるが、音質は(悪くはないものの)価格なりだ。

 なお、設定→音→音声強化に「BesLoudness」の項目があり、デフォルトではオンになっていた。オフにすると全体的に迫力がなくなるので、通常オンで問題ないと思われる。

 ソフトウェア面やベンチマークテストの結果は後述するが、速くはないとはいえ価格を考えれば十分な出来。カメラに関しては(ハイエンドを除く)タブレット全般なのでどこも同じ。ここはマイナスポイントにはならない。パネルがきれいで音に迫力もあるため、しばらく本機でYouTubeを楽しんでいた。重い処理さえしなければOKな感じだ。

Android 12搭載だがプリインストールアプリは最小限

 初期起動時、ホーム画面は1画面。Dockに設定、ファイル、カメラ、YouTube、Chrome。標準ではナビゲーションバー式だが、設定でジャスチャー式にも対応する。ストレージは128GB中15GB(若干の画面キャプチャあり)が使用中。IMEはGboard。

 上から下へのスワイプでクイックアクセス/通知エリア、下から上へのスワイプでアプリ一覧、壁紙長押しでウィジェット/壁紙など…操作性はAndroid一般と同じ。特に変わった部分や追加機能などはない。

 設定で「DuraSpeed」と言う項目があり、バックグラウンドアプリを制限し、フォアグラウンドアプリの作動速度を向上させる機能を搭載。オン(デフォルト)の状態で試用している。スマホだと省エネ目的で同種の機能を搭載しているが、非力なSoCだと効果はそれなりにありそうだ。

 インストール済みのアプリは、「アシスタント」、「カメラ」、「カレンダー」、「ドライブ」、「フォト」、「マップ」、「音声レコーダー」、「時計」、「設定」、「電卓」、「Chrome」、「Files」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google TV」、「Keepメモ」、「Meet」、「Playストア」、「Playブックス」、「YouTube」、「YT Kids」、「YT Music」。

 最小限の構成だが、Playストアが使えるので、後から好きにインストールすればよく、こちらの方が望ましいと思う人も多いだろう。

 FMラジオはイヤホンがアンテナになるが、残念ながら日本の周波数には未対応で、88MHz以上の局のみ聴くことができた。

 気になる点があるとすれば、このクラスはOSのアップデートがどうなっているか。セキュリティアップデートも含め不安と言えば不安となる。ただメジャーアップデートに関しては、価格が価格なので諦め、数年後に同価格帯を買い直すといった感じとなるだろう。おそらくパネルもパワーもずいぶん良くなっているはずだ。

Google Octaneは1万を切るもののGPUは少し速い

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5はSingle-core 295、Multi-core 1,289、Vulkanは1,286。Google Octane 9,349。

 参考までにSnapdragon 730G搭載Lenovo Tab P11 Proは、Single-core 545、Multi-core 1,799、Vulkan 1,077。Google Octane 17,946と(カッコ内)、CPUに関しては少し本機の方が遅い。逆にGPUに関しては(見間違いかと思ったが)本機の方が高いスコアになっている。

 実際使ってみると、サイトを徘徊したり、PDFなど資料を見たり、スマホで撮った写真をGoogleフォトで大きく見たり、YouTubeを観るなど、ライトな用途であれば普通に扱うことが可能。また子供用としてもありだろう。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ7時間半手前でバッテリが切れた。長くはないものの、画面は明るく、音量もあり……で、この時間なら妥当なところではないだろうか。

GeekBench 5(Single-core / Multi-core)。295 / 1,289(545 / 1,799)

Geekbench 5。Vulkan 1,286(1,077)

Google Octane 2.0は9,349(17,946)

7時間経過して残4%


 以上のようにN-one「NPad Plus」は、10.4型2K/8コア/6GB/128GBで2.7万円を切るのAndroid 12搭載タブレットだ。価格の割にパネルのクオリティが高く、色がきれいなのは特筆に値する。

 WidevineがL3、パフォーマンス的にはエントリークラス……と気になる部分はあるにはあるが、サイトを徘徊したり、YouTubeを観たりする分には普通に扱うことができる。安価な割に画面がきれいなタブレットを探しているユーザーに使ってほしい1台だ。

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