【レビュー】レイトレ+4KでもGTX 1060並みの消費電力?「Palit GeForce RTX 4090 GameRock OC」で新世代グラフィックスを改めて体験した

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PalitのGeForce RTX 4090 GameRock OC

 NVIDIAのGeForce RTX 4090が発売されてから2カ月以上が経ったAda Lovelaceアーキテクチャを採用したこの新世代GPUは、単純に従来のGeForce RTX 3090から約2倍近く高速化されただけでなく、Shader Execution Reordering(SER)やMicro-Mesh、DLSS 3といった新技術によってフレームレートが最大で4倍へと飛躍し、新世代グラフィックスの可能性もたらす。

 このうち、SERやMicro-Meshは新たに公開されたSDKによってゲームを開発する必要があるため、対応はまだまだこれからといった雰囲気だが、DLSS 3対応にさせることは比較的容易のようだ。実際3Dアクションゲーム「Marvel’s Spider-Man Remastered」(以下:スパイダーマン)や「ウィッチャー3 ワイルドハント」(以下:ウィッチャー3)といった大作が比較的早い段階でDLSS 3への対応を果たしている。

 このうちウィッチャー3は、初期バージョンがリリースされてから実に7年も経過しているのにも関わらず、DLSS 3対応に加え、リアルタイムレイトレーシングによるエフェクトも新たに対応するなど、「時が経過したゲームも、アップデートすれば最新のGPU技術に対応できる」ことを示す手本となっている。

 このたびPalitより「GeForce RTX 4090 GameRock OC」という製品がお借りできたので、筆者が好きなこの2タイトルで動作させて、実際にDLSSの挙動を確認してみた。

外観がさらに進化したGeForce RTX 4090 GameRock OC

 まずは今回試用したPalit GeForce RTX 4090 GameRock OCについても簡単に触れておこう。GameRock OCシリーズは同社のフラグシップにあたり、RTX 30シリーズより、宝石を彷彿とさせるような派手なクーラーカバーを採用しているのだが、RTX 4090 GameRock OCでは「真夜中の万華鏡」と題されたダーククリスタルデザインに刷新された。アゲアゲな雰囲気だったRTX 30シリーズと比較すると、ずいぶん落ち着いた印象になった。

 GPUクーラーは「超巨大」というほかなく、3.5スロット(つまり事実上4スロット)占有する。本体サイズは329.4×137.5×71.5mmと、筆者が過去に試したビデオカードの中でも一番大きい。そのためか、本製品を支えるホルダーも付属している。

 ただ、本体背面は金属製のバックプレート、前面にも「Anti Gravity Plate」と名付けられた強固なフレームが取り付けられているためか、金属で補強されたPCI Expressスロットに装着し、バックプレートをきっちりケースにネジ止めしておけば、ホルダーを使わなくてもきっちりかつまっすぐ装着され、スロットが破損しそうな雰囲気もなかった(運搬するなら絶対装着はしておいた方がいい)。

今回は「Hydro PTM PRO ATX3.0(PCIe5.0) 1000W」を使用したためケーブル1本でスッキリ

 補助電源コネクタはPCI Express 5.0準拠の16ピンが1つ。PCI Express 8ピン×4からこの16ピンに変換するコネクタも付属する。なお、今回は試用にあたって、FSPのATX 3.0(PCI Express 5.0)対応電源「Hydro PTM PRO ATX3.0(PCIe5.0) 1000W」を用いたため変換コネクタは使わないこととする。

 電源を投入した際に派手に光るのはRTX 30シリーズのGameRock OCとまったく共通だが、ブラックで透明な素材となっているため眩しさは減った。また、大型化でLEDが増えたからか、カスタマイズできるエフェクトがやや増えている。RGB LEDイルミネーションで自己主張をしたいユーザーにとってこれ以上にない選択肢だが、ここまでやるならファンも光ってほしかったところである。

さまざまなライティングエフェクトを設定可能

“真夜中の万華鏡”というので照明を落としてみた。RTX 30のGameRockシリーズに比べるとだいぶ大人しくなった

 ちなみに以前に「GeForce RTX 3080 Ti GameRock OC」を試す機会もあったのだが、RTX 4090 GameRock OCはこの時と比べて動作音がだいぶ抑えられているのがとても印象的。今回はデュアルBIOSのうち「S」=Silent Modeで試用したのだが、室温が22℃前後の今の時期だと、GPU温度は67℃までしか上がらず、ファンの回転数が相当に抑えられているからであろう。クーラーは巨大化しつつも、その分いい仕事をしている印象だ。

新たにGale Hunter Fanを採用し、冷却性を向上させている

 今回のテスト環境は、Core i9-12900K、メモリ32GB(DDR5-4800 16GB×2)、Intel Z690チップセット(ASUS ProArt Z690 Creator Wi-Fi)、SSD 1TB(Samsung 980 PRO)、OSはWindows 11 Proといった環境。3DMarkを走らせてみたが、ほぼFounders Edition+α程度の性能が出ていることが確認できた。

3DMarkの各テストを回してみたが、GeForce RTX 4090 Founders Editionのレビュー記事のスコアとほぼ同じ程度だった

ウィッチャー3とスパイダーマンでDLSSの効果を見る

 ウィッチャー3がリリースされたのは2015年末で、この時はまだMaxwellアーキテクチャのGeForce GTX 980 Tiが最上位……といった時代だった。半年後にGeForce GTX 1080がリリースされ、ウィッチャー3はこの時に導入されたゲーム内の撮影機能「Ansel」に比較的早い段階で対応できたことは記憶に新しい。それがグラフィックスを一新してレイトレ対応となったわけだから、試さないわけにはいかなかった。

 ではレイトレがオン(オプションはRTウルトラ)とオフ(最高)でどのぐらい違うのか? というと“見比べれば確かな違いが分かるが、ストーリーやアクションを主体とするなら見分けがつかないレベル”である。

 もともとウィッチャー3はグラフィックスが美しいので、それがレイトレによってさらにブラッシュアップしたという印象だ。たとえば主人公やオブジェクトへの照り返しや、木々の葉っぱといった細かいところへのシャドゥの適用、水に映る空の風景、と言ったあたりだろうか。

ウィッチャー3の(従来の)最高画質。木の葉の表現が平坦で、ゲラルド(主人公)も太陽光でできた影だけだ

ウィッチャー3のアップデートにより適用できるRTウルトラ。ゲラルドが照り返しで少し明るくなっているのが分かるほか、影の表現もよりリアルに。ただ、フレームレートは一気に40fps台……

DLSSによる超解像とフレーム生成を組み合わせると、草や木々の精細感が損なわれるが、110fps前後に。まあ、常に動いているのであまり気にならないし、これはこれで写真っぽさは増すのだが

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ウィッチャー3:ワイルドハント 描画設定:最高

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ウィッチャー3:ワイルドハント 描画設定:ウルトラ

 ただ、4K解像度下では性能低下が著しく、最高画質では148fps出せるところ、RTウルトラを選ぶと一気に40fpsに落ちる。消費電力も420W前後で推移し、GeForce RTX 4090の性能をフルに使い切る感じだ。DLSSによる超解像をオンにし、画質を「バランス」に設定してみたところ、消費電力は380W前後に落ち着いたが、それでも高いことに変わりはない。ウィッチャー3のレイトレの実装は相当「重い」と言っていい。

【表1】各画質設定時のGPU消費電力

【表2】各画質設定時のフレームレート

 DLSSによる超解像はオフにしつつ、DLSS 3によるフレーム生成を適用してみた。DLSS超解像がオフの状態でも、フレームレートが68fps前後に跳ね上がる。消費電力はあまり変わらず、これでようやく快適のラインとも言える60fpsはキープできたといったところだろう。さらに超解像による負荷低減を図ったところ、ようやく110fpsとなった。

 負荷の面で対照的なのがスパイダーマンで、こちらはDLSS 3によるフレーム生成や超解像化をオフにしたまま、レイトレを含むすべてエフェクトをオンにして4K解像度に設定しても、消費電力は300W前後にとどまった。

スパイダーマンは“軽い”。すべてのエフェクトをオンにしても300W程度だ

 インパクトがあったのがDLSSによる超解像で、これを「バランス」に設定してフレームレート上限を60に設定してみたところ、消費電力はたったの120W前後。この消費電力なら、ミドルレンジGPUかそれ以下というレベルだろう。画質劣化も確認できず、積極的に使いたい機能と言えるだろう。

 一方、超解像もフレーム補間もオンにすると、160fpsを超える数値を叩き出した。これなら4K/144Hz対応のディスプレイでヌルヌル動かせるというだけの性能は備えていることになる。もっとも、このゲームは60fpsでも十分スムーズなので、この機能が活きるのは将来登場するGeForce RTX 40シリーズのミドルレンジのGPUになるだろう。

 ちなみに「1フレームあたりの消費電力」という普段あまりやらない数値も求めてみたが、いずれのゲームもレイトレをオンにするだけで大幅に向上(電力効率的には低下)してしまうことが分かる(ちなみにグラフがリニアにならないのは60Hz垂直同期があるためで、固定のロジックは一定の電力以下にはならないため)。DLSSの超解像やフレーム生成技術を適用することによって大幅に改善されていることが分かるはずだ。

【表3】1フレームあたりの消費電力

消費電力を削減したいなら超解像、フレームレートを望むならフレーム補間

 ということでまとめると、GPU負荷と消費電力の低減を図るのが主目的なら、超解像を活用すべきだ。特に消費電力削減も狙うなら、フレームレートの上限を設定しておきたい。GeForce RTX 4090というと消費電力が450Wのモンスターというイメージがついていると思うが、製造プロセスの進化で効率が上がっているからこそ、旧GPUと同レベルのグラフィックスをより低消費電力でたやすく実現できる。

 上のグラフでいうところのスパイダーマンをレイトレオフで、なおかつDLSSを駆使した際の結果がそれで、たったの92Wだ。数世代前で言えばGeForce GTX 1050 Tiレベルである。GeForce GTX 1050 Tiで、同じ解像度/同じグラフィックスで60fpsで動作させられるかと言われれば明らかにNOだ(GeForce RTX 2080でギリギリなレベル)。

スパイダーマンはレイトレオフ/垂直同期オンの設定で、DLSS超解像を駆使すれば、4Kでプレイしててもたったの92W!

 その一方でウィッチャー3のように、GeForce RTX 4090が持っているリソースや技術を全振りしても、60fpsという基準からすると厳しいようなタイトルも登場している。このようなタイトルを快適にプレイするにはDLSS 3で新たに取り入れられたフレーム補間が重要になってくる(もちろん、将来的にミドルレンジのGeForce RTX 40シリーズにとって重要な技術でもあるのだが)。

 GeForce RTX 4090を試用して思ったのは「確かにこれなら30万円でも売れる理由が分かった」だった。最新鋭のグラフィックスを堪能するタイトルはフル性能を発揮して快適に動くし、軽いタイトルを動かすだけならインテリジェントな動作で省電力かつ静音。30万円を切るモデルも増えてきたので、年末また売れていく予感はしている。

自分へのクリスマスプレゼントにいかが?

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