ケニアのリアルな障害者事情 / カンバ通信:第227回 

ロケットニュース24

ジャンボ! 今回もリクエストボックスに届いた質問に答えようと思う。送ってくれたのは「とどもつまる」さん。その内容をかいつまんで紹介すると……


「(前略)私の仕事は障害のある方の支援です。マンツーマンでプールに行ったり映画に行ったり、病院に付き添ったりしています。

ケニアにも障害のある方はいると思います。そのような方々の置かれる状況は、チャオスさんにはわからないかもしれませんが、例えば身近にこんな人がいてどんな暮らしをしている等あれば教えてほしいです。」


うん。よし、答えよう。あまりよく事情がわからないので、障害のある方に話を聞きつつ。

・誰が彼らを支援する?

まず前提として、ケニアにはたくさんの障害者がいる。彼らをケアしてくれるのは主に家族だ。もしも家族がお金持ちだったりしたら、普通に生活できるうえ、娯楽施設に遊びにいくことだってできるだろう。ところが……


ケニアには障害者を支援している人や団体は、ない。


もしかしたら探せば小さい団体とかが存在するのかもしれないけれど、少なくともオレは聞いたことがない。なので、そのような「支援をする仕事」があるという日本は、たいへん恵まれている国と言えるだろう。

そんな我が国ケニアなので、お金持ちの障害者以外は、たいへん苦しい状況におかれれることになる。家族がサポートしてくれるなら運が良い。だが、家族のサポートも受けられない障害者がケニアにはたくさんいる。

彼らは主に路上で生活している。たとえば今回見かけた車椅子の少年なんかも、どう見ても路上で生活している障害者の一人。そんな彼に話しかけて、どんな生活をしているのか聞いてみた。



「基本的には、僕のことを見ていたり、目の前を通りかかった人に恵んでもらう。助けてください、ってお願いするんだ。もしもお金をくれたらお礼を言う。『あなたはとても良いことをしました』ってね」


──トイレに行きたい時はどうするの?

「トイレくらいなら、そのへんでするさ。人に見られたってかまわない」


──トイレ以外にも、人の助けが必要になるときがあるよね? そんな時はどうするの?

「その辺の人にお願いするのさ。これこれ、こうしたいので、助けてくださいって。こうしてください、って。優しい人が助けてくれる。たとえば、車椅子を押してください〜! とかね」


──道路を渡る時はどうするの?

「そんなの、ゆっくり渡ればいいのさ。車を運転している人は、僕を見ている。ゆっくり渡れば、止まってくれる。信号のない道路を横断する時くらいじゃぁ、人に何かを頼まないよ」


──どんな支援が欲しい?

やっぱりお金だね。お金があればご飯も食べられる。お金があれば治療もできる。とにかく毎日、このカップにお金を入れてくれる人が現れるのを待っている。普通の時もあれば、良い稼ぎの時もあるよ」


話をしてくれたあと、オレは彼にお金を渡した。いくらかは書かないけれど、お金で彼の支援をした。オレも稼ぎが減って辛い生活を送っていると思っていたが、彼の方が大変だと思った。がんばってほしい。おれもがんばる。クワヘリ。


執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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