言論のクオリティ:某テレビ局の報道の色付けはもう無茶苦茶

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少し前の話題ですが、奇妙な記事だなと思いました。ひろゆきこと西村博之氏が呟いたツィート、「座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」という沖縄辺野古基地工事現場の様子を書き込んだことが炎上したと報じられた件です。

その記事の見出しは「『終わったな…』沖縄抗議団体めぐる炎上で溢れる“ひろゆき離れ”の声…『ただの性格悪いおっさん』『所詮揚げ足取り』」というもの。

正直、内容はどっちもどっちなのですが、それ以上にヤフーのコメントランキングの1位になっていることにびっくりです。もちろん、私も網に引っかかって読んだ側なので強いことは言えませんが、あらゆる方面に「舌鋒鋭く」切り込んでいくスタイルでマスコミに引っ張りだこのひろゆき氏の論法、いや戦法はAあるいはBという主軸の常識観の中、突如Cという見解を示すことで人をあっと言わせます。基本的に主張にどれだけ裏付けがあるかではなく、考え方として示しているので人々は「あぁ、なるほど」と思うのです。

nathaphat/iStock

この「なるほど」は一般には前向きなスタイルですが、逆流すると「屁理屈」「揚げ足取り」に変わります。表裏一体。そんなことは世の中の当たり前なのですが、それを敢えて今言うのか、そして「終わったな」というマスコミの大好きな「切り捨て表現」で過激度を醸し出し、目立つことだけにご執心する低次元、低品質の記事がどれだけ世の中にあふれていることでしょうか?

国会の話題であった細田衆議院議長に噛みつく野党という構図もおかしいです。が、国会審議の中でそれはごく一幕で極端な話、コマーシャル程度ですが、マスコミはそのごく一部の主題ではない議論だけを取り上げるのでまるで国会が旧統一教会問題追及だけを行っているように見えてしまうのです。これはマスコミのクオリティを論じる前にそもそもの切り取り報道と全体のバランスを見えなくさせるステルス報道であって報道する側の一方的意図の主張に過ぎません。

私はカナダではCBCニュースを主体に読みますが、いわゆるゴシップネタなどはまず出てきません。そんなものがアップロードされればバッシングされるのが関の山だからです。当然、記事の面白みは欠けますが、真の報道にはより近いものを感じさせます。また記事が長いのが特徴。この私でも朝の忙しい時間に1万字もあるような記事は読み切れませんので初めの数節だけとか、節の一文目だけを読む速読方法を取り入れています。それでも記事が長いのは誤解を招かないためにしっかり書くことと記者のプロフェッショナリズムだと思っています。

当然、それらと比較すると日本のマスコミ報道の質は落ちます。そして一定方向に誘導したいことが手に取るようにわかります。「世論調査の結果、政権を支持する人は50%でした」がニュートラル、それに対して「政権を支持する人が50%に留まりました」あるいは「政権を支持しない人が45%もいました」というのは明らかに政権はダメだという印象付けをします。特にこの傾向が強いのがテレビのニュース報道で某テレビ局の報道の色付けはもう無茶苦茶で聞いているだけで洗脳されてしまいます。(ニュースバラエティではなくて通常のニュースアナウンサーのしゃべり方です。)

ではそれでもそのような報道が改善しないのは何故なのでしょうか?それは聞き手が色を期待しているからではないでしょうか?古いですが、みのもんたさんが昼のバラエティで健康に良い野菜の話をするとスーパーからその食材が消え、夜のおかずになっているという話があります。「みのもんた教」と揶揄されるこの現象はファン層の「へぇ」「そうなのねー」「知らなかったわ」を取り込むのが上手だからでしょう。「ひるおび」の恵俊彰さんは第二のみのさんをまっしぐらです。当然、ひろゆき氏の発する色にもなんだかんだ言いながら興味があって皆さんが聞き入ってしまうわけです。

これが意味するものは「考える国民が少ない」とも言えます。「だから結論は?」と結果だけをみる傾向が強いのもその特徴です。「答えは教えてもらうこと」であり「自分で調べる、考える」なんてしないわけです。

情報過多の時代と言っておきながら実際には多くの人がもつであろうその情報には奇妙な色がついていたり、情報内容が不備だったりします。その為にもクオリティペーパーが必要であり、溢れる「お目汚し」のタブロイド系のニュースをいかに減らすか、そして見ないようにすることが重要でしょう。

現代社会は忙しいから「まとめ記事」は重要という主張は分かります。が、本当に忙しいのかといえば案外、「忙しい振り」「忙しい気になっている」人も多いのではないかと思います。師走にあわただしいというのと同じです。忙しいと言いながらこたつに入ってみかん食べていませんか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年10月14日の記事より転載させていただきました。

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