世の中で売られているグミには果物やジュースなど、甘い味が多い。
ある日、ふと疑問に思った。おかずっぽい味……例えば出汁味のグミが無いのはどうしてなんだろう? 旨みの塊で作るグミ、美味しそうだけどなぁ。
ひょっとしてグミ界のブルーオーシャンを見つけてしまったんじゃないだろうか。さっそく作って食べてみよう。美味しかったら製菓メーカーへ売り込んじゃってもいいかも~~!?!?
・顆粒出汁でグミを作ります
今回使ったのはこちらの6点の顆粒(かりゅう)出汁。左上から順番にコンソメ、ほんだし(こんぶ)、ほんだし(かつお)、帆立干し貝柱、鶏がら、ダシダ。
グミはゼラチンを使えば簡単に作れる。
100mlの水を電子レンジで温め、ゼラチン5gと出汁を適量混ぜて、
型に流し込んで冷蔵庫で冷やすだけ。
10分ほど待てば、あっという間に出汁グミの出来上がりだぁ~~~~!!
市販のグミよりも溶けやすく、トロッとした食感が特徴。
今回は出汁グミを作るので顆粒出汁をお湯で溶かしたが、甘いグミを作る場合は市販のジュースをそのまま温めて使ってもOKだ。
・かつお出汁のグミ
さっそく出来上がったグミをテイスティングしていこう。トップバッターは『ほんだし かつお』
もはや日本の味と言っても良いほどにスタンダードな商品のひとつ。筆者自身も普段から愛用し、これまで数えきれないほどたくさん食してきた。
口に近づけるとめんつゆの香りが漂う。躊躇なく口に入れたところ……
濃いカツオの味と香りが駆け抜ける。
プルプル食感の出汁としか言いようがない……いやもちろん美味しい。美味しいですよ。だってかつお出汁はふるさとの味だもの。
ただトロッとした舌触りと相性が悪く、絶妙に気持ち悪い。まるでお吸い物にトロみが付いているみたいな、胸がムカムカするような違和感がある。
商品化したら珍しさでヒットする可能性もゼロではないが、一度食べれば十分。今後も食べ続けようとは思わないだろう。
・こんぶ出汁のグミ
『ほんだし こんぶ味』はかつおと同じく日本料理の基本の味だ。過去に梅昆布茶味のグミを見たことがあったため、こんぶだけでもイケるんじゃないかと期待して選んでみた。
匂いは薄いが、若干海っぽい生臭さがある。
一口食べてみると、悪くはないのだが……なんていうか、微妙。
超絶に不味いってことはないんだけど、好んで食べたい味ではない。こんぶって地味な味なんだな。
考えてみれば、そもそもこんぶ自体が縁の下の力持ち的な隠れキャラ。商品として世に出すならやはり梅のようなパンチのある食材とセットにして売り出した方が良いってことなのだ。
・ダシダ味のグミ
『ダシダ』は韓国の人気調味料。牛骨エキスに玉ねぎ、ニンニクなどの野菜と薬味が配合されている。
食べる前から一番匂いが強かったのがダシダグミ。ビーフコンソメスープ的な食欲をそそる香りが、軽く触っただけで指に移るほど強烈に漂っている。
一口かじると、一瞬のうちにニンニク味がブワッと広がった。
噛んでいくうちに肉や野菜、香辛料などが使われていることが伝わってきて、グミながらも複雑な味わいを楽しめる。今回の6つの中では最も主張が強い味だ!
ダシダはあわせ出汁のようなもの。ひとつでスープが完成するよう作られているため他の出汁から見るとチートだったかもしれない。グミの食感やトロみとも違和感がなく、美味しく食べることができた。
ひとつ気になったのがニンニクの強さ! あまりにも強烈でこの後の試食に影響を与えてしまった。
・コンソメ味のグミ
『コンソメ』は言わずと知れた洋風スープの基本の出汁。どんな食材ともマッチして使い勝手がよく、どの家庭にもある調味料のひとつであろう。
弱いな……。
グミになってもチキンのエキスと旨み成分が感じられる味であるのは間違いない。しかし先ほどのダシダがあまりにも強烈だったせいか。なんともパンチに欠け、何かが足りないような気がしてしまうのだ。
順番が悪かったと言えばそれまでなのだが、そもそもグミと言うよりも煮凝りを食べているような気分になってしまう。
お菓子として食べるには幸福感が足りないんだよな。
・鶏がら味のグミ
『鶏がらスープ』は中華料理の基本の出汁。卵やワカメでスープを作る時は間違いないし、チャーハンや麻婆豆腐にも活躍してくれるマルチプレイヤーだ。
そのためかなり期待して口に入れたのだが……
まっっずい!!!!
乳白色な色とトロミのある食感に引きずられてしまっているのだろうか。卵の白身、または鶏皮のブヨブヨした部分を味付けナシで食べているように感じてしまった。
これはまったく美味しくない。食べ進めるうちに生臭く感じてきたし、できれば二度と食べたくない味だ。
・帆立干し貝柱味のグミ
最後は『帆立干し貝柱』を食べてみよう。高級中華っぽい味になるのではと期待しているのだが……
鼻に近づけるとまさしく干しホタテそのものの香りが漂った。
口に入れた時の塩味はまろやかで美味しい。しかし、後味にやって来たホタテの香りへの違和感は否定できない。
考えてみれば当たり前だ。貝類の味でゼラチン質な食感というのはまずあり得ないこと。自分の中の本能が「腐ってるんじゃないか」なんてザワつくのだ。
味としては決して悪くないハズなのに、心の端っこに引っかかる「コレじゃない」感が拭えないといったところだろうか。
・優勝はダシダ
ということで、ナンバーワン出汁グミはダシダ!
決め手は肉と野菜のあわせ出汁&薬味。複雑 かつパンチが効いた味わいになり、気持ち悪さを感じにくかったところはポイントが高かった。スイーツではなく、おつまみやスナック菓子のような塩味系のグミとしての可能性が見えたような気がする。
しかしながら、今回実験してわかったのは出汁味のグミは基本的に美味しくないということ。試食中に何杯水を飲んだかわからないほどだ。
食べられる味に調整するにはエベレストを登るほどの苦労がありそうだし、たとえ商品化に漕ぎつけたとしても売れる予感がほとんどしない。
どの製菓メーカーも作っていないということは、美味しくないってこと。ブルーオーシャンなんてそうそう見つからないんだなぁ。
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.