光るキノコというものがある。その名の通り夜になると微かにそのキノコは光を放つ。日本では10種類ほどの光るキノコが発見されており、東京都の八丈島では7種類を見ることができる。
1日の平均気温が20度を超える6月から10月が特に光るキノコのアツい時期となる。しかし条件が整えば1年中見ることもできる。ぜひそんなキノコを見てみたいと思い、八丈島で光るキノコを探すことにした。
キノコは光る
スーパーに行けば様々なキノコが並んでいる。しいたけ、シメジ、なめ茸など挙げればきりがない。しかし、多くのキノコは残念ながらというか、当然と言えばいいのか、光るということはない。キノコは普通光らないのだ。
しかし、世界は広い。とても広い。キノコが光ってもいいじゃない。世界を見ても光るキノコは確かに存在し、日本にも光るキノコは生えている。特に有名なのが八丈島ではないだろうか。私がもらったパンフレットには八丈島には7種類の光るキノコがあると書いてあった。
八丈島は光るキノコの一大産地なのだ。昔は光るキノコは八丈島にしかないんじゃないの、くらいに勢いだった。今は別の地域でも発見されている。ただ島内のビジターセンターに行けば光るキノコが展示してあるなど、確実に見ることができる。
夜空には星が光る
天然の光るキノコを見たい、と地元の方にお話したら、星も光っているから、ということでまずは星の光りを見に行くことになった。私は大きいものと光るものが好きなのだ。なんだか神々しいじゃない。
この記事の問題点は、ここからほぼ暗い写真が続くことだ。何が起きているか、写真が暗くてわからない。自分でも今となっては何をしている写真なのかわからないくらい暗い。ただ街の光りも届かないようなところでこそ、光るものは映えるのだ。
どこに誰がいるのか分からないほど暗い。たまにカメラの液晶が光り、そこにいるのか、と驚くレベル。目が慣れれば見えるのだけれど、カメラをいじりながらなので、せっかく慣れてもすぐにカメラの光りでリセットされる。その結果、ずっと暗かった。
星を撮るという意味では申し分なかった。もちろん肉眼でも美しく、くっきりはっきり見えるのだけれど、写真でもその美しさは伝わっていると思う。星って綺麗なんですな、と心から思う。星に願いを伝えたくなるような感じだ。
ホタルの光りを見る
光るものが好きならホタルもいると教えてもらった。というか、星を撮っていたら普通に飛んでいた。もともと八丈島にはホタルはいなかったけれど、大正時代に神奈川から持ち込まれ、それが命を繋ぎ、今も季節になると飛び回っている。
暗い中を飛び回っているので、私の腕では上手に撮ることが難しい。しかし、間違いなくホタルは光っている。空で星が光り、川でホタルが光りと光ってばかりで実に忙しい。しかし、人工的な光りではないので心地よくはある。
運命なのかもしれない、肩にホタルが止まった。厳密には一緒に行っていた人の肩に止まったので、たとえ運命だとしても私の運命ではない。どちらにしろホタルを見ることができたわけだ。赤と黒のコントラストが美しい。
感想として暗いがまず一番。周りにも同じように写真を撮りに来ている人がいるので、みんな明かりをつけると写真が上手に撮れないのを知っているので、気を使い明かりをつけない。結果、真っ暗。そのおかげでホタルの光りがより美しく感じられた。
光るキノコを探す
ここからさらに地元の方が合流して光るキノコを探しに行く。観光客はまず行かない山道を走る。その方は言う。「最近雨が降っていないから難しいかもしれない」と。雨が降った次の日辺りが光るキノコは熱いそうだ。
私が八丈島に行った時はしばらく雨が降っていない状態だった。だから厳しいかもしれないという話だ。実際にその方は光るキノコポイントをたくさん知っているのだけれど、連れて行ってくれたけれど、「ない」という結果だった。条件が大切なのだ。
落ち葉の裏に光るキノコの菌糸があるかもしれない、とのことだった。それも光る。ただなかった。綺麗になかった。雲ひとつない青空を思い浮かべて欲しい。気持ちがいいと思う。それと同じ。気持ちがいいほどないのだ。光っていないのだ。
1時間、2時間と暗闇の中で時間は過ぎていく。光るキノコがないのだ。あきらめてもいい時間だけれど、せっかく八丈島に来たのだ。5月中旬から10月下旬の梅雨から秋雨の時期が熱いのだ。私が訪れたのはその時期。というか、狙ってやってきた。見たいのだ。
感動の光るキノコ
車を止めてどこかの山に入っていく。場所をぼかすためにどこかの山と書いているわけではない。暗くてここがどこなのか、私には分からないのだ。ただ先を歩いている地元の方が言葉を放つ。「光ってる」と。あったのだ、キノコが光りを放っているのだ。
光っているのがわかるだろうか。緑色に発光している。とても小さな光りだ。詳しい方と一緒でなければ見落としていただろう。これは「ギンガダケ」という名前の光るキノコ。スダジイの古木の樹皮に発生する。
これがスダジイの木いっぱいに発生して木全体が光ることもあるけれど、今回はこの1つだけだった。見ることができただけでも運がいい。初めて天然の光るキノコを見たのだ。天然でこのような光りを放つものを見たことがなかったので、極控えめに言って感動した。
他にも、ヤコウタケ、エナシラッシタケ、シイノトモシビダケ、スズメタケ、アミヒカリタケ、アリノトモシビタケが八丈島のどこかで光っている。どれも名前が素晴らしい。ビジターセンターのものは「ヤコウタケ」だ。
頭では理解していたし、写真も見たことがあった。実際に見ると暗く光りが一切ない山の中で光るキノコは想像したより幻想的だった。しかも、かなり苦労しての光るキノコだったので、通常の光るキノコの5倍(当社比)の感動があった。嬉しいのだ。光ってくれてありがとう。
今日も光るよ八丈で
八丈島では全てが光っていた。ピカピカに光っていた。夜空で星が光り、河川でホタルが光り、山でキノコが光る。どでも美しく、街の光のないところでの唯一の光りと言える。それは私に安心や幻想を与える。どんどん光って行こうと思う。今年辺りいよいよ私も光りたい。ちなみに当サイトでも以前八丈島の光るキノコの記事がある。光りたいのだ、たぶん、みんな、きっと。