見た目があまりにも衝撃的なイギリスの伝統料理「うなぎのゼリー寄せ」を現地で実際に食べてきたよレポート

GIGAZINE
2022年07月30日 12時00分
試食



紅茶や音楽、ミュージカルといった豊かな文化を持つイギリスですが、イギリス料理は比較的シンプルで素朴なものが多いことから、「イギリス料理はまずい」といわれがち。特に「ぶつ切りにしたウナギを煮込んで冷やしてゼリー状に固めたもの」というウナギのゼリー寄せは、同じくウナギを愛する日本人からも衝撃的なイギリス料理の代表格として名前がよく挙がります。そんなウナギのゼリー寄せとは一体どんな味なのかを身をもって知るべく、イギリス・ロンドンで実際に注文して食べてみました。

ウナギのゼリー寄せはロンドン東部のイーストエンドの名物として知られます。今回は、ロンドン東部のショーディッチにある料理店「Poppie’s Fish and Chips」でウナギのゼリー寄せが食べられるという情報を得たので行ってみました。住所は「30 Hawley Cres, London NW1 8NP」です。

Poppie’s Fish and Chipsに到着。


店内に入ってすぐにあるメニュー表に「JELLIED EELS(ウナギのゼリー寄せ)」の名前を発見。確かにこのお店でウナギのゼリー寄せを食べられるようです。


店内の壁には戦闘機や消防車の模型やさまざまなパネルが貼られています。この店は1952年創業で、ポップことパット・ニューランド氏が11歳の時に始めたフィッシュ&チップスの屋台からスタートしたとのこと。店内に飾ってあるのはニューランド氏が子どもの頃から集めているおもちゃだそうです。


歴史を感じる写真も飾られていました。


店のロゴが大きく描かれたガラス窓の向こうで、料理人が調理をしています。


飲み物はビールやエールではなく、スパークリングウォーターを注文。HILDONはイギリスの有名な水ブランドで、グラスにはレモンのスライスが入っていました。


そして、テーブルに運ばれてきたウナギのゼリー寄せがコレ。価格は6.95ポンド(約1140円)です。


「ぶつ切りにされた大量のウナギがそのまま煮こごりの中に入っている」という、あまりにも名前通りの見た目。彩りや装飾などなく、正直に言っておいしそうと感じられるビジュアルではないことは確かです。同席していた人も「これはちょっとグロテスクかも……」と、やや引き気味のコメント。なお、ゼリー寄せに使われているウナギはヨーロッパウナギです。


さらにカットされたレモンが1切れと……


マーガリンが塗られた一切れのパンが添えられていました。


まずは何もかけずにそのまま食べてみます。見た目は本当にウナギをそのまま輪切りにしただけ。食べてみると、ぶつ切りになっているだけなので背骨を含めて骨がそのまま残っていますが、ウナギの身がするりと骨から外れるほどかなりやわらかく煮込まれていて、ふわっとした食感です。ただし、味らしい味はほとんどなく、非常に淡泊です。ゼリー部分は常温で、ゼラチンで固めただけなのでかなりやわらかめで、少しとろっとしています。ゼリーはよく味わうと魚で取ったダシのような味があり、さらに薄く塩味がつけられているのがわかります。そして、ほんのわずかではありますが、魚の生臭さがゼリーに残っており、魚屋で嗅いだことのあるような香りが口の中にうっすらと残りました。ただ、決してまずいというわけではなく、わずかな生臭さはあるものの、シンプルに「めちゃくちゃ味が薄い」という感じで、おいしい・まずいの評価をするまでに至らないというのが正直なところ。


添えられていたレモンを絞って食べてみると、何もかけずに食べた時に感じられた魚特有の生臭さが消えたのを感じました。魚のダシのような味と薄い塩味に、レモンの酸味が加わります。今回は炭酸水と共に食べましたが、日本酒や少し強めの酒ならば合いそうな印象を受けました。一緒に食べた人からは「居酒屋の珍味メニューでこういう珍味はありそう、あったら頼んでしまうかも」という感想も得られました。


それでも料理にビジュアルは大事だと痛感しました。ウナギのゼリー寄せはぶつ切りにしたウナギがそのまま煮込まれているだけなので、しっかりと調理された料理を食べているというよりも、「サバの水煮缶をそのまま食べている」といった感覚に近いと感じました。


次に、モルトビネガーをかけて食べてみます。Poppie’s Fish and Chipsのモルトビネガーには唐辛子が漬け込まれていました。


モルトビネガーを1~2振りして食べてみると、レモンと同じように酸味によって生臭さがキレイに消えたように感じました。また、ビネガーの風味がシンプル過ぎるゼリーにぴったりで、ビネガーの独特の香りと酸味が加わることで、少し異国情緒のある味わいになりました。ただし、かなりの薄味ということもあり、やはり満足感は得られないというのが正直なところ。


マーガリンを塗ったパンに載せて食べてみました。パンはかなりもそもそした食感で、ぷるぷるしたゼリーとの相性は微妙だと思いました。ただし、マーガリンの塩味で少し味付けが濃くなり、やはり生臭さも消えるので、食べ方としてはアリかも。実際に食べてみると、ウナギのゼリー寄せは決して「まずい」というわけではなく、身もふわふわで食べやすく、ただめちゃくちゃ薄味であるというだけのイメージ。確かに生臭さはありますが決してマイナス要素ではなく、お酒などに合わせる珍味であればアリといったところ。ただし、絶妙な薄味とわずかな生臭さ、そして何より衝撃的すぎる見た目はかなり人を選ぶものであることは間違いありません。


ついでに、Poppie’s Fish and Chips創業以来の名物メニューであり、イギリス料理の代表格としても名前がよく挙がるフィッシュ&チップスを食べてみました。フライに使われる白身には「Cod」「Haddock」などの数種類があります。現地在住の人に話を聞いたところ、日本だとあんこの好みで「つぶあん派」「こしあん派」と派閥が分かれるように、イギリス人にもフライの中身について「Cod派」「Haddock派」「Halibut派」などの派閥があるとのこと。いずれも魚の種類や部位の違いで、弾力や風味が違うそうです。


というわけで、Codでフィッシュ&チップスのレギュラーサイズを注文してみました。価格は13.95ポンド(約2280円)です。


とにかく驚いたのはその大きさ。日本のイングリッシュパブなどでフィッシュ&チップスを頼んだことがありましたが、ここまで大きいフライは見たことがなかったので、びっくり。


フライは長辺131.5mmのiPhone 12 miniとほぼ同じサイズ。


Poppie’s Fish and Chipsの名前が入った瓶には、タルタルソースが入っていました。


食べてみると、衣は揚げたてサクサクで、生臭さは一切ありません。身はまったく固くなっておらず、めちゃくちゃフワフワかつジューシーで、噛んでいくと口の中で身がほどけていく感じ。


そして、ポテトもからっと揚がっていて、塩味が効いています。揚げ物ですが、脂っこかったりベタベタしたりすることはなく、表面のサクサク感と中のポテトのホクホク感を十分に楽しむことができました。


そして、これは同席した人が頼んだHaddockのフィッシュ&チップス。「Codの方が身がしまっており、Haddockの方はより身がやわらかい」とのことで食べ比べてみました。あまり大きな差は感じられませんでしたが、しいていえばHaddockの方がやや身がジューシーな印象を受けました。


なお、最後に店から「口直しにどうぞ」ともらった飴はアニスのキャンディで、かなり独特な風味があり、香草やハーブの匂いが苦手という人にはおすすめしづらい味でした。


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