【南国の魚】スーパーで『オジサン』を買って捌いてみた / 刺身で食べた感想は「名前に似合わず優等生」

ロケットニュース24

いつものお気に入りスーパーを巡回していたところ、驚くべきことに “オジサン” が売られていた。しかも税込540円。超安い。

えっ、オジサンが買えるの? それって合法なの!?!? ……2度見してよく確認したところ、売られていたのは赤色の魚。なんてことはない。オジサンとは魚の名称だったのである。

それにしてもどんな味がするのだろうか? イケオジなのかチョイ悪なのか、はたまた脂ギッシュや枯れ路線って可能性もある。未知なるオジサンの味を確かめるべく、いざ、捌かん!!!!

・ヒゲが特徴の魚です

こちらが『オジサン』。まるで熱帯魚のように真っ赤で派手な体、しっぽや背中の黒い模様、そしてクリッとした目を持つひょうきんな顔がチャーミングだ。

第一印象から外れることなく、沖縄など暖かい地域ではよく釣れる魚とのこと。南国では魚も鳥も爬虫類もカラフルなものが多く、進化の奇跡や神秘を感じるなぁ。


なによりも特徴的なのが、名前の由来でもある下あごに生えた2本のヒゲ! って……

あれれ????


おかしいなぁ。

このオジサン、ヒゲが生えてないんですけど……。


売り場で撮影した個体には確認できたので、どうやら筆者が購入したのはヒゲが千切れたハズレだったようだ。

オジサンはヒゲを使って魚や甲殻類を探して捕獲しているそうで、雄雌関係なくすべてにヒゲが生えている。

もちろんメスであっても名称は『オジサン』。我々人間が勝手にこんな名前をつけたばかりに ややこしい呼び名になってしまったな。メスのオジサンには人類を代表して謝りたい。


・オジサンを捌いてみた

それではさっそくオジサンを三枚おろしにしていこう! 形としては至って普通の魚なので、なにも特別な技術は必要ない。

①ウロコを剥がす


ウロコは親指の爪ほどの大きめサイズで柔らかめ。人魚が現実に存在するならば、きっとこんなウロコが生えているのだろう。


②頭と内臓を取り除いて水洗いをする

内臓に臭みがあるそうなので、誤って破かないように注意だ。


③背骨や腹骨を包丁で取り除き、中骨を抜く


④皮を引く(剥がす)のだが……ここでひとつ問題が起きた。

オジサンの皮はゆるっとしていて柔らかく、筆者の技術では途中で千切れてうまく引けなかったのだ。


ということで、今回は皮をバーナーで炙らせてもらった。

これを一口サイズに切りわければ、オジサンの刺身が完成だ!


・旨みが詰まった白身魚

皿に並べるとピンクがかった皮と白身のコントラストが美しい。捌く前のビカビカとした色がウソのよう。まるで水彩画のような淡い色使いになった。


醤油につけても脂はほとんど浮かず、意外にもアッサリした印象だ。

甘みと旨みが強く癖がなくて食べやすいな。ネッチリした食感で、簡単に噛み切れるぐらいの柔らかさ。かなり美味しい部類と言って良いだろう。

火を通せばバターやオリーブオイルとの相性も良さそうだし、骨からは良い出汁が取れるという。名前に似合わず何にでも合わせやすい優等生なのであった。

1匹540円と筆者が購入した店では中級ぐらいの価格であり、美味しさを考えるとお買い得だ。次回見かけた時はムニエルやフライに挑戦してみようと考えている。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

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