【やじうまPC Watch】マウスを物理的に動かす「エイムボット」が開発される

PC Watch

Kamal Carter氏が開発した物理エイムボットのGrid Shotスコア

 FPSタイトルで問題になる不正行為の1つに「エイムボットの使用」がある。これは自動照準を行なうソフトウェアを用いて、人間にはありえない速度でエイミングを行ない、攻撃を100%命中させるもので、多くのゲームタイトルで処罰の対象となっている。エイムボットは通常、対象となるタイトルに合わせて動作するソフトウェアの形で流布されるが、これを実際にマウスを動かすロボットとして実現した人がいる。

 カーネギーメロン大学で機械工学およびロボット工学を専攻しているKamal Carter氏が4月に公開した動画には、マウスがぴったり入る形の穴が開いた樹脂製の板に4つのオムニホイールを取り付けたロボットが、マウスを任意の方向に動かす様子が映されている。

 このロボットを制御するプログラムは、マシンビジョンによって画面上のターゲットを認識し、できるだけ正確に、すばやく撃ち抜くことに特化している。ターゲットはエイム練習アプリ「Aim Lab」の「Grid Shot」上に表示される球体であり、Carter氏はこれを背景から分離し、球体だけをターゲットとして認識するよう学習させた。画面の中心(照準を合わせたところ)に球体がある場合はクリックのトリガーを動作させる。制御用プログラムはターゲットに照準を合わせて撃ち抜いた後、最も近い次のターゲットがどこにあるかを認識し、再度照準を合わせる動作を繰り返すようになっており、これをもってGrid Shotをプレイさせる仕組み。

 スコアを向上させるために最も時間がかかった部分はロボットの反応と動作速度の調整であるとしており、ロボットが十分に速く動作するまで、数日間に渡って数値の調整を行なったという。

 Grid Shotのスコアは、Carter氏自身がプレイした場合に4万前後、FPSタイトル「Valorant」のプロ選手で8万~9万半ば、最高レベルのプレーヤーが13万8,944となっており、Carter氏のエイムボットは最終的に11万8,494を達成した。

 このスコアは途中でオムニホイールの1つが故障した状態でのハイスコアであるため、より高いスコアを達成できる余地がある。ともあれ、Carter氏は今回の「ロボットと人類の戦い」について、「今回は人類の勝利」とコメントして実験を締めくくった。

4つのオムニホイールによって全方向に移動できる

制御プログラムのターゲット認識にはオープンソースのマシンビジョンライブラリを利用している

近くのターゲットを認識して再度照準を合わせる

エイムボットが実際に動作しているところ

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