ファーウェイ・ジャパン株式会社は3月8日、WQXGA表示12.6型OLED搭載の2in1「MateBook E」を国内発表、18日より販売を開始した。大きく分けてCore i3とi5の2モデルがあり、編集部から後者が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
12.6型OLED、11世代Core i5、8GB/256GBの2in1
今回ご紹介するMateBook Eは、ペンにも対応するキーボード着脱式の12.6型2in1だ。搭載するプロセッサは第11世代Tiger Lakeのi3もしくはi5。ここまでであれば割と一般的だが、12.6型のパネルがWQXGA表示(2,560×1,600ドット)のOLEDなのが特徴だ。
スマホやAndroid搭載タブレットではミドルレンジ以上は既にOLEDになっているものの(一部ローエンドも)、PCの世界ではまだまだ少数派。従ってこれが最大の特徴となる。OLEDの魅力は何と言っても黒の締まりが良く色域が広いこと。ぱっと見で普通の液晶パネルと見分けがつくほどだ。
先に書いたようにCore i3とi5搭載モデルがある中、手元に届いたのは後者の8GB/256GB。主な仕様は以下の通り。
Huawei「MateBook E」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-1130G7(4コア8スレッド/0.8(1.8)~4.0GHz/キャッシュ 8MB/cTDP-down 7W/up 15W) |
メモリ | 8GBまたは16GB/LPDDR4x |
ストレージ | NVMe SSD 128GB/256GB/512GB |
OS | Windows 11 Home(64bit) |
ディスプレイ | 12.6型OLED 2,560×1,600ドット(16:10)、光沢、輝度最大600cd/平方m |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics、Type-C |
ネットワーク | Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | Thunderbolt 4×1、800万画素前面/1,300万画素背面Webカメラ、4スピーカー/4マイク、音声入出力 |
バッテリ | 42Wh |
サイズ/重量(タブレット時) | 306×215×146mm(幅×奥行き×高さ)、重量709g |
その他 | HUAWEI Smart Magnetic Keyboard(Core i5モデルのみ日本語配列付属)。オプションでペン対応 |
税込価格 | 12万4,800円(Core i5/8GB/256GB)※Amazon調べ |
プロセッサは11世代Tiger LakeのCore i5-1130G7。4コア8スレッドでクロックは0.8GHz(cTDP-down)/1.8GHz(cTDP-up)から最大4GHz。キャッシュは8MB、cTDPはdown 7W、up 15W。なお下位モデルとしてCore i3-1110G4も用意されている。
メモリはLPDDR4xの8GBもしくは16GB。ストレージはNVMe SSDの128GB/256GB/512GB。今回届いたのは8GB/256GBだった。OSはWindows 11 Home。21H2だったので、その範囲でWindows Updateを適応し評価した。またプロセッサなどの組み合わせによって、Windows 11 Sもあるようだ。
ディスプレイは12.6型OLED。2,560×1,600ドット(16:10)、光沢、輝度最大600cd/平方m。結構高解像度のOLEDとなる。またタブレットにしてもノートPCにしても16:9だと縦が狭いので16:10なのはありがたい。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel Iris Xe Graphics。外部出力用にThunderbolt 4が利用可能だ。オプションでペンにも対応する。
ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1。そのほかのインターフェイスはThunderbolt 4×1、800万画素前面/1,300万画素背面Webカメラ、4スピーカー/4マイク、音声入出力。つまり周辺機への接続はThunderbolt 4の1つとなる。ここは充電も兼ねるので、USBメモリ1つ挿すにしてもHubなどが必要となり少々面倒。
タブレット時のサイズは306×215×146mm(幅×奥行き×高さ)、重量709g。42Whのバッテリを内蔵する。
価格であるが、少しややこしいのは、Core i3モデルはHUAWEI Smart Magnetic Keyboardが付属せず、8GB/128GBで7万6,800円(キーボードセットだと9万2,727円)。Core i5/8GB/256GBモデルは付属して12万4,800円となる(どちらもAmazon調べ)。Core i5はノートPC的な2in1となるが、タブレット的な使い方がメインなら、Core i3/キーボードなしでこの価格ならありではないだろうか。
筐体はメタリックな濃いグレーでなかなかカッコいい。本体のみだと実測で716g。iPad Pro 12.9だと682gなので、それより少し重いが、12型クラスなら700g前後といった感じだろう。キーボードを付けると計1,152g。1kgを少し超えるが、スペックを考慮するとそれでも軽い方ではないだろうか。
前面はパネル中央上にWebカメラ。画面占有率90%ということもあり縁は狭めだ。上側面に音量±ボタン、左側面に電源ボタンと3.5mmジャック。右側面はType-Cのみ。下側面にキーボード用の接点がある。付属のACアダプタは、サイズ約6×6×2.8cm、重量151g、出力5V/2A、9V/2A、12V/2A、15V/3A、20V/3.25Aの65W。PDなので同じ65Wタイプであれば充電できる。
12.9型のディスプレイは、16:10のアスペクト比は縦でも横でも使い勝手がよい。黒の締まりがよく、加えて、発色、コントラスト、明るさ、視野角も文句なし。さすがOLED。掲載した写真からも色が良いのがわかるのではないだろうか。
同社によると、テュフラインランドのフルケアディスプレイ2.0認証を取得。低ブルーライトのみならず、画素密度や輝度、色の均一性、環境光の反射など、10以上の試験をクリアしたとのこと。
i1 Display Proを使い特性を測定したところ、最大輝度は319cd/平方m。写真を見るのに適していると言われる明るさ120cd/平方mは、最大から-3が156cd/m2、-4が117cd/m2。従って前者で計測。黒色輝度はOLEDなので0.000cd/m2と真っ黒。ただリニアリティは割と乱れており、加えて補正前は結構青かった。
HUAWEI Smart Magnetic Keyboardは、キーボード面が傾くような仕掛けはなく、机などにベタ置きとなる。打鍵感はこのタイプにありがちなポコポコする感じもなく、ストロークは浅過ぎず深過ぎず(仕様上1.3mm)、個人的には好みだ。キーピッチは[Enter]キーの周囲のみ若干狭くなるものの、主要キーは約18mm。ただし今回届いたのはUS配列なので、日本語配列だとまた違う可能性がある。
カメラは、前面/背面共、タブレットの割にはいい方だ。ありがちな薄っぺらい色でとりあえず写ってます的なものでなく、しっかり色が乗っている。前面カメラを使ったWeb会議はもちろんだが、背面カメラも使えるシーンがあるだろう。ただHUAWEI Smart Magnetic Keyboardを装着し閉じた場合は、背面カメラは覆われてしまうので使用できなくなる。
発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると本体の上半分に熱を持つ。結構暖かくなるので手持ちだと気になるレベルだ。サウンドはパワー十分でピラミッドバランス、タブレット(ノートPCでも)としては驚くほど音が良い。
本体は総じてWindows 11搭載タブレットとして完成度が高く、加えてディスプレイがOLEDというのが最大の魅力となる。ただし、キーボード装着時は、一般的な2in1と変わりなく、もう一工夫欲しいところか。
11世代Tiger LakeのCore i5としてはビジネス用にチューンか!?
初期起動時、壁紙の変更のみとシンプル。動作は、OSのブートや、アプリ起動など、Core i5/8GB/SSDなので、爆速ではないものの、遅いわけでもなく、この程度は普通に欲しいよね……的な感じだ。
ストレージはNVMe SSDの256GB「SAMSUNG MZVLB256HBHQ」。ここによると、シーケンシャルリード3,500MB/s、シーケンシャルライト2,200MB/s。CrystalDiskMarkの値もほぼそのまま出ている。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションで前者128GB、後者98.76GBが割り当てられ、それぞれ76.1GBと全て空き。容量256GB程度であれば1パーティションの方が使いやすい。
Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX201、BluetoothもIntel。カメラにIntel TGL AVStream Cameraが使われている。
主なプリインストール済のソフトウェアは、「HMS Core Settings」、「HUAWEI Control Panel」、「Huawei PC Manager」、「Link Now」、「Huawei-Histen」など、主にシステムツール系となる。
HMS Core(Huawei Mobile Services)は、Android用(GMSの替わり)と思っていたが、HUAWEI ID、決済、通知などの基本サービスを提供し、その上で動く各種アプリなども連動するため、Windows環境下でも対応するようだ(ここに“適用製品:PC,Tablet,HD,Smartphone”とある)。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。
同じプロセッサを搭載した2in1、NEC「VersaPro タイプVS<VS-9>」のスコアと比較すると、PCMark 8/10はよく似ているものの、3DMarkとCinebench R23は結構落ちている。同社の説明によれば、本機は放熱機構に極薄/高密度の「Shark Fin Fan」を採用、静音性と風量を確保、高性能を維持したとあるが、用途的にゲーム系より、ビジネス系にチューンしたのかもしれない。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeの計測では、バッテリ駆動時間は5時間35分(明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)だった。これも結構短い(先のVersaPro タイプVS<VS-9>だと9時間22分/本体約773g)。恐らく、輝度を落としたり、電源系の設定を変えればもう少し持つと思うが、せめて8時間は行って欲しいところ。
PCMark 10 v2.1.2548 | |
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PCMark 10 Score | 3,830 |
Essentials | 8,491 |
App Start-up Score | 11,476 |
Video Conferencing Score | 7,599 |
Web Browsing Score | 7,022 |
Productivity | 5,575 |
Spreadsheets Score | 4,873 |
Writing Score | 6,380 |
Digital Content Creation | 3,221 |
Photo Editing Score | 5,359 |
Rendering and Visualization Score | 1,875 |
Video Editting Score | 3,328 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,064 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,637 |
Work Accelarated 2.0 | 2,468 |
Storage | 5,070 |
3DMark v2.22.7336 | |
Time Spy | 731 |
Fire Strike Ultra | 547 |
Fire Strike Extreme | 1,018 |
Fire Strike | 1,931 |
Sky Diver | 6,113 |
Cloud Gate | 8,227 |
Ice Storm Extreme | 43,752 |
Ice Storm | 50,454 |
Cinebench R23 | |
CPU | 1,977 pts(12位) |
CPU(Single Core) | 807 pts(9位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 3,546.784 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 2,351.448 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 586.563 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 631.074 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 538.779 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 418.538 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 52.077 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 217.002 MB/s |
以上のようにHuawei「MateBook E」は、WQXGA表示12.6型OLED、第11世代Core i3/i5を搭載した2in1だ。何と言ってもOLEDとサウンドが抜群! また一般的なタブレットと比較してカメラ性能が良いのも魅力的だ。オプションであるがペンにも対応している。
タブレット的用途であればキーボードがなく比較的安価なi3/8GB/128GB、ノートPC的用途であれば、キーボード同梱のi5/8GB/256GBと、予算や用途に応じて選べるのもポイントが高い。
高画質ディスプレイを持ち、Core iクラスの性能を備えたタブレットや2in1を求めているユーザーに、ぜひ使って頂きたい1台と言えよう。
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