変化の兆しとなるのか?来週の韓国外交団訪日

アゴラ 言論プラットフォーム

日韓関係に対して好意的なイメージを持つのは韓国のエンタメ系ファンや韓流ドラマにはまる女性が主役。それに対して日本政府は「約束を反故したままだ」という姿勢を貫き、保守系の方々は「全く興味がない」「聞くのも触るのも嫌だ」という完全拒否型の人は多く、そこまで嫌悪感を抱かなくても過半の人は積極的話題にも取り込まず、かと思います。

尹錫悦次期韓国大統領 Wkipediaより seungyeon kim/iStock 

概ね、2:6:2の黄金比はここでも有効ですが、最近の韓国の調査では韓国に肯定的になった日本人の比率が7ポイントぐらい上がり、35%程度にまで上がったというものもあります。韓国の調査ですので信ぴょう性は間引きしなくてはいけないのですが、一方で嫌韓派の声も大きいので時としてバランスある判断はしにくいことがあります。

さて、4月24日から28日までの日程で尹錫悦次期大統領が主要7名からなる外交団を派遣し、日本でキーパーソンと会談を行います。また次期外務大臣候補の朴振(パクチン)氏は「慰安婦問題をめぐる7年前の日韓合意について『公式な合意だ』」と公言しています。文政権は公式な合意としながらも日韓で出資した財団を一方的解散に追い込むといった反日行為をしていましたが、韓国の新政権はその立場を変える公算が出てきています。

韓国国会は議席300に対して文大統領下の革新系が180席押さえており、尹政権になっても国会運営がうまくいかないのではないかとされています。これは確かにその通りなのですが、白か黒しかない韓国世論は動くというのが私の読みです。

これは外交的背景と尹次期大統領の姿勢、性格、手腕などを考え合わせると中国と北朝鮮とは厳しい関係に陥るとみており、歴史の再現が起きるなら日本を大事にするしかない、という機運は生まれてきます。特に北朝鮮がICBMの実験の継続以外に核実験へ踏み込む公算はより高まっており、韓国側のアレルギーはより高まるはずです。

またウクライナをめぐり古典的な地上戦による戦争が行われたことは戦争の在り方が半世紀も逆戻りしたような状態です。これは国境を接し、ソウルまで直線50キロという地政学的問題が再び意識されることは確実で韓国にとって日本は戦略的パートナーと位置付けざるを得ないとみています。

一方日本政府は何処まで胸襟を開くのか、ここが着目点です。日韓議連の日本側代表である額賀福志郎自民党議員は久々の出番となり、岸田首相をはじめ政府は本交流に一定の期待感を持っていると思われます。凍結状態であった両国間関係、さらには徴用工問題や慰安婦問題など山積する両国間の問題解決に向けた雪解けが起こりえるのか着目となります。交渉の行方次第では岸田首相があいさつするオプションは当然組み込んでいるとみています。

ではお前はこれについてどう思うのか、と聞かれれば韓国の都合に利用され、振り回されないことが全てだと思います。仮に韓国が日本にすり寄ってきたとすればそれは韓国の事情であって真の意味での日韓関係改善ではありません。先日、ゼレンスキー大統領が韓国の国会向けにもオンラインで演説したものの参加した議員は50人しかおらず、極めて淡泊な姿勢だったことが同国内で批判的なニュースとして取り上げられています。

しかし、これは韓国人の国民性そのものです。つまり、自分への利害第一主義で他人のことなどおかまいなしなのです。徴用工問題も慰安婦問題も自分の利害が先行しており、金をもらう、社会的保護を得るといったポジションであって安倍元首相が「未来志向」などと言っても「明日のことより今日の飯」的な韓国人には響かないのであります。

よって韓国が本気で日本との関係改善を望むなら徴用工、慰安婦問題の具体的解決策を提示し、実際にそれを実行し、国内世論を押さえる姿勢を示さなければ日本は本気にならないとみています。文大統領は両問題とも司法の決定であり、三権分立のわが国ではそれに介入できないという姿勢です。これは詭弁であり、国内解決する方法はないはずはありません。

もちろん、今回の外交団の訪日は完全凍結した両国間に雪解けのチャンスは生まれるでしょう。また大統領就任前にこのような行動を示すことは評価に値します。しかし、最後、それが実のあるものに出来るかは全て韓国側にボールがあること、軽はずみな口約束をしても国会の議席数の問題もありそれが簡単に乗り越えられない事実を勘案すれば今回の会合の成果は「期待するけれど、まずは大統領が就任して様々な向かい風を乗り越えるか、お手並み拝見します」という程度にとどまるのではないかとみています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年4月22日の記事より転載させていただきました。

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