株式会社ドゥ・ハウスは、デジタルとネットワークをフル活用したマーケティングサービス事業を展開している企業であり、5つのサービスを運営している。その中でも、最近大きく伸びているのがWebサンプリングサービス「モラタメ.net」だ。今回は、同社 代表取締役社長である小笠原亨氏に、「モラタメ.net」が成功している理由についてお話を訊く機会をいただいた。
■Webサンプリングサービスとして日本最大級を誇る「モラタメ.net」
株式会社ドゥ・ハウスの前身である株式会社シンク・タンク・ダイナックスは、コンピューターを使ったマーケティングデータ分析事業を行う会社として1972年に設立され、1980年に株式会社ドゥ・ハウスに商号を変更した。現在、ドゥ・ハウスは「DOさん・ネット」「きかせて・net」「myアンケートパネル」「モラタメ.net」「テンタメ」という5つのネットワークを運営している。それぞれのサービスは役割が異なるが、コロナ禍以降、特に大きく業績を伸ばしているのが「モラタメ.net」だ。
「モラタメ.net」は、Webサンプリングサービスとして、2006年に開設された。年々会員を増やし、現在では110万人(うちブロガー12万人)という、日本最大級のWebサンプリングサービスに成長している。「モラタメ.net」では、「無料でモラえる」、「少額でタメせる」という2つのサービスがあり、前者は、サイトの「モラえる」から欲しいアイテムを見付けたら、簡単なアンケートとクイズに答えて応募するだけで、当選者には無料でその商品が届くというもので、後者は、商品代の半額程度の送料関係費を払うだけで、先着順で誰でも商品を試せるというものだ。
どちらも、商品を試した後で感想を書くと、ポイントがもらえる。このクチコミ力の大きさが、「モラタメ.net」の特長の一つだと、小笠原氏は語る。
小笠原氏
「開始当初は自分のブログに書いてもらって、そのブログがどんどん広まっていきました。今は、SNSが中心でTwitterとかInstagramに形を変えていますが、クチコミを投稿してもらって、情報拡散したりとかそれをメーカーに届けて次の商品開発に活かしていただいています。」
■インターネットの発展がサンプリング業界を変えた
「モラタメ.net」はWebサンプリングサービスだが、スーパーなどで試供品をオマケとして配ったり、人が集まる駅前などで人手を使って試供品を配るサンプリングは、広告やマーケティングの一手法としてかなり昔から行われていた。しかし、インターネットの普及が、サンプリング業界を大きく変えたと、小笠原氏は指摘する。
小笠原氏
「古くから試供品を配るサンプリングという手法は確立されていましたが、インターネットが普及したことで、人を介さずにサンプリングできるようになったので、非常に安価にかつ大量にサンプリングできるようになりました。それから、デジタル化によって『タメせる』サービスができるようになったことも大きな変革です。無料で多数に配っても、例えばコンバージョンが1%程度しかなかったものが、自分で送料関係費として半額くらい払ってでもその商品を試したいっていう方々が対象になるので、サンプリング後のリピート率が非常に高くなっています。」
その一方で、生活の多様化に伴い、サンプリング業界には新たな課題が生じてきたと小笠原氏は説明する。
小笠原氏
「これまでは、僕らも例えば30代女性とか、性別と年齢で切ってサンプリングしてました。しかし、生活が多様化してきていて、30代女性が同じ嗜好性があるかというと、今は全然そうではなくて、ヨガに通っている20代の女性と50代の女性が実は同じ嗜好性だったりします。ですから、サンプリングも、デジタル技術によって趣味趣向に合わせて切っていかないといけないと思っています。」
■コロナ禍による外出自粛やEC利用の増加がWebサンプリング業界の追い風に
「モラタメ.net」はここ数年大きく伸びた理由として挙げられるのが、コロナ禍による生活様式の変化だ。具体的には、コロナ禍によって外出自粛が進み、巣ごもり需要が増加したこと、Eコマースの利用が増えたことである。「モラタメ.net」のその波に上手く乗り、2021年の売上高は2019年に比べて33%も増加した。しかし、コロナ禍以降の新しい生活様式にふさわしいマーケティングは、クライアント共々今もなお模索中だと、小笠原氏は語る。
小笠原氏
「メーカーさんも私たちも、新しい生活様式に合わせたマーケティングとはどんなものか、模索中です。同じ商品でも訴求ポイントを変えていかなくてはならないので、例えば『お家時間を充実させる商品ですよ』と訴求ポイントを変えて実際にやってみて、消費者の反応がどうだったかを調査をして、新たな商品を開発していくとか、そういうサイクルも今は速くなっています。市場シェアというかランキングも目まぐるしく変わっています。」
■案件ごとのディレクターによって高いマーケティング効果を得る
「モラタメ.net」が大きく伸びたのは、コロナ禍が後押ししたこともあるが、それだけではない。競合サービスがいくつかある中で、日本最大級のWebサンプリングサービスとして着実に成長し続けてきた理由、競合との差別化ポイントについて小笠原氏に訊いてみた。
小笠原氏
「一番大きいのは、私たちは元々マーケティングをやってきた会社なので、単純にサンプリングとして商品を配布するだけではなくて、『マーケティング×サンプリング』という視点を持っていることだと思います。例えば、『モラタメ.net』では、1案件ごとにデザイナーやディレクターが付きます。他社さんではCMSでテキスト入稿みたいな感じで、自動的にアップされて終わりなんですが、私たちは一からミーティングを行い、どういう人たちにどう訴求したいのか、というのを全部デザインに起こして、一からプロジェクトとしてやっています。そういうところは他社さんが今から真似するのは難しいと思います。そこが企業さんからの評価も高いところですね。」
■ドローンを活用したサンプリングの実証実験を開始
ドゥ・ハウスは最新テクノロジーの導入も積極的である。2021年7月に、「モラタメ.net」は、山梨県の小菅村において、ドローンで商品を届ける実証実験を行った。小菅村は、大手配送会社各社の配達厳戒エリアの一つであり、配達頻度や回数などに課題を抱えている。ドローンを活用したサンプリングの実証実験は、これが日本国内では初の事例である。
「モラタメ.net」が、この実証実験で狙っているのは、単に商品をドローンで届けるだけではない。その狙いについて、小笠原氏は次のように語る。
小笠原氏
「小菅村での実証実験では、ドローンで小さいお子さんのいる家庭にオムツを届けたりしました。配送は、私たちにとって切っても切れないところです。特にラストワンマイル問題は重要で、今年間で200万件くらい商品を発送していますので、物流費だけでも、何十億円もかかってるわけです。なおかつ、届かない場所がたくさんあるなと感じています。このドローンの話もそうですが、商品や情報が届くと、現地の人が『モラタメ.net』の大ファンになってくれます。色んな村や町に横展開していけば、マネタイズできる可能性はあると感じました。
だから、僕らは商品を過疎地にドローンを使って届けて、逆に彼らの名産物の情報を首都圏に持ってくる、『モラタメ.net』でそれを紹介することで、主に都会に住んでいる110何万人の会員の方に、地方にも素晴らしいものがあるっていうのを届けたいと思っています。だから、両方ですね、ものと情報のマッチングをさせて、できる限り格差を無くしていきたいなと、それはマーケティングとサンプリングを両方やっている僕らの存在意義でもあります。」
■「モラタメ.net」の会員になれば、これから流行るものがわかる
『モラタメ.net』で紹介されている商品は、すでにメジャーなものばかりではなく、今後流行る可能性がある隠れた逸品も多いと、小笠原氏は力説する。
小笠原氏
「例えば、檸檬堂さんみたいに、もう超メジャーになった商品から、ほとんどの方がご存じないと思われる、でもとてもよい地方の名産品まで幅広く取り揃えていることが自慢です。これから流行るものの情報を得るためのサイトとしてもご活用いただけますので、是非『モラタメ.net』の会員になっていただいて、そうした商品を試していただければと思っています。」
YouTube:https://youtu.be/_Roqzy3j23E
『モラタメ.net』は2006年4月オープン以降、主婦層を中心に会員数を伸ばし、2021年3月現在会員数110万人(うち12万人がブログユーザー)。年間150社、600商品を掲載する。食品や日用品をはじめとする様々な新商品や話題の商品が無料でモラえたり、送料関係費のみでタメすことのできるサービスもある。興味を持った人は一度、試してみよう。
■日本最大級のサンプリング&クチコミサイト『モラタメ.net』
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