デンソーにもサイバー攻撃か――狙われる大手企業 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2022/3/10~3/17】

INTERNET Watch

1. ウクライナ情勢と情報通信――国内動向まとめ

 膠着が続くウクライナをめぐる情勢で、日本のIT企業の動向をまとめた。さまざまな方法での寄付を募ったり、自社製品を寄贈したりしている。

 GMOは「緊急人道支援チャリティNFT」をNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」で発売し、その収益は全額、日本赤十字社の「ウクライナ人道危機救援金」に寄付すると発表した(ITmedia)。

 「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、すでに発売をしている「ウクライナ人道支援チャリティーTシャツ」の予約数が2週間で14万453枚だったと発表した。売上は2億8371万5060円で、全額を寄付するとしている(ITmedia)。

 また、携帯翻訳機「ポケトーク」で知られるソースネクストは、「POCKETALK W」1000台をウクライナ大使館に寄贈したことを発表している(ITmedia)。「ポケトークが日本に避難してきたウクライナの人々のスムーズなコミュニケーションに少しでも役に立つことを願っている」としている。

 NTTドコモは、dポイント、ドコモビジネスポイント、d払いでの「人道支援募金」を受け付けている(ケータイWatch)。

 そして、任天堂はロシアへの商品の出荷を停止した。これは制裁的な意味ではなく「ロシアのウクライナ侵攻に伴う物流の混乱などから、現地での事業継続は難しい」としたことが理由であるようだ(ITmedia)。

ニュースソース

  • 「ウクライナ人道支援NFT」GMOが発売 1000円~1000万円、日本赤十字社に寄付[ITmedia
  • ZOZOのウクライナ支援Tシャツ、2週間で14万枚超え 2億8000万円を寄付へ[ITmedia
  • ソースネクスト、AI翻訳機をウクライナ大使館に寄贈 狙いは?[ITmedia
  • ドコモで「ウクライナ人道支援募金」受付中、dポイントやd払いで[ケータイWatch
  • 任天堂 ロシアへの出荷停止 物流の混乱で[ITmedia

2. ウクライナ情勢と情報通信――国際動向まとめ

 ウクライナ情勢に関する国際企業の動向をまとめておく。

 YouTubeは「ロシアのウクライナ侵攻に関するポリシー違反動画を削除している」と発表した。「われわれのコミュニティガイドラインでは、事実と立証された暴力的な出来事を否定したり、矮小化したりするコンテンツを禁止している」ためとしている。日本からもこれらのメディアのチャンネルは表示できなくなっている。なお、グーグルの傘下にあるYouTubeをはじめとする無料サービスは、ロシア国民に対してグローバルな情報へのアクセスを提供し続けるためとして、継続されているようだ(TechCrunch日本版)。

 また、TechCrunchの調査によると、AWS、マイクロソフト、Google Cloud、IBMではロシアの顧客へのサービスに何らかの制限を設けているようだ(TechCrunch日本版)。一方で、クラウドフレアやアカマイはインターネットアクセスの提供をするインフラとして、ロシア国内でのインターネットを維持は重要だとしているようだ(ZDnet Japan)。

 ロシア側からは、メタ(フェイスブック)傘下のInstagramへのアクセスを遮断すると発表している(JBPRESS)。

 そして、グーグルは「ウクライナのAndroid端末に『空襲警報機能』を実装し、提供を開始した」としている。これは、「ウクライナ政府の配信する警報に基づくもので、既存の空襲警報システムを補完するもの」と位置付けている(PC Watch)。

ニュースソース

  • YouTube、ロシアメディアを日本を含む世界でブロック ウクライナ侵攻関連の偽情報の削除も[ITmedia
  • アマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社がロシアでのクラウド販売を停止[TechCrunch日本版
  • ウクライナで翻訳アプリのインストールが急増、前月比71%増–特にポーランド語が多い[CNET Japan
  • メタ、ロシアで「インスタグラム」も遮断される[JBPRESS
  • ロシア、米メタへの捜査開始 ヘイトスピーチ関連の規約変更で[CNN
  • ロシアでサービス継続、CloudflareやAkamaiが意図示す[ZDnet Japan
  • Google、ウクライナのAndroid端末に空襲警報機能[PC Watch
  • IDCがロシア・ウクライナ戦争のIT市場への影響を分析したレポートを公開[ASCII.jp

3. NFTアートとマーケットプレイス――各社の取り組みが積極的

 引き続き、NFTに対する各社の取り組みが積極的だ。アート作品はもとより、販売の収益を寄付にするという企画もなされている。

 まず、「Web3時代に日本の力を世界に向けて発信することを目的」として、一般社団法人Metaverse Japan(MVJ)が設立された。今後「最先端の情報や世界観を広く共有するために、メタバース領域で業界や企業の垣根を越えて活動していく」としている(coindesk)。そして、日本ブロックチェーン協会(JBA)とも提携パートナーの関係を結んだ。

 新たに販売されるNFT作品としては、プロボクサーである井上尚弥選手のNFT作品について報じられている(日経XTECH)。

 また、先ごろ立ち上げられた博報堂の「HAKUHODO Blockchain Initiative」(ブロックチェーン技術の活用をテーマにしたプロジェクト)と博報堂行動デザイン研究所が、三重県明和町の竹神社の御朱印をデザインしたNFTの実証実験を実施する(日経XTECH)。

 そして、人気声優の立花慎之介氏が「海外向けファンミーティングイベント『立花慎之介メタバースファンミーティング』のイベントチケット」をNFTとして販売するとしている(ASCII.jp)。

 UCOLLEX JAPANの「Woman up!!プロジェクト」では、ミモザの花の絵を描いてもらってNFT化し販売をする。収益は女性のいのちと健康を守るために活動している国際協力NGO「JOICEP(ジョイセフ)」に全額寄付される(ガジェット通信)。

 渋谷キャスト(東京都渋谷区)では、デジタルアート展「SHIBUYA NFT ART JUNCTION 2022」(3月26日~27日)が開催される。「アーティスト17人が参加し作品展示のほか、屋外エリアではライブペインティングを行い、制作した作品は後日NFT化して販売する」という企画である(シブヤ経済新聞)。

ニュースソース

  • Web3で新団体、Metaverse Japan設立──JBAと提携、代表に長田新子氏[coindesk
  • 井上尚弥選手のNFT作品を販売、NTTぷらら子会社など参加の製作委員会[日経XTECH
  • 神社の御朱印NFTを無料配布、博報堂らが新たな地方創生施策の実証実験[日経XTECH
  • 人気声優、立花慎之介がメタバースでファンミーティング開催!NFTでチケットを発行[ASCII.jp
  • NFTアートで女性を支援する「Woman Up!プロジェクト」開始 気鋭の女性クリエイターたちが参加 [ガジェット通信
  • 渋谷キャストでデジタルアート展 「NFT」アートなどに注力[シブヤ経済新聞
  • LINE、NFTマーケットプレイスを世界180ヵ国にローンチへ[ZUU online

4. デンソーにもサイバー攻撃か――狙われる大手企業

 日々、巧妙かつ、被害が甚大になっているインターネット上のサイバー攻撃だが、今週はトヨタ自動車グループの部品メーカーであるデンソーの関連企業がランサムウェアに感染をしたことが報じられている。報道によれば「設計図や発注書の画像、メールやプリンターの印刷データなど」が奪われたとされている。なお、今回はトヨタ自動車の操業には影響はない模様だ(coindesk)。

 一方、マルウェア「Emotet」は引き続き感染拡大を続けているようだ。とりわけ「自然な日本語で『請求書の修正』を促すメール」が使われているようで、これをきっかけに感染をするようだ。こうして、思わず開いてしまうようなサブジェクトには注意が必要(INTERNET Watch)。

 そのほか、ふるさと納税サイト「ふるさとプレミアム」を運営するユニメディアが、パスワードリスト型攻撃によって2099人分の不正ログインを許した可能性があることを発表している(日経XTECH)。知能犯のみならず、こうした力技での攻撃も健在ということだろう。

ニュースソース

  • 2月のフィッシング報告は4万8611件、春節期間はフィッシングメールの配信が激減[INTERNET Watch
  • Emotet、3月はすでに300件超えの被害相談 “先月比7倍”で大幅拡大中 IPAが注意喚起[ITmedia
  • Emotetの新たな攻撃メールをIPAが公開、自然な日本語で「請求書の修正」を促すメールに注意! 3月1~8日の相談件数は2月同時期の約7倍に[INTERNET Watch
  • トヨタ系のデンソーにサイバー攻撃、身代金要求か:報道[coindesk
  • ネットバンキングを使っていないのに勝手にネット送金される詐欺に注意![INTERNET Watch
  • ふるさと納税サイトが600万回のリスト型攻撃で被害、2000件超の個人情報流出か[日経XTECH

5. 動画配信サービスでサッカーW杯 64試合を無料で生中継

 AbemaTVでは「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の予選を含む全64試合を無料で生中継すると発表した(ケータイWatch)。記事によれば「全試合が無料で生中継されることは、日本史上初」ということだ。また、ダイジェスト映像やマルチアングル映像などのオリジナルコンテンツも予定されているので、新たな楽しみ方ができそう。

 こうした大型イベントをきっかけとして、インターネットの動画配信における技術面の向上、そしてこれまでの放送コンテンツとは一線を画した演出面の工夫、さらには視聴者のインターネット配信コンテンツに対する認知向上が期待されるところだ。

ニュースソース

  • アベマでワールドカップ全64試合が無料配信、日本史上初めて[ケータイWatch

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